[ 日本経団連 ] [ 意見書 ]

エネルギー政策の着実な推進を求める

2003年3月11日
(社)日本経済団体連合会

緊迫する中東情勢、原子力を巡る諸問題、地球温暖化対策など、エネルギーを巡る社会的な関心が高まりつつある。エネルギー資源に乏しいわが国においては、国としての確固たるエネルギー総合戦略の確立と推進が、国民生活の安定や産業発展の大前提である。そこで、産業界として、わが国のエネルギー政策の基本である以下の諸点について、改めて確認するとともに、国による円滑かつ着実な推進を強く求めるものである。

1.安定供給の確保

エネルギー政策の基本は、安定供給の確保、環境への適合とこれらを十分に考慮した市場原理の活用を図っていくことである。しかし、現下の情勢を踏まえれば、国益にかなった安定供給確保の重要性は論をまたず、不退転の決意で取り組む必要がある。
安定供給確保のためには、国産エネルギーの比率の向上と海外からのエネルギー供給の多様化による供給源のベストミックス達成が求められる。
先進諸外国に比べエネルギー自給率が圧倒的に低いわが国が、エネルギーセキュリティーの観点から国産エネルギーの比率を高めていくためには、原子力発電を着実に推進し、その活用を図ることが不可欠である。さらに、ウラン資源を有効利用し、かつ高レベル放射性廃棄物の発生量を最低限に抑えるためにも、高速炉を含めた核燃料サイクルの推進をわが国エネルギー政策の基幹として再認識し、官民の役割分担を明確にした上で、問題を先送りすること無く着実に実行する必要がある。この点について、国民、立地地域住民の理解が得られるよう、事業者が万般の努力を行うことはもとより、国においても最大限の努力を傾注すべきである。また、もんじゅ行政訴訟判決における原子力行政への疑問提起に対しては、国は十分な説明責任を果たし、必要な体制強化を図るべきである。
海外からのエネルギー供給の多様化に関しては、効率的供給を前提に、エネルギー源と供給源の多様化を進め、原油の中東一極依存緩和のため、ロシアとの協力拡大などを含む資源外交を官民一体となって積極的に展開すべきである。

2.地球環境問題への対応

地球環境問題への対応に関し、産業界は、環境自主行動計画を軸に更なる展開を図っていく。民生・運輸分野においても、利用効率の向上やそのための環境整備に一段と取組みを強化すべきである。
現在直面している京都議定書の目標達成のためにも、原子力の活用が不可欠であるが、燃料電池、太陽光発電、風力発電などの新エネルギー技術、省エネルギー技術の革新は、環境への適合や中長期のエネルギー供給のみならず、新産業創出によるわが国経済の活性化の観点からも重要な課題である。

3.国民各層の理解促進

エネルギー問題は、国民一人一人の日々の社会生活に直接関わる問題であり政策の推進には各層の理解が必須である。産業界の努力とともに、国は、広報、教育などあらゆる場を通じ、わが国が直面しているエネルギーの現状や地球温暖化の状況、原子力の必要性や新エネ等に対する正確な情報を国民に提供し、理解促進に努め、エネルギー問題の重要性に関する国民意識の向上を図るべきである。

以 上

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