第5回フォローアップには、昨年の36業種から新たに1業種(日本産業車両協会)が加わる一方、1業種が休会(カメラ映像機器工業会)、1業種(日本ガラスびん協会)が脱退、電機・電子が1業種として参加することとなり、合計34業種 1が参加した。
34業種からのCO2排出量は、1990年度で4億9,988万t-CO2 2であり、これは、1990年度のわが国全体のCO2排出量11億1,930万t-CO2の約44.7%に相当する。また、これら34業種の排出量は、わが国の産業部門およびエネルギー転換部門全体の排出量(90年度、6億2,400万t 3)の約80.1%を占めている。
日本経団連は、「2010年度に産業部門およびエネルギー転換部門からのCO2排出量を1990年度レベル以下に抑制するよう努力する」という目標を掲げ、各業種、企業とも、この達成に向けて努力している。
第5回フォローアップの結果、今回の対象年度である2001年度のCO2の排出量は4億8,370万t-CO2となり、2000年度比で2.9%減少、1990年度比で3.2%減少したことが明らかになった。
今回のフォローアップでは、2005年度のCO2排出量は5億900万t-CO2(1990年度比約1.8%増)、対策を実施しない場合の2010年度の排出量は5億4,200万t-CO2(1990年度比約8.4%増)と見込まれる。
年度 | 1990 | 1997 | 1998 | 1999 | 2000 | 2001 | 2005 見通し | 2010 目標 | 2010 BAU 5 |
CO2排出量 (t-CO2) | 4億9,988万 | 5億1,731万 (90年度比3.5%増) |
4億9,113万 (90年度比1.8%減) |
5億215万 (90年度比0.5%増) |
4億9,823万 (90年度比0.3%減) |
4億8,370万 (90年度比3.2%減) |
5億900万 (90年度比約1.8%増) |
1990年度 レベル以下 |
5億4,200万 (90年度比約8.4%増) |
今回、積み上げに参加した産業およびエネルギー転換部門34業種のうち、CO2排出量が90年度比で減少した業種は21業種、2000年度比で減少した業種は27業種であった。
CO2排出量の削減を目標として示した13業種のうち、90年度比で減少した業種は11業種、2000年度比で減少した業種は10業種であった 6(別紙1-1参照)。
エネルギー使用量の削減を目標として示した4業種のうち、90年度比で減少した業種は4業種、2000年度比で減少した業種は3業種であった 7(別紙1-2)
CO2排出原単位あるいはエネルギー原単位の向上を目標として示した20業種のうち、90年度比で原単位が改善した業種は14業種、そのうち2000年度比でも改善した業種は2業種存在する(別紙1-3参照) 8。
民生業務・運輸部門についても、これまで12業種が経団連環境自主行動計画に参加し、それぞれ自主行動計画を策定し温暖化対策に取り組んできた。今回、新たに民生業務部門から1業種(日本ホテル協会)、運輸部門から2業種(全国通運連盟、日本内航海運組合総連合会)の参加を得た 9(別紙2)。
2001年度のCO2排出量は、90年度比3.2%減少した。また1997年度〜2001年度の5年間平均のCO2排出量は4億9,850万t-CO2で、90年度比0.3%減少した。
2001年度のエネルギー使用量は90年度比1.1%減少したのに対し、CO2排出量は同3.2%減少した。また1997年度〜2001年度の5年間の平均値で見ても、エネルギー使用量が90年度比2.8%増加したのに対し、CO2排出量は同0.3%減少している。このことから、産業界のCO2削減対策(炭素含有量の少ないエネルギーへのシフト)が進展していることがわかる。景気の低迷による生産量の減少に加えて、各業種・企業のCO2排出量の削減対策が功を奏したものと考えられる。
日本経団連としては、今後とも、参加業種に対して、個々の目標達成に向けた対策の着実な実施を求めるとともに、「2010年度に産業部門およびエネルギー転換部門からのCO2排出量を1990年度レベル以下に抑制するよう努力する」という全体としての統一目標の達成に向けて努力していく。
2001年度は景気後退が大きく影響し90年度比3.2%減少したが、CO2排出原単位やエネルギー原単位の向上あるいは炭素含有量の少ないエネルギーへのシフトの面でも、90年度に比べて着実に成果をあげている。したがって、産業界の温暖化対策は、今後とも自主的取り組みを中心とすべきであると考える。
同時に、フォローアップの透明性・信頼性の向上を図りつつ、中長期にわたり自主行動計画の枠組みの中で産業界の取り組みを続けるために、2002年7月、環境自主行動計画第三者評価委員会を設置した(別紙3)。第5回フォローアップのデータ収集・集計・公表方法等につき評価し、改善を勧告する報告書を2003年2月末までに取りまとめる予定である。同委員会の報告書を踏まえて、毎年、フォローアップの内容改善を継続的に図っていく。
温暖化対策は長期的には技術開発が鍵となることから、産業界としては技術開発によって産業部門からのCO2排出抑制のみならず、民生・運輸部門での排出抑制にも引続き貢献していく。
産業部門およびエネルギー転換部門の34業種は以下の通り(50音順);
板硝子協会、住宅生産団体連合会、情報通信ネットワーク産業協会・電子情報技術産業協会・日本電機工業会・ビジネス機械・情報システム産業協会、精糖工業会、製粉協会、石炭エネルギーセンター、石油連盟、石灰石鉱業協会、セメント協会、全国清涼飲料工業会、電気事業連合会、日本アルミニウム協会、日本衛生設備機器工業会、日本化学工業協会、日本ガス協会、日本建設業団体連合会・日本土木工業協会・建築業協会、日本鉱業協会、日本工作機械工業会、日本ゴム工業会、日本産業機械工業会、日本産業車両協会、日本自動車工業会、日本自動車車体工業会、日本自動車部品工業会、日本伸銅協会、日本製紙連合会、日本製薬団体連合会・日本製薬工業協会、日本造船工業会・日本中小型造船工業会、日本鉄鋼連盟、日本鉄道車両工業会、日本電線工業会、日本乳業協会、日本ベアリング工業会、ビール酒造組合。なお、カメラ映像機器工業会は、組織改編のため今回フォローアップを見合わせた。その他の各種エネルギーの換算係数:発熱量については、総合エネルギー統計、資源エネルギー庁「エネルギー源別発熱量表の改定について(2001年3月30日)」、電事連調査データを活用。発熱量表の改定にともない、1999年度以前と2000年度以降では熱量換算係数が異なる。炭素換算係数については、環境庁「二酸化炭素排出量調査報告書(92年)を利用。
〔90年度:3.7、97年度:3.3、98年度:3.2、99年度:3.3、2000年度:3.4、2001年度:3.4、2005年度:3.2、2010年度:3.0、2010年度(BAU):3.4(t-CO2/万kWh)〕 CO2排出量の実績値や見通しについては、数字の精度を高めるために毎年見直しを行なっていることから、昨年の結果と比較して、多少の増減が生じることがある。
BAU(Business as usual):2002年度時点での自主行動計画を2002年度以降実施しない場合における2010年度のCO2排出量
CO2排出量実績とCO2排出原単位を目標として掲げる日本ガス協会とCO2排出量実績とエネルギー排出原単位を目標として掲げる日本ゴム工業会については、それぞれの目標について改善業種数に含めた。
CO2排出原単位とエネルギー使用原単位の両方の目標を掲げる業種については、少なくとも一つの目標が改善されている場合には改善業種数に含めた。
民生業務部門の参加業種(50音順):
全国銀行協会、日本LPガス協会、日本損害保険協会、日本チェーンストア協会、日本百貨店協会、日本ホテル協会、日本貿易会、日本冷蔵倉庫協会、不動産協会ならびにNTTグループ
運輸部門の参加業種(50音順):
全国通運連盟、全日本トラック協会、定期航空協会、日本船主協会、日本内航海運組合総連合会、日本民営鉄道協会ならびにJR貨物、JR九州、JR四国、JR東海、JR西日本、JR東日本、JR北海道