日本経団連訪中東欧ミッションに関する御手洗会長所見

2008年6月6日
(社)日本経済団体連合会

  1. 日本経団連では、2004年のEU加盟以降、高い成長を続け、わが国企業の進出が加速する中東欧諸国の重要性に鑑み、6月2日(月)から6日(金)にかけて、ハンガリー、チェコ、ポーランドにミッション(団長:御手洗冨士夫日本経団連会長)を派遣した。

  2. 訪問各国では、政府首脳ならびに経済界との意見交換を通じ、日本からの投資の拡大に対する期待の大きさを改めて強く感じた。拡大EUにおける新たなビジネス戦略を構築するにあたり、これまでの組立型産業重視から高付加価値・知識集約型産業育成への政策シフトが見られるなど、中東欧諸国の位置づけはダイナミックに変化しつつある。
    着実な成長を続けるEUの中でも、中東欧諸国は目覚しい発展を遂げている。近年、急速に中産階級が育っており、消費市場としての重要性が高まっている。この豊かな市場に対し、付加価値の高い製品を供給していくことは、今後、日本企業にとって不可欠な戦略となる。
    また、欧州の中心としての地理的優位性を活かし、物流の拠点としても注目されつつある。これに伴い、わが国企業の同地域への投資は明らかに第2フェーズに入りつつある。他方、3カ国では労働力の不足ならびに賃金の上昇など克服すべき課題が顕在化し始めている。

  3. 経団連提言「日EU経済連携協定に関する共同研究の開始を求める」(2007年6月)に基づき、EU全体との貿易投資の自由化、ルールや制度の改善・調和を進める観点から、経済連携協定(EPA)を含め、わが国とEU全体との経済関係の一層の緊密化に向けた協力を呼びかけた。今回の直接対話が、3カ国がEU加盟国としての立場から日EUの経済連携の強化に取り組む契機となることを期待する。経団連からは、3カ国における事業の拡大・円滑化を一層推進すべく、投資協定の締結を含め、事業投資環境の一層の整備に関する要望を先方に伝えることができた。

  4. 日欧がともに直面するグローバルな課題についても意見交換を行った。その中で地球温暖化問題については、わが国経済界としての基本的立場(ポスト京都議定書の国際枠組みへのすべての主要排出国の参加、セクター別積み上げ方式の採用による公平な削減目標の設定等)について、理解と一定の支持を得ることができた。

  5. 経団連としては、上記の成果を踏まえ、今後も中東欧諸国ならびにEU全体との緊密な政策対話を通じ、日欧経済関係のさらなる緊密化を推進していく所存である。

以上

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