[ 日本経団連 ] [ 意見書 ]

アスベスト新法案について

2005年12月5日
(社)日本経済団体連合会

現在、政府は「石綿による健康被害の救済に関する法律案」の次期通常国会での立法に向け準備を進めている。被害の拡大防止と救済制度の早期構築が待ったなしの段階を迎えており、下記の諸点に留意しつつ新法整備を行うよう強く要望する。

  1. 石綿は歴史的に見て、その利便性、有用性が早くから注目され、時にはその使用が奨励される一方、曝露時における健康への影響という科学的究明が後手に回った経緯がある。健康被害の救済制度構築にあたっては、政府、地方自治体、事業者など関係者全てが協力の上、納得性のある形で進める必要がある。

  2. 新法大綱案(2005年11月29日)では、救済給付の費用負担に関し、事業主等からの徴収を基本としている。しかし、被害の拡大に関しては予防的な取組みや省庁間の連携が不十分であった点が政府部内での点検でも指摘されている。政府は単なる補完的な役割ではなく、より明確な役割を果たすべきである。

  3. 救済給付の支給に関する費用負担案は、合理性に欠けており、十分な検討が必要である。

  4. 制度の発足が急がれる一方、実態の把握になお時間を要することに鑑み、被害者の状況や費用の発生などを踏まえ、時限的な立法とするなど、一定期間内に確実に制度見直しを行うべきである。その際、産業界の意見を十分斟酌することとすべきである。

以上

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