2002年11月29日 (社)日本経済団体連合会 経済法規委員会企画部会 |
破産手続の迅速化を図る観点から、試案の考え方を支持する。ただし、インターネット公告の充実等、破産宣告の事実に関する情報入手手段の充実を図るべきである。
民事再生法同様、申立人すべてについて破産手続費用を予納する規定を設ける考え方を支持する。その上で、債務者が予納金負担の重さを理由に破産申立てを躊躇することのないよう、国家仮支弁制度を使いやすいものとすべきである。
破産法において、業態や法人形態によって監督の意味合いや関与の深さが一様でない監督官庁が破産の申立てをすることを認めることに反対する。必要な事情がある場合には、個別法や行政上の処分により対応することが望ましい。
取引関係の萎縮を招かないためには法律関係の安定性を維持することが重要であり、「債権者に不当な損害を及ぼすおそれがない場合」という発令の要件を明確化し、限定すべきである。
取引関係の萎縮を招かないためには法律関係の安定性を維持することが重要であり、「強制執行手続等の中止命令によっては破産債権者の間の平等を害するおそれその他破産手続の目的を十分に達成することができないおそれがあると認めるべき特別の事情があるとき」という発令の要件を明確化し、限定すべきである。また禁止する期間は必要な範囲に限定すべきである。
(1)<2>において、保全処分の濫用を防止する観点から、否認権のための保全処分は担保を立てさせて、または担保を立てさせないで命ずることができるものとしているが、担保を立てさせることを原則とすべきである。
(1)の発令の要件は法人に限定されているが、個人経営者など個人にも大規模な破産はありうるので個人も対象とすべきである。
また、(2)の保全管理人の権限・常務に属する行為の内容を明確にすべきである。
破産宣告の検察官への通知制度を廃止する代わりに、法律の規定に違反する犯罪があると思料するときは告発する義務を管財人等に課すべきである。
破産者は財産状況の内容を利害関係人に対してできるだけ広くかつ書面にて開示・説明すべきであり、書面を提出しない場合または故意に虚偽の記載をした場合には制裁を課すべきである。
大規模な破産事件の破産管財人には法律、会計などの知識や経営能力が求められており、法人を破産管財人とすることができるとする試案の考え方を支持する。ただし、管財人となりうる法人の要件、欠格事由については明確にされるべきである。
破産管財人が数人あるとき、裁判所の許可を得て、それぞれ単独にその職務を行い、または職務を分掌することができるものとすることを支持する。職務を分掌する場合には、債権者に、可能な限り分かりやすく分掌の内容を通知すべきである。
監査委員の制度を廃止する試案の考え方を支持する。
裁判所は、破産管財人または債権者委員会の申出があったときには、債権者集会を招集しなければならないものとすること、知れたる破産債権者の総債権について裁判所が評価した額の10分の1以上に当たる破産債権を有する破産債権者の申立てがあった場合も同様とすることについて、破産債権者の招集請求については、債権者に情報収集等の機会を保証する観点から、試案の考え方を支持する。
なお、(1)の第1回債権者集会について、裁判所が相当と認める場合は開催しないとする試案の考え方を支持する。この際、(1)注3に示されているように、破産管財人は、裁判所に提出した報告書の要旨を記載した書面を知れたる債権者に送付する等の措置をとらなければならないものとすべきである。
また、(2)イの異時廃止の決定をする際の意見聴取のための債権者集会について、破産債権者の意見を書面によって聴取することについて、破産債権者の招集請求権を認めないことは適当である。
(2)ウの破産管財人の計算の報告については、ファクシミリや電子メール等を活用し、知れたる債権者に送付する等の方策を講じるべきである。
利害関係が共通している多数の破産債権者が一括して破産手続上の権利を行使することを可能にする代理委員の制度を導入する試案の考え方を支持する。
手続の迅速性の観点から、債権者が一般調査期日の末日または一般調査期日までに債権を届け出なければ、原則として、配当手続に参加することができないものとする試案(1)の考え方を支持する。この際、届出の前提となる破産手続の進行状況や破産財団の現況情報が容易に入手できるよう、ウェブサイトの活用などをすべきである。
なお、債権届出の追完の認められるやむを得ない事由としては、知れたる債権者であるにもかかわらず通知が到達しなかった場合、天災や事故等によって届出が間に合わなかった場合、破産債権かどうか争いがあり期日に遅れて破産債権であることとなった場合、別除権行使によって回収しきれない債権等の金額が確定しない場合など、実務上想定されるケースを幅広く認め、具体的にコンメンタール等で示すべきである。その際、下記事例を容認していただきたい。
また、(2)で届出名義の変更が可能であることを明確化したことについて、試案の考え方を支持する。
《やむを得ない事由と考えられる事例》
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手続の簡素化の観点から、(1)の書面による債権調査を導入する試案の考え方を支持する。(2)の債権調査期間については、極力短縮すべきである。
手続の簡素化の観点から、決定による債権確定手続を導入する試案の考え方を支持する。
債権者が提起した債権者代位訴訟について、詐害行為取消訴訟との整合性の観点から、破産宣告による訴訟の中断および受継についての規定を整備するという試案の考え方を支持する。
ただし、転用型の債権者代位訴訟については、転用型の各類型に応じた検討が必要である。
配当手続の簡素化、効率化、合理化の観点から、試案の考え方を支持する。
ただし、少額の配当に関する特則の債権届出書はわかりやすい簡便なものとすべきである。
破産財団に属する財産の規模が一定額に満たない破産事件について、簡易迅速な解決を図る観点から、簡易な破産手続の特則を設ける試案の考え方を支持する。
なお(簡易な破産手続関係後注2)で示された、小規模個人再生と同様のみなし届出制度については、これを導入すべきである。
債権者数が1000人以上の事件を対象とするとの要件に加え、債権者の地域分布の状況について明確な基準に基づく要件を設け、いずれかの要件に該当すれば特則を活用することができるようにすべきである。
大規模な事件については専門部署を有する裁判所が迅速で的確な処理を規定できるとの観点から、東京地方裁判所または大阪地方裁判所に競合管轄を認めるとする試案の考え方を支持する。
(注)(b)にあるように、債権者に対する公告および通知については、個別の通知に代えて相当と認められる周知方法(ウェブサイト等を活用する等)を用いることができるようにすべきである。
なお、(大規模破産関係事件関係後注2)に示されたように、書面投票制度を導入すべきである。
民事再生法が制定されていることから、強制和議制度を廃止するとの試案の考え方を支持する。
自由財産の範囲について、破産者の経済生活を容易にする観点から、政令で定める額の3倍の金銭(必要生活費3カ月分)に拡大すべきである。
裁判所が、破産者の申立てにより、決定で、破産者の生活の状況その他の事情を考慮して、自由財産となるべき財産の範囲を拡張することができるとの試案の考え方を支持する。
破産者に対する監守の制度は形骸化しており、廃止するとの試案の考え方を支持する。
扶助料の給与の制度は形骸化しており、廃止するとの試案の考え方を支持する。
債務者が破産の申立てをした場合には、同時に免責の申立てがあったものとみなすものとする試案の考え方を支持する。
債権者の異議申立期間は期間を定める公告が効力を生じた日から起算して1カ月以上とすべきである。
裁量免責については、個人再生手続等との均衡を勘案しながら、慎重に運用すべきである。
金融取引の多様化に鑑み、破産法61条の対象を「取引所の相場がある商品の売買」から「取引所その他の市場の相場のある商品の取引に係る契約」に拡大すること、一括清算ネッティング条項の破産手続における有効性を確認すること、再生手続とともに更生手続においても破産法第61条と同様の規律が妥当することとする試案の考え方を支持する。
なお、「当事者間で締結された基本契約」の内容について、さらに明確化していくことが必要である。
継続的給付を目的とする双務契約において給付を受ける者が破産した場合の取扱いについて、再建型手続と同様とする試案の考え方を支持する。
ただし、この場合、電気・ガス・水道などライフラインの給付契約やメンテナンス業務など、管財業務遂行に必要な継続的給付を目的とする双務契約であることを明確にすべきである。
破産宣告前の原因に基づいて生じた租税債権のうち一定期間以前に納期限が到来したものについては財団債権ではなく優先的破産債権とする。また、宣告後に生じる附帯税を劣後的破産債権とするとの試案の考え方を支持する。
ただし一定期間については、例えば最長2年間程度とすべきである。
判例、通説の見解の明文化の観点から、試案の考え方を支持する。
試案の考え方を支持する。非典型担保については適切な類型化、法文化を行うべきである。
また(担保権等の倒産法上の取扱い関係後注1)で指摘されているように、民事留置権についても特別の先取特権とみなすことについて検討すべきである。さらに(担保権等の倒産法上の取扱い関係後注2)で指摘されているように、破産管財人が動産の先取特権の目的財産を任意売却した場合について、動産の先取特権者は、破産手続において、破産管財人に対し、売却代金の優先弁済を求めることができるものとすべきである。
破産管財人が期間を定めて破産債権者に相殺するか否かを催告することを認め、期間内に相殺をしない場合には相殺権を行使できないとする試案の考え方を支持する。
ただし、事態の確認と相殺の方針、金額の決定には3カ月程度かかることが見込まれることから、相殺権行使期間は、催告のあったときから3カ月以上とすべきである。
破産管財人が、破産財団に属する債権をもって裁判所の許可を得て相殺することができるとする試案の考え方を支持する。
相殺の禁止に関する破産法104条第2号および4号について、定義が不明確で取引に萎縮効果のある「支払不能」概念ではなく、「支払停止」によって危機を画するべきである。
条文の合理化の観点から、試案の考え方を支持する。
条文の表現等の現代化を図り、分かりやすい法律とすべきである。
また、ITの活用により費用の節減、迅速な事務処理を目指すべきである。
さらに、会社整理・特別清算規定については歴史的使命を終えており廃止および抜本的に見直しをすべきである。趣旨を活かして改正をする場合には他の倒産法制と差別化すべきである。
倒産処理相互間における移行は、今後増加すると思われるので、円滑な移行が可能となるような規定の整備が必要である。