第二次ASEANミッション(インドネシア)に関する御手洗団長所見

2010年1月12日
(社)日本経済団体連合会

I.成果

  1. 1.2010年の年頭に、経団連首脳8人で構成する第二次ASEANミッションを率いて、ASEANが本部を構えるインドネシアを直嶋経済産業大臣とともに訪問し、わが国経済界の(1)アジア重視の方針と、(2)日本政府と一体となって、開かれた地域経済統合を進め、インドネシアをはじめアジアの成長に貢献していくという固い意思を、改めて内外に示すことが出来た。

  2. 2.現地では、内需主導の景気回復が見られ、2009年の国内総生産成長率が4%を見込むなど、昨年10月に発足した第二次ユドヨノ政権が順調に滑り出していることを印象づけられた。

  3. 3.ユドヨノ大統領、ハッタ経済担当調整大臣、マリ商業大臣、スリ財務大臣、ヒダヤット工業大臣兼インドネシア商工会議所(KADIN)会頭、ダルウィン エネルギー鉱業大臣、クスモKADINインドネシア日本経済委員長等、インドネシアの官民リーダーとの懇談を通じ、(1) 一昨年7月に発効した両国EPAの活用などによる両国経済関係発展の展望と(2) 地域経済統合の推進と広域インフラ整備を柱とする経団連の「アジアの成長戦略」について、共通認識の形成を図ることができた。

  4. 4.日インドネシア経済合同フォーラムでは、インドネシア6つの経済回廊の整備について話し合い、そのうち2つについて戦略的な分野とインフラを特定し、具体的にプロジェクトを官民が一体となって進めていくことで、両国の官民が一致し、両国経済の成長と一層の経済関係発展のための道筋を作ることができた。

  5. 5.アジア総合開発計画について、ERIAとASEAN事務局とそれぞれ懇談した。スリンASEAN 事務総長との間では、春先に東京でシンポジウムを開催するなど、今後の経団連―ASEAN事務局間の協力推進について合意した。

II.求められる対応

今回の訪問成果を日本とインドネシア経済関係の発展とアジア経済の成長に確実につなげるために、関係方面と連携して以下の対応を進める。

1.広域インフラ整備

  1. (1) 官民が一体となって、アジア広域インフラの一角を占めるインドネシアの6つの経済回廊とその周辺の戦略的な産業・インフラ整備を進める。そのために、両国における官民連携(PPP)スキームの確立、わが国のJICAの海外投融資再開、円借款供与の迅速化、バイアビリティ・ギャップ・ファンド(案件に事業性を持たせるための政府開発援助等の注入)、無償資金協力の拡充を求める。

  2. (2) 経団連は、ASEAN事務局、東アジアASEAN経済研究センター(ERIA)、アジア開発銀行(ADB)と、アジア総合開発計画を推進する。その一環で、ASEANと協力して、今春、東京で同計画に関するシンポジウムを開催する。

  3. (3) 官民を挙げて国際シンクタンクであるERIAへの協力を強化する。

2.資源エネルギー協力

  1. (1) 資源エネルギー安全保障の観点からインドネシアと資源面の協力を強化する。そのために、エネルギー資源開発でのPPPの推進、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の機能強化(出資機能の拡充、政府保証による市中銀行からの調達容認、など)が必要である。

  2. (2) 官民が一体となって石炭・鉱物資源、原子力、電力インフラ面での協力強化を図る。特に、電力での石炭火力依存を強めるインドネシアへの低炭素型発電技術の協力を推進する。

3.消費需要の喚起

中間所得層が拡大するインドネシアの消費需要喚起と民生向上に貢献するため、経済界は、EPAによる貿易投資の活性化を通じて、高品質で低価格の商品提供に努める。

4.日インドネシアEPA強化(人の移動)

EPAに基づく看護師、介護福祉士の受け入れ円滑化のため、官民一体で協力を進める。当面は、介護福祉士候補者に対する受験回数の拡大などの検討が必要である。

なお、今回の訪問の成果を3月15日のアジア・ビジネス・サミットの議論に反映していくこととしている。

以上

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