[ 日本経団連 ] [ 意見書 ]

若者自立・挑戦プランの強化の具体化に向けて

2004年11月9日
(社)日本経済団体連合会

はじめに

わが国の雇用失業情勢は好転しつつあるものの、若年層についてはフリーターや無業者、仕事につけない若者の増加など、若年雇用問題は依然、深刻である。昨年、日本経団連は「若年者を中心とする雇用促進・人材育成に関する共同提言」を提起し、今年度より若年者の総合対策として、各省庁が共管する若者自立・挑戦プランが施行されている。政府は引き続き来年度においても若年者雇用対策を拡充する方針であるが、その効率的な推進には、官民の連携・協力が必須である。産業界としても、若い人材が今後の産業を支えるとの認識に立って、企業内人材育成の充実・強化のほか、(1)インターンシップ、トライアル雇用、「キャリア・スタート・ウィーク」等の積極的受け入れ、(2)求人情報をはじめとする情報提供の強化、(3)学校でのキャリア教育への協力などについて、引き続き注力していく。あわせて関係省庁が一体となって円滑かつ効率的な施策の運営を望みたい。

1.関係省庁一体となった施策の推進について

(1) 若年者の雇用問題については、雇用政策だけでなく、学校教育や職業訓練なども密接に関連している。適切な政策決定やその効率的な実施に向けて、関係省庁の縦割りによる行政を排除し、一体となった取り組みが行われることを改めて望みたい。

(2) 実際の政策実施にあたっては、各地域における行政機関の綿密な連携と調整も必要である。各地の労働局、経済産業局、教育委員会、都道府県・市町村などの積極的な連携を推進すべきである。特にキャリア教育について、必要に応じて関係者による協議の場を設置する等により、強力かつ効果的な政策の推進を図っていくべきである。

(3) ジョブカフェや日本版デュアルシステムなど、新たな取り組みが行われているが、その実績・効果を厳格に評価し、来年度以降の取り組みに生かしていくべきである。またそれぞれの事業において順調な成果を挙げている地域があれば、そうした成功事例を全国的に周知していくことも肝要である。

(4) ジョブカフェにおいて、官民の協力により得られた雇用情報などを活用し、一層の民間人材の活用、職業紹介・職業相談における効率的な官民の連携・協力を検討していくべきである。

(5) 就職しない、教育・訓練も受けない若者の問題が注目を集めているが、政府は、こうした若者の意欲と能力を高める対策を早急に講じるべきである。また、政府は、これらの対策の実施過程において若者の実態について十分な把握を行い、それを踏まえて適切かつきめの細かい対応を検討していくべきである。

2.企業内教育の取り組みの強化に向けて

わが国企業の競争力を強化し、また若者の能力向上のためには、人材投資を一段と拡充していくことが重要である。企業は、企業内の人材育成の充実・強化等を通じて、生産性の向上、安定的な雇用の実現等に取り組んでいく。このような長期的な観点からの人材投資を行いやすくするよう、人材育成費用について、税額控除等の措置を創設するなど人間尊重・長期的視野に立った経営を可能とする諸般の環境整備を望む。

以上

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