[ 日本経団連 ] [ 意見書 ]

「特区における株式会社の医療への参入に係る取扱いについて」に関する意見

( http://www.mhlw.go.jp/public/bosyuu/iken/p0612-1.html )
2003年6月17日
(社)日本経済団体連合会

  1. 総理を本部長とする構造改革特別区域推進本部の決定段階では、「自由診療の分野」について特段の条件は付されなかったにもかかわらず、本案では、厚生労働省令で定める高度先端医療を提供する能力があると認められる株式会社のみに参入を限定している。
    加えて、「高度先端医療」の範囲をあらかじめ省令で定めることは、地方や民間の主体性を重んじ、それらの具体的なニーズを実現するという構造改革特区制度の精神とは大きく離れたものである。

  2. このように極めて限定的に規制を緩和するという手法では、総理の決断により実現した歴史的な規制改革の意義が薄れることとなり、民間活力を最大限に引き出し、経済の活性化を図るという特区制度の目標は達成できない。また、今後、全国的な規制改革へとつなげていく際の評価を行うことも困難となりかねない。

  3. 株式会社立の病院では高度先端医療以外の診療行為が一切出来ないことになると、多様な患者のニーズや緊急な対応を要する時などに、患者のための医療機関としての機能を十分に果たせなくなる。特区本部の決定を尊重し、高度先端医療に限定するのでなく、自由診療分野全般について参入を認めていくべきである。

  4. 特区本部と連携して規制改革推進の役割を担っている総合規制改革会議では、自由診療以外の条件を付さないよう求めていたにもかかわらず、本案はそうした意見を勘案していない。
    株式会社の医療への参入問題の持つ重要性を鑑みると、今回の意見募集は唐突で、募集期間も極めて短期間であるなど、異例のものとなっている。これらを考慮すると、本案については手続き的な問題があると言える。

以上

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