[ 日本経団連 ] [ 意見書 ]

日ASEAN包括的経済連携協定の早期締結を求める

2005年12月2日
(社)日本経済団体連合会
日本商工会議所
(社)経済同友会
(社)日本貿易会

わが国にとって、地理的に近く経済関係が緊密で、今後更なる成長が期待される東アジアは極めて重要な地域であり、本年12月にマレーシアで開催される初の東アジアサミットを契機に、これら諸国との経済関係がより一層強化されることを強く望むものである。

特に、わが国企業が長年にわたる事業展開を通じ強固な相互補完関係を構築してきたASEAN諸国は、わが国産業全体にとって引き続き重要な生産拠点であり市場である。また、近年の域内経済統合の進展に加え、東アジア全体のバランスある発展を図る観点からも、ASEANの重要性が高まっている。

このため、わが国が現在推進しているASEAN各国との二国間経済連携協定(EPA)に加えて、ASEAN域内国間の取引や二国間EPAのない国々との貿易、更には投資面を含めたビジネス環境の整備等をも対象とする日ASEAN包括的経済連携協定が必要不可欠となっている。

この協定の実現により、日ASEAN域内全体において、より自由で円滑な事業基盤の確立が容易になるとともに、更に分業・協力体制を深化させることができる。とりわけ、わが国で生産した高付加価値の部品・素材等をASEANの加工・組立拠点に輸出し、それらを組み込んだ製品をASEAN域内において低関税で取引できるなど、わが国企業はより柔軟な海外事業展開が可能となる。一方、ASEANにとっても、新たな製品の生産拠点としてわが国からの投資の拡大が見込まれるなど、本協定は日ASEAN相互の発展に資することとなる。

現在、東アジア地域では、中国や韓国等がASEAN全体との自由貿易協定(FTA)への取り組みを加速している。わが国企業は中韓との厳しい競争状態にあるASEAN市場において、こうした動きに乗り遅れることになれば、競争力を失うだけでなく、日本国内で高付加価値製品の生産拠点を維持することが困難になる惧れがある。

従って、われわれ経済界は、今後の東アジア全体の経済関係強化に向け、高度な自由化と包括的な内容を目指し、かつ、簡素で明確な累積原産地規則を有する日ASEAN包括的経済連携協定の交渉を加速化させ、早期に締結するよう強く求める。

以上

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