[ 日本経団連 ] [ 意見書 ]

首都圏三環状道路の早期整備を望む

2005年7月19日
(社)日本経済団体連合会

日本経団連では、2002年11月の「高速道路整備および道路関係四公団民営化に関する意見」において、首都圏中央連絡自動車道、東京外かく環状道路及び首都高速道路中央環状線の、いわゆる首都圏三環状道路の着実な整備を訴えてきた。しかしながら、これらの整備は、その後、必ずしも順調に進捗しているとはいえない。

首都圏三環状道路の整備の遅れにより、下記のような問題が発生している。

  1. 東京23区内を通行する車両の14%が通過車両であり、都心に用のない通過交通の集中により、首都高を中心に慢性的な渋滞が発生している(圏央道内側で600箇所もの渋滞ポイント)。また、環状道路が無いために、やむなく首都高を通過する車両にとっても、渋滞による時間や燃料の損失が大きい(渋滞の解消により年間4兆円の経済効果が見込まれる)。
  2. 幹線道路の渋滞を避けた車両が、生活道路に流入することで、地域生活者の安全だけでなく、排気ガス・騒音などによる生活環境の悪化も懸念される。
  3. 渋滞は交通速度を低下させCO2を多く発生させるなど地球温暖化の原因にもなっている。

首都圏三環状道路が整備されれば、上記の問題が解決されるほか、物流の効率化により、産業の国際競争力の強化や快適なモビリティの実現が期待できる。また、首都圏三環状道路のメリットを享受するのは、ひとえに首都圏地域だけでなく、首都圏の高速道路ネットワークが完成することで、東西を結ぶ人的・物的交流がスムーズに行われる等、わが国の社会経済全体にとってもメリットが大きい。

他方、諸外国を見ると、ロンドン、パリ、北京やアメリカの多くの大都市では規格の高い環状道路が整備されており、それが都市の基盤インフラとして、都市圏をはじめとする社会経済の発展を支えている。現にわが国でも東海環状自動車道の整備により、上記の問題の解決に大きく貢献している。

このような認識にもとづき、日本経団連として、下記の通り首都圏三環状道路の一刻も早い整備を改めて要望する。

1.政府は、首都圏三環状道路の完成形の整備を計画的に進める必要がある。

2.当面は、東京都市圏の東側は外環、西側は圏央道等を中心とする「重点リング」の概ね5年以内の完成を実現すべきである。

3.東名高速道路から東北自動車道までを繋いで、わが国の高速道路ネットワークの枢要部を形成するには、外環道のうち計画が著しく遅れている関越・東名区間の整備を進めることが重要であり、緊急に都市計画を策定し、直ちに事業着手すべきである。

以上

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