日本経団連/米国ビジネス・ラウンドテーブル共同声明

〔仮訳/英文正文
2009年6月11日


日本経団連と米国ビジネス・ラウンドテーブル(BR)の首脳は、本日、会合を開催し、持続的成長を促進するための共通の関心事項について話し合った。
会合では、金融・経済危機からの脱却、WTOを中心とした多角的貿易体制の強化とドーハ・ラウンドの妥結、保護主義の回避、日米経済関係の強化とアジア太平洋地域の経済統合の推進、気候変動への対応について、以下の点で合意した。

1.金融・経済危機への対応と持続的経済成長の実現

経団連とBRは、日米両国の景気刺激策や4月のG20金融サミットで合意された国際的な金融・経済イニシアティブを支持する。
経団連とBRは、日米経済や世界的な経済回復を刺激するために財政拡大が必要であることは認めつつ、景気が回復した折には、日米両国において、財政規律を回復することが重要であるとの認識を共有した。

2.多角的な貿易・投資体制の維持・強化

経団連とBRは、WTOを支持し、ドーハ・ラウンドにおいて、野心的でバランスのとれた合意に出来る限り早期に達することにコミットしている。両団体は、野心的でバランスのとれた合意によるWTOドーハ・ラウンドの早期妥結は、世界経済の回復を促進することに繋がると考える。
経団連とBRは、上記の非常に重要な目的を達成するため、今後も協力を続けていく。

経団連とBRは、保護主義を回避するというG20の合意を引き続き強力に支持する。

3.日米経済関係の強化とアジア太平洋地域の自由化推進

経団連とBRは、日米経済連携協定(EPA)の締結を目指して両国の経済関係を一層強化することで合意した。両団体は、日米EPAは、アジア太平洋自由貿易圏構想(FTAAP)や環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)など、アジア太平洋地域における広域経済連携の枠組みの形成にも繋がっていくものと考える。
さらに両団体は、2010年に日本、2011年に米国がAPECやABACの議長国を務める機会を最大限に活用し、APECを通じたアジア太平洋地域の貿易投資の自由化と同地域の経済統合の促進に向けて、日米両国がリーダーシップを発揮すべきことで合意した。

4.気候変動への対応

経団連とBRは、有力な科学者によると、過去100年間で地球は温暖化しており、気温の上昇はグローバルな生態系に多くの悪影響を及ぼしつつあることがますます明らかになっていることを認識する。気候変動が社会や生態系に与える影響は潜在的に重大で広範にわたるため、科学が進化し続ける中にあっても、気候変動のリスクに対応するため措置を今、とることが賢明である。
経団連とBRは、環境保全、エネルギー安全保障とグローバルな経済成長の間で適切なバランスをとることが重要だという認識を共有した。
また、両団体は、大気濃度の増加を遅らせ、最終的には気候変動のリスクを減少することが出来るレベルに大気濃度を安定化させる目標に向けて、集団的・国際的な取組みによりグローバルに温室効果ガスを削減することを支持する。
この目的に向けて、両団体は、米国やインド、中国などの新興経済国を含む全ての主要排出国の参加する公平で実効ある枠組みを構築することが不可欠であると信ずる。

技術は、世界で温室効果ガスを減少させ、将来にわたって力強い経済成長を確保する上で決定的な役割を果たす。政府は、グローバルな温室効果ガス削減のための枠組みの提供や、重要な技術の開発を支援することは出来るが、新しい効率的な低炭素技術の開発・普及やエネルギー効率の向上に関しては、経済界が中心的な役割を果たすものであり、またそうすべきである。
我々は、国際的な政策のリーダーシップとバランスの取れた技術の組み合わせのみが、エネルギー価格の上昇によってもたらされた世界経済成長へのマイナスの影響を緩和しつつ、温室効果ガスの大規模な削減を可能にすると考える。

両団体は、両国経済関係の拡大と深化、さらには世界経済の発展のため、今後とも緊密な協力を継続することで合意した。

以上

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