[ 日本経団連 ] [ 意見書 ]

商法施行規則改正案に対するコメント

−平成14年商法改正に伴う「商法施行規則」の改正に関する意見募集
(2002年11月12日法務省公表)へのコメント−

2002年12月27日
(社)日本経済団体連合会
 経済法規委員会
  企画部会
  企業会計部会

27条〜33条及び35条〜43条について

「第四章 財産の評価」及び「第五章第二節に規定される繰延資産や特定引当金の取扱い」は、いずれも貸借対照表への記載に関する重要な会計方針を構成するものであり、同一の章の中で規定することが適当である。

103条1項(営業報告書記載事項)について

7号のうち「大株主への議決権比率」は、取締役会時点で分母となる総株主の議決権数を把握することが困難であり、廃止すべきである。
11号の「新株予約権の営業報告書への記載」について、役員以外の割当先はすべて上位10名までで足りることとしていただきたい。最近、流通業界で、多数のフランチャイズ店の店長(従業員ではない。)に対し予約権を発行するケースが出ており、全員の氏名等の記載を求めることは適切ではない。

105条1項(会計監査人に対する報酬等の開示)について

証取法監査と商法監査は同一の監査法人が行う場合が多く、監査費用は一体であり区分はできない。また、監査と密接に関わる税務相談やシステム導入費用などは監査費用か非監査費用かの切分けが困難である。さらに、子会社(特に海外の子会社)が親会社とは異なる監査法人を起用する場合も多く、親会社の監査法人に対する報酬の開示は、監査の全貌を明らかにすることとはならない。また、監査報酬の実額は情報として有用なものであるかにも疑義がある。従って、本件については、実務的に開示可能で、かつ真に有用な情報開示と認められる制度となるよう、再考すべきである。
金融審議会でも同様の開示ルールの議論が進められている。営業報告書、有価証券報告書、監査法人側からの開示といった重畳的で、内容も異なる開示が創設されることのないよう、調整が必要である。

107条3項、108条5項(連結計算書類作成会社が附属明細書で省略できる事項)について

連結計算書類作成会社については、有価証券報告書の開示と重複する附属明細書の開示項目(107条1項1号から7号まで、108条1項2号、6号)も記載を要しないことにするべきである。

具体的には、
  1. 資本金及び準備金の増減、
  2. 社債、社債以外の長期借入金及び短期借入金の増減、
  3. 固定資産の取得及び処分並びに減価償却費の明細、
  4. 資産につき設定している担保権の明細、
  5. 保証債務の明細、
  6. 引当金の明細並びにその計上の理由及び額の算定の方法、
  7. 支配株主に対する債権及び債務の明細、
  8. リース契約により使用する固定資産及び割引販売等により購入した固定資産でその所有権が売主に留保されているものの明細、
  9. 営業費用のうち販売費及び一般管理費の明細。

142条(連結子会社の定義)について

「連結子会社」の定義が、長年にわたり使用してきた証取法上の定義と異なる。また、英訳することを考えると非常に不便である。商法特例法を含めて用語を修正すべきである(例えば「その他連結子会社」など)。

155条および47条(追加情報の注記)について

時間的制約や印刷等のコストを考慮して連結の注記を限定的とした趣旨に反するため、規定を削除するか、または、「注記しなければならない」を「注記することができる」に変更すべきである。同様に、47条も削除または変更すべきである。

184条(期限についての合意)について

連結ベースで記載する場合の営業報告書(105条2項)についても、提出期限について関係者の合意を認めることができるように、法改正を含めて見直すべきである。その際、監査対象とする書類についても見直すべきである。

195条(債権者保護手続における貸借対照表に関する事項)について

債権者異議申述手続において、会社の選択により、貸借対照表の公告掲載日および掲載頁等を公告することに代えて、貸借対照表またはその要旨を掲載することも認めるべきである。

その他の要望事項

連結計算書類に関する規定については、3月期決算会社の場合、法律で作成が義務付けられるのは2005年3月期からであるが、連結開示につき対応可能な企業であれば、その選択により早期適用(2003年3月期から)することも可能としていただきたい。

以 上

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