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WTO加盟後の中国との
通商・経済関係の拡大に向けて

第II部 各 論
〜 日本の経済界が是正を求めるビジネス上の障害 〜

2003年5月20日
(社)日本経済団体連合会

中国は、WTO加盟を契機に、種々の貿易、投資上の障壁の除去を行なってきた。わが国経済界は、これらによるビジネス環境の大幅な改善、整備を高く評価している。
他方、依然として、わが国企業は、中国においてビジネスを展開する上で多くの障害に直面している。そこで、中国政府が以下に掲げる障害の是正、除去に努めることを強く望む。
これらの要望の実現は、日中の通商・経済関係を一層活発にする。中国の投資環境の整備は、また国内外からの投資の拡大を通じて、中国の経済成長にも大きく貢献すると思われる。
(なお、以下の障害リストは、2003年1月から3月にかけて対中国通商問題ワーキング・グループにおいて行なった委員企業約20社からのヒアリング、ならびに同年2月に日本経団連全会員企業を対象に行なったアンケート調査の結果を基に作成した。)

1.モノの貿易

モノの貿易については、法・規制及びその手続の透明性、無差別性の確保に加えて、貿易権・流通権の開放、関税の引下げ、知的所有権の実効的な保護を特に強く求める。

(1) 総則

(2) 関税

わが国経済界は、中国政府が今後数年かけて関税を大幅に削減、撤廃していく約束をしたことを歓迎する。他方、一部の品目については加盟約束が遵守されておらずこの是正を求めるとともに、WTO新ラウンド交渉などを通じてさらなる自由化に取り組むことを強く求める。

(3) 知的所有権

わが国経済界は、中国全土において、知的所有権の実効的な保護が行なわれることを強く求める。知的所有権には、WTOのTRIPS協定(Trade-Related Aspects of Intellectual Property Rights:知的所有権貿易関連側面協定)上、著作権、商標権、地理的表示、意匠権、特許権、集積回路の回路配置、開示されていない情報の保護が含まれる。中国における知的所有権の保護については、専利法、商標法、著作権法といった法律が、基本的には刑事罰及び民事罰を含む形で整備されているが、罰則が不十分などの問題が残っている。また、知的所有権の保護が現場において徹底されていないことはさらに大きな問題である。わが国経済界は、特に、商標権、意匠権、特許権、著作権の保護について多大な被害を蒙っており、中国政府が、以下のような措置を講じることを希望する。

(4) その他の分野

わが国経済界は、中国政府が、全てのWTO協定を実質面及び手続面の双方において、過去のWTO紛争処理手続きの判例をも参考に、厳格に遵守することを強く求める。いわゆる非関税措置については、WTOの約束を超える国内規制において、不必要な貿易障害を設けることのないよう確保することを強く求める。特に関連諸協定(例えば、TBT協定(Technical Barriers to Trade:貿易の技術的障害協定)、SPS協定(Sanitary and Phytosanitary Measures:動植物検疫措置協定)など)を国際基準に照らして厳格に遵守することを期待している。
さらに、多くの国内規制については、WTO協定上は問題とはならないものの、上記で指摘したような不透明性、煩雑性に加えて、主に外資系企業を対象とした過度に制限的なものが見受けられるので、こうした措置について長期的な観点から自由化を進めていくよう望む。

2.投資

わが国経済界は、中国政府が、WTO加盟約束の徹底、WTO投資ルールの策定や日中投資協定の改訂等によるさらなる自由化、ならびに国内構造改革等を通じて、以下のような措置に取り組むことを求める。なお、サービス分野における投資については、GATS(General Agreement on Trade in Services:サービス貿易一般協定)の枠組みにおいて、分野ごとにモード3の自由化を通じて達成することをあわせて求める。

3.サービス貿易

(1) 総則

(2) 主要分野

以上

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