[ 日本経団連 ] [ 意見書 ]

日中通商・経済関係の更なる拡大に向けて

〜 日中通商対話ミッション・ポジションペーパー 〜

2005年2月23日
(社)日本経済団体連合会
中国委員会企画部会

1.はじめに

中国は、2001年12月にWTO加盟を果たし、世界に大きく門戸を開放するとともに、国際ルールの遵守を約束した。加盟から3年以上が経過したが、この間、法律および制度の整備・改正等、WTO加盟約束の完全な遵守に向けた中国政府の努力が続けられている。その結果、既に卸売業や小売業における外資制限が原則撤廃されるなど、わが国経済界の関心の高い分野の自由化・円滑化が達成されている。
わが国経済界は、中国政府のこのような取り組みを高く評価するとともに、各種許認可等の手続の簡素化・迅速化、透明性の向上等、法制度の運用面の改善をはじめ、国内改革の実効性が更に高まることを強く期待している。
そこで、こうした認識の下、今般、第二次日中通商対話ミッションを派遣するにあたり、改めて日中通商・経済関係の緊密化に向けたわが国経済界の考え方を明らかにするため、本ポジション・ペーパーをとりまとめることとした。

2.日中通商・経済関係の現状と評価

昨年の中国の貿易総額は、前年比35.7%増の1兆1,547億ドルとわが国を抜き、同国は米国、ドイツに次ぐ世界第三位の貿易大国となった。そうした中、日中経済関係も飛躍的に緊密化しており、昨年の両国貿易総額は1,600億ドルを突破し、中国が米国を抜いてわが国の最大の貿易相手国となった。
わが国企業は、これまで貿易や投資の拡大を通じて日中両国経済交流の拡大に努めてきたが、その結果、両国経済間には相互補完的な関係が構築されている。日本からの投資の拡大は、中国における雇用の創出、技術の移転、中間財貿易の拡大、関連サービスへの波及等を通じて、中国経済の発展にも貢献してきた。さらに近年は、中国をグローバル戦略の重要な拠点として位置付ける日本企業が増加しているだけでなく、中国企業も、日本企業との戦略的提携や先進技術の獲得を目指した対日進出という新しい展開を見せている。
他方、日中両国においては、経済関係の緊密化の一方で、政治面では一部で緊張も見られる。このような状況の中で、わが国経済界としては、企業のビジネス活動を促進し、経済分野での相互補完関係をさらに深化させることで、政治面にも良好な影響を与え、日中関係全体の発展に寄与したいと考えている。
そのためにも、両国間でのヒト、モノ、カネ、サービス、情報といった経営資源の自由で円滑な移動を一層拡大させる必要がある。これら課題の実現に向けて、わが国は、企業の自由なビジネス活動を保障する国内投資環境の整備を進めることで、わが国市場の魅力を高め、中国企業による対日投資の促進や日中両国企業協力関係を緊密化させる必要がある。一方、中国には、引き続き国際約束の遵守とルールに沿った国内改革を迅速かつ着実に進めることを求めたい。

3.日中通商・経済関係の更なる拡大に向けた課題

わが国経済界は、2003年5月に取りまとめた意見書「WTO加盟後の中国との通商・経済関係の拡大に向けて」の指摘事項のうち、増値税還付の徹底、海外送金の自由の確保等について、進展が見られたことを歓迎している。他方、中国市場における外資系企業の展開のためだけでなく、中国企業のビジネスの拡大と中国の経済成長の観点からも、次のような課題が優先的に克服されることを強く望む。

(1)通商関係の促進

1. 経済連携の強化に向けた日中韓の三国間投資協定の早期策定
現状・問題の所在: 2003年10月の日中韓首脳会談を受けて、三国による日中韓投資取極に関する産学官共同研究会が立ち上げられ、昨年11月の首脳会談において、投資関連の法的枠組みに関する政府間協議や、ビジネス環境整備に向けた具体的なステップが合意された。三国産業協力の一層の緊密化の観点から、同協定の早期締結が期待される。
要望・解決策: 同協定の2005年中の実現に向けて、中国政府の積極的な取り組みを求める。また、ビジネス環境整備については、可能な分野から可及的速やかに実施することを求める。これらの措置により、法制度の透明性の確保、紛争解決の法的枠組みの整備、知的財産権の保護の促進等を実現することは、日韓企業による対中投資を促進するのみならず、中国企業の競争力強化、中国企業の海外直接投資の保護にも資する。日本経団連としても、日韓投資協定と同様のハイレベルの協定の締結に向けて、日中韓ビジネスフォーラム等の枠組みを利用した働きかけを行っている。
なお、日中韓FTA/EPAについては、日中韓投資協定に関する政府間協議の進展を前提に、三国の産官学による共同研究会を設置すべきと考える。
2. 東アジア自由経済圏の構築
現状・問題の所在: 日本経団連は、地理的に近く、経済関係が緊密で、今後更なる成長が期待される東アジア地域との経済連携が重要との観点から、東アジア自由経済圏の構築に積極的に取り組む必要があることを主張している。東アジア自由経済圏の構築を通じて、東アジアのバランスある発展と国々との共生が可能となる。
要望・解決策: 例えば2015年の実現を目標に、わが国と中国が共同でリーダーシップを発揮していくことが重要である。東アジア自由経済圏の構築は、域内の取引コストの削減による効率的な生産体制とともに、巨大な市場を生み出すことによって、域内のすべての国はもちろんのこと、世界経済にも大きな利益をもたらす。

(2)中国国内の事業環境整備

≪総論≫
1. 法・規制の透明性確保
現状・問題の所在: 中国政府は、近年、法令の官報やインターネット等を通じた公表に積極的に取り組んでおり、こうした動きを評価したい。但し、特に法・規制の運用面においては、未だ透明性や迅速性が確保されていないケースも見られる。
要望・解決策: 引き続き、地方レベルを含め、法・規制を一般に入手可能な方法で公開するとともに、新たな法・規制の制定手続については、外資系企業を含む利害関係者に対するパブリック・コメントの実施及びその十分な考慮等により、高い透明性を確保すべきである。また、運用面においても、一層の透明性の向上を図るとともに、手続の迅速性を確保するよう求める。特に、以下の三点に留意していただきたい。
2. 人民元に関わる諸制度の整備
現状・問題の所在: 人民元の為替レートは、事実上米ドルにペッグしており、急拡大する経済の実態に合致していないとの指摘もある。
また、現状では、中国国内の各地工場における生産財の輸入や製品輸出に伴う決済に関して、統括拠点がこれら貿易取引の集中管理を行うことができない。
要望・解決策: 為替レートの問題については、当面は、貿易の自由化にあわせて資本取引を漸進的に自由化するとともに、将来的には変動為替相場制度へ移行することを望む。
また、変動為替相場制度への移行も念頭に、為替リスク軽減や業務の効率化のため、統括拠点における貿易取引に関わる決済の集中管理を可能とすべく、関連規制を見直してもらいたい。
≪投資≫
1. 知的財産権の実効的な保護
現状・問題の所在: 中国における知的財産権保護については、著作権法、特許法、商標法等により、基本的な制度整備が進められているが、実効的な保護については、一層の改善が求められる。
要望・解決策: 知的財産権の侵害は、外資系企業による研究開発投資を含めた対中投資への意欲を減退させるばかりでなく、企業の独自性や創造性の発揮を阻害することにより、中国企業の競争力の低下にも繋がる。知的財産権保護が権利の取得段階から執行段階まで徹底されるよう、引き続き、制度面の整備を進め、運用面での実効性を高めるとともに、知的財産権保護の重要性に関する啓発活動に努めることを求める。特に、以下が重要である。
  1. 罰則規定の強化:
    2004年12月に「最高人民法院・最高人民検察院による知的財産権侵害における刑事事件の処理についての具体的な法律適用に関する若干問題の解釈」が施行され、刑事罰の適用要件における違法所得金額の引き下げ等、罰則規定が強化されたことを歓迎する。今後、当該解釈の規定が着実に実施され、実効が上がることを期待したい。
  2. 部分意匠制度の導入:
    外観の一部を模倣した商品の横行を取り締まるべく、部分意匠制度を導入すべきである。
  3. コンテンツに関する法制度の緩和:
    コンテンツの知的財産権侵害の一因として、正規品のコンテンツに関する規制が厳しすぎることが指摘できる。コンテンツの流通を促進し、市場の活性化を図ることは、中国におけるエンターテインメント産業の成長にもつながることから、市場の健全な発展に向けた関連法制度の緩和、具体的には、外国映画本数の制限の緩和、音楽・映像ソフトの検査プロセスの迅速化等を要望する。
  4. ライセンス規制の緩和:
    「技術輸出入管理条例」においては、技術移転者側が、供与技術が完全で、かつ有効なものであり、技術目標の達成が可能であることを受入側に保障しなければならない等の移転者側に過度な負担を強いるケースがある。中国への技術移転を円滑に進める観点から、関連規定の緩和を求める。
2. 貿易権・流通権の開放
現状・問題の所在: WTO加盟約束を受け、「外商投資商業分野管理弁法」、「対外貿易法(改正)」の施行等、制度整備が進められている。しかしながら、「外商投資商業分野管理弁法」の実施細則が公表されていないことから、流通権を取得できる基準や手続が不明確である。
要望・解決策: 「外商投資商業分野管理弁法」に基づき、要件を満たした外資商業企業には流通権を付与するとともに、同規則の実施細則の早期公表による流通権の取得基準等の明確化を求める。また、WTO加盟約束に伴う制度等の整備が進められる以前から、中国において商業活動に携わってきた投資性公司や保税区の貿易型企業のような外資系企業、さらには製造業者に対しても、実態を踏まえて権限を付与するなどの措置をとることを求める。なお、貿易権と流通権は、内販型の企業活動を通じてさまざまなバリューチェーン構築をめざす企業にとって不可分の関係にあり、両者の一体的で、整合性のとれた取扱い、総合的な規制緩和の実現を要望する。
3. サービス分野の自由化
○ 金融サービス
【銀行】
現状・問題の所在: WTO加盟約束を受け、人民元業務に関する地理制限が一部前倒しで撤廃されている。他方、現地における業務基盤の違いを考慮せず実質的に内外差別的な扱いに繋がりかねない規制が存する。
要望・解決策: 特に以下の緩和・撤廃を求める。
  1. 業務範囲毎、支店毎の最低持ち込み資本金に関する規定、
  2. 人民元業務に関する支店毎の自己資本比率8%制限ならびにインターバンク借入比率規制40%(中国政府部内で検討中)、
  3. 人民元業務支店の開設要件(開設3年、直近2期連続黒字)。
これらの規制は、撤廃が望ましいが、規制が存続する場合には、少なくとも支店毎ではなく中国拠点全体で要件を満たせば足りるとすべきである。あわせて、支店設立やデリバティブ業務等の認可に関する基準の明確化を求める。
【生命保険】
現状・問題の所在: WTO加盟約束を受け、2004年12月に保険分野の地理的制限、生命保険分野の団体保険等取扱い制限が撤廃されるなど、出資比率50%の上限を除き、外資生保に対する緩和策が実施された。しかし、保険関係法令等について、具体的規定が公布されていないなどの問題があり、実際のビジネス展開に支障をきたしている。
要望・解決策: 「企業年金試行弁法」、「企業年金基金管理試行弁法」、「保険機構投資者株式投資管理暫定弁法」等関係法令について、具体的取扱いを示す細則等を早期に整備してもらいたい。
【損害保険】
現状・問題の所在:
  1. WTO加盟約束を受け、2004年12月に保険分野の地理的制限、出資制限が撤廃された。他方、「外資保険公司管理条例」及び同実施細則により、現地法人設立が認められているものの、認可が先送りされている。
  2. 自動車第三者賠償責任保険を含む法定保険への外資参入が認められていないため、外資は基幹種目である自動車保険を扱うことができない。
要望・解決策:
  1. 設立認可に関して、認可基準をより明確化するとともに、手続面において一層の迅速化と透明性を確保し、要件を満たした申請については速やかに認可を与えることを求める。
  2. 自動車の急速な普及が見込まれる中、豊富な経験を持つ外資損害保険会社に対する自動車保険の開放を求める。これにより、わが国経済界として、中国における自動車保険のインフラ構築への貢献が可能となる。
○ 運送・ロジスティック関連サービス
現状・問題の所在:
  1. 「外国投資物流企業のモデルケース設立事業展開の関連問題に関する通知」において物流企業の定義が示されたことにより、これまで社名に「物流」を冠することが出来ていた貨運代理業、道路運輸業、倉庫業の社名に「物流」という文言を用いることができない等の混乱が生じている。また、外資系国際貨運代理業の設立要件等が緩和されつつある中で、同通知により設立する物流企業は、依然、最低資本金500万ドル、外資出資比率上限50%等の設立要件が課せられている。同時に「本通知」で規定された物流企業の取り扱える業務の中には国際貨運代理業や道路運輸業の業務の中でも求められるものがあり、「物流企業」に限定するのは実態にあわない。
  2. 海上運輸サービスに関して、海運業に従事する会社の業務展開については、支店開設地に定期配船が行われていることが条件とされ、内陸には支店設置ができないなどの制限が存在する。
要望・解決策:
  1. 物流企業の定義を狭義にせず、実態に即したものに改善するよう求める。これにより、「物流」という文言の社名への使用を広く認めていただきたい。あわせて、物流企業の設立要件の緩和を求めたい。
  2. 海上運輸サービスについて、上記制限等の早期撤廃を求める。
○ 建設・エンジニアリングサービス
現状・問題の所在: 「外商投資建築業企業管理規定」等により、外資企業は現地法人を設立しなければ開業できない他、厳しい基準に基づき定められる資質等級により取扱うことのできる案件に差異が設けられている。また、独資現地法人には別の受注制限が課せられている。
要望・解決策: 特に以下を求める。
  1. 独資現地法人は、外資過半の工事、国際金融機関のプロジェクト等以外を受注することができないが、公共事業等への参入も認めていただきたい。
  2. 現地法人の資質等級を取得する際の資本金、常雇従業員、工事実績等の要件を緩和し、資本金額の引き下げ等を行うべきである。
  3. ジョイント・ベンチャーの請負工事範囲については等級の高いほうの業者のものを適用していただきたい。
  4. 躯体工事の直接施工(下請負業者に発注する事なく自己において作業員を雇用して施工にあたる)に対する要求を廃止してもらいたい。
○ 電気通信サービス
現状・問題の所在: 「中国電信条例」、「外商投資電信企業管理規定」の施行等により、外国通信企業の参入に関する規定が整備されつつあるものの、実際の参入は進んでいない。
要望・解決策: 企業活動のインフラを提供する電気通信サービスに対するニーズは高度化・多様化しており、それに応えるためにも、特に以下を求める。
  1. 市場競争原理や利用者の権利保護等、電気通信事業における基本原則を定める電信法の早期制定、及び、外国通信企業の中国における事業展開に向けた参入マニュアルの策定を求める。
  2. 主に上記規定に基づく資本金・電信業務経営許可書申請要件をはじめとする新規参入要件を緩和してもらいたい。特に、最低資本金の引き下げ、既存の合弁法人により付加価値通信サービスを行うための関連規制の緩和を求める。
  3. 付加価値通信サービスでは50%、移動通信、データサービスおよび国内・国際基礎サービスでは49%である外資上限について、過半の外資開放を求める。
○ 観光関連サービス
現状・問題の所在:
  1. 中国における観光関連サービスの需要は、今後増加するものと考えられるが、現在のところ、外資系旅行会社の支店設立が認められていない。
  2. 外資系の旅行会社による海外旅行(香港、マカオを含む)の取り扱いが認められていない。
要望・解決策:
  1. 加盟約束によれば、2006年1月より設立が認められることから、スケジュールどおりに、可能であれば前倒しで、支店設立が認められることを求める。また、支店設立に向けた準備作業を進めるためにも、早期に具体的な設立手続き等を公表いただきたい。
  2. 中国国民による海外旅行を含め、外資系の旅行会社による海外旅行取扱業務の早期開放を求める。
≪貿易≫
1. 関税の削減・撤廃
現状・問題の所在: WTO加盟に伴い、関税を大幅に削減、撤廃することが約束された。
  1. 関税率の引き下げは、概ね譲許表に従って実施されているが、写真フィルム等では、従価税で譲許したにも関わらず、実行税率で従量税を適用し、譲許率を上回る関税が徴収されている。
  2. 加盟約束の移行期間の終了後も、一部の素材、部品、製品(例えば、オーディオビジュアル機器、フラット・パネル・ディスプレイ式カラーテレビ、カラーテレビ用プラズマ及び液晶パネル、プロジェクション・スクリーン、プロジェクタ、複写機・デジタル複写機、カメラ(一眼レフカメラ、銀塩カメラ)、レンズ、鍵盤、電球、蓄電池、微電子組立機、発振子、ディーゼル・エンジン、トラクター、フォークリフト、熱陰極蛍光放電管、人造繊維短繊維織物、エアコン用部品など)等には10%以上の高い関税が賦課されることとなっている。
要望・解決策:
  1. 関税譲許はWTO加盟に際しての最も基本的な約束であり、譲許表に従い、関税引き下げが遅滞なく実施されることが重要である。従量税の適用による譲許率を上回る関税徴収については、直ちに是正することを求める。
  2. WTO新ラウンド交渉あるいは自主的な自由化を通じて、さらなる引き下げに取り組むことを求めたい。
2. 自動車の輸入に係る措置の透明性確保
現状・問題の所在: 自動車の輸入については、本年1月より、輸入車自動許可管理制度が開始された。要件を満たす申請全てに輸入許可証を発給する旨、規定されている。
要望・解決策: 規定どおり、要件を満たす申請には輸入許可証を発給してもらいたい。
3. アンチダンピング措置の発動における透明性確保
現状・問題の所在: WTO加盟に伴い、アンチダンピング措置に係る規則・手続を「アンチダンピング協定」に整合化することが約束された。これを受けて、「アンチダンピング条例」やその実施細則が施行されているが、特に当該措置の運用に関して、調査開始手続き、被調査産品及び国内同種産品の認定等で「アンチダンピング協定」と整合的でないと考えられる点がある。
要望・解決策: 安易なアンチダンピング措置の発動は、最終的に中国企業の競争力低下にも繋がるとの認識が重要である。「アンチダンピング条例」に基づきアンチダンピング措置を発動する場合には、「アンチダンピング協定」との整合性を確保するとともに、特に当該措置に関する情報開示を進める等、関係企業が十分に意見を述べる機会を確保すべきである。
4. コークス輸出規制における透明性確保
現状・問題の所在: 環境や資源保護を理由にコークスの輸出ライセンス発給量が大幅に削減されたことから、コークス価格の高騰を招いた。その後、追加発給されたことから市況は安定し、本年についても、昨年と同レベルの発給が行われる見通しとなっている。
要望・解決策: 輸出規制の撤廃が最も望ましいが、少なくとも、国際貿易に混乱が生じないよう急激な発給量の削減を避けるとともに、割り当てに際しては高い透明性を確保すべきである。
5. 中古設備の輸出に関する手続の簡素化
現状・問題の所在: 機械類等の中国への中古設備の輸出に関して、一部禁止品目が存在する他、輸出が認められるものについても、輸出段階での中国の国家基準への適合検査等において、性能面以外に関する資料提出が求められるなど、手続が煩雑となるケースも見られる。
要望・解決策: 中古設備を輸出する際、日本企業は企業の社会的責任を認識し、厳格な品質管理を行っている。また、中古設備そのものの技術水準が国際的基準からみて必ずしも古いものであるというわけではなく、その活用はむしろ、輸入先の中国企業等に対する技術移転促進やコスト削減にも資することとなる。こうした観点からも、中古設備に係る輸出手続の簡素化を求める。

4.おわりに

日中両国は、日中経済関係のみならず、東アジア経済全体、ひいては世界経済の発展のために、協力を一層強化すべきである。日本経団連は、これまでも、日中通商対話ミッション(2004年3月)や奥田会長を団長とする代表団(2003年11月、2004年9月)の中国訪問などの機会をとらえ、わが国経済界の考え方を中国政府首脳・幹部に直接説明してきた。また、重慶市の長江沿岸では環境植林プロジェクトを推進しており、これらの活動を通じて、日中経済交流の更なる拡大に貢献している。
今後も、これら成果をふまえ、わが国経済界として日中経済関係の拡大と深化に積極的に取り組んでいく所存である。

以上

日本語のトップページへ