日米経済連携協定に関する経団連・BR共同声明

(仮訳・英文正文

2007年1月19日
日本経団連/ビジネス・ラウンドテーブル

日本経団連及びビジネス・ラウンドテーブル(BR)は、日米経済連携協定(EPA)が日米経済及び世界経済に及ぼし得る潜在的影響力は甚大であると考え、日米両国政府に対し、EPAの交渉の枠組みに向けた検討をできる限り速やかに開始するよう求める。そのような検討を進めるために、両国政府は産学官による共同研究を開始すべきである。共同研究は出来る限り早く開始されるべきである。
経団連及びBRは協力して、交渉の枠組み及び内容につき民間部門の意見を提言していく。

日米経済関係は、両国のみならず、アジア地域の安定的発展及び世界経済の成長にとっても死活的に重要である。両国の経済を合わせると、世界のGDPの4割を占める。両国はそれぞれ製造業及びサービス分野における技術、ノウハウ開発の先駆者である。そして両国経済は深く結びついている。米国にとって日本は、NAFTAに次ぐ輸出先であり、中国に次ぐ輸入先である。同様に、日本にとって米国は最大の貿易相手国であり、日本企業にとって米国は最大の投資先である。日本の対米投資により、米国に約60万人の雇用が生み出されている。同様に、米国は日本にとって最大の投資元である。

こうした経済面での実績は、近年のかつてなく良好な経済関係を反映している。日米EPAは、将来にわたる両国の強固な同盟関係を象徴し、日米経済関係に長期的な安定と新たな発展の機会をもたらすことにより、この相互依存関係をさらに発展させるであろう。また日米EPAは、ダイナミックに変化を続ける世界において、日米両国が経済大国としての役割を維持・強化する上でも役に立つ。さらに、日米EPAは、アジア太平洋地域の広域経済統合の推進にも、建設的な役割を果たすであろう。

日米EPAは、包括的かつ高水準な協定でなくてはならない。両国経済は深く結びついているとはいえ、障壁も残っている。日米経済関係には、未だ手付かずの大きな潜在的可能性がある。たとえば、近年の二国間の貿易・投資の伸びは緩やかなものに止まっており、非効率的な規制が経済成長の妨げとなっている。EPAは、モノ・サービスの貿易における関税その他の障壁を除去し、開かれた投資環境を保証し、規制改革を推進し、モノ及びヒトの安全かつ効率的な移動を促進することにより、こうした状況を改善することができよう。

さらに日米EPAは、世界の二大経済大国が、21世紀の国際経済のあるべき自由化の姿について、青写真を提供する機会ともなろう。EPAは、経済の開放度について、新たなパラダイムを確立することができる。特に、サービス貿易及び投資の自由化、知的財産権の保護、困難な規制の問題など、日米の産業界が世界中で直面している重要な課題に対処する上で新たな地平を切り開き、これらの課題を二国間、地域または多国間の通商協定で取り上げる際の、高水準なモデルを提供するであろう。

他方、日米EPAは、貿易・投資により経済成長を拡大しようとする他の試みを代替するものではなく、補完するものである。特に、日米両国は、ドーハ・ラウンドの妥結を含めたWTOにおける多国間の自由化を、引き続き積極的に推進していかなくてはならない。国内においては、両国ともに、自国の企業や労働者の競争力を最大限高めるために、各々取り組むべき課題がある。しかし、世界規模の通商交渉が停滞している今こそ、日米両国政府が率先して範を示すことにより、貿易・投資の自由化及び規制改革の重要性を強調するとともに、日米経済関係の新たな基礎固めをする良い機会である。

以上

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