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日本経団連・カナダ経営者評議会(CCCE)
第2回日本カナダ経済会議 共同プレス・リリース【英文正文

2005年11月1日 於:トロント

日加の経済界首脳が二国間及びグローバルな
貿易投資問題について意見交換


〔カナダ・トロント市〕日本とカナダの経済界首脳は本日、第2回日本カナダ経済会議を開催し、両国首相に「日加経済枠組」に署名するよう求めるとともに、日加間の貿易・投資関係の拡大・自由化に向けて迅速に取り組むことや、WTOドーハ・ラウンド交渉の成功に向け努力するよう要望した。
ドミニク・ダレッサンドロCCCE副会長は「本日の会議の目的は、世界経済成長を促進するとともに日加経済関係を強化することにある」と述べた。
ダレッサンドロ副会長は、吉野浩行日本経団連カナダ委員長と共に共同議長を務めた。
吉野委員長は「日加両国の経済界首脳は、お互いに、また両国政府と緊密に協力して、両国および世界の繁栄という目標に向かって努力しなければならない」と述べた。
同会議では、日加経済情勢、WTOドーハ・ラウンド交渉、日加経済枠組および共同研究と、日加間の貿易投資自由化に関する今後の官民の意見交換のあり方などについて話し合った。

1.日加経済情勢

日本経済は緩やかに回復を続けている。好調な企業業績が、雇用や個人消費に波及し、持続的な景気回復・拡大につながることが期待される。
日加の経済界首脳は、小泉政権が郵政民営化法案の成立を機に、日本の構造改革によりスピード感を持って取り組むべきことで合意した。
カナダ経済も引き続き拡大しており潜在成長率の天井に近い状態にある。設備投資や消費者支出、住宅投資および政府支出の伸びなどを中心とした好調な内需により、2007年までの年間の実質経済成長率は3%程度が見込まれる。
リスク要因としては、エネルギー価格の乱高下、米国経済や中国経済の成長のペース、インフレ懸念による金利の引き上げ、及び通貨調整による経済的影響等が指摘される。
より長期的には、両国経済界首脳は、グローバルな不均衡に対する懸念を表明した。例えば、米国における民間貯蓄率の低さと政府部門の赤字の大きさ、それに対する世界の他の地域における政府及び民間貯蓄率の高さなどである。

2.WTOドーハ・ラウンド交渉の推進

本年12月の香港閣僚会議を目前に控え、WTOドーハ・ラウンド交渉は正念場を迎えている。日本カナダ経済会議の出席者は、新ラウンド交渉の成功は、経済的、政治的不確実性を払拭し、世界市場への力強いシグナルとなると共に、経済の持続的成長に寄与することを再確認した。
それ故に、WTOの全加盟国が一致して、実質的交渉の進展に向け、必要な政治的決断を行うことが不可欠である。
WTOドーハ・ラウンド交渉は、経済のいかなる発展段階にある国も膨大な経済的利益を得ることができるまたとない機会を提供している。世界銀行は、世界貿易に対する障壁の除去により、2015年までにグローバルな経済的繁栄は2900億ドル増大すると見込んでいる。
日本経団連とCCCEは共に、主要6カ国の経済団体首脳が構成する組織(“World Business Leaders for Growth”)に参加している。
民間の役割の重要性を認識し、両団体は引き続き“World Business Leaders for Growth”や他のビジネス組織と連携して交渉推進を働きかける。両団体をはじめとする上記組織は、2006年までに、野心的かつバランスの取れた包括的合意が成されるよう努力することを支持する。

3.日加経済枠組

本年1月に小泉首相およびマーティン首相によって「日加経済枠組」の立ち上げが合意された。日本経団連及びCCCEは、枠組に関するこれ迄の進展を歓迎する。日加経済関係の重要な突破口となる同枠組は、なるべく早い機会に、両首脳の署名により開始されるべきである。
それを受けて、両国は、日加間の貿易・投資拡大の必要性や、貿易投資のさらなる自由化における課題について共同研究を開始することが出来る。
両団体は、両国政府が共同研究において、日加間の自由貿易協定もしくは経済連携協定締結の可能性を真剣に検討するよう強く要望した。
両国政府は、貿易投資の自由化に関する焦点を絞った現実的な課題について、両国の経済団体の意見を積極的に求めるべきである。それらは両国が合意した目的を反映するものでなくてはならない。両国の官民合同による、貿易投資の自由化推進に向けた努力については、来年中に、検討すべきである。

日本経団連とCCCEは、20年以上にわたり、日加経済関係や他のグローバルな経済課題について協力している。

以上

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