ISOの社会的責任(SR)に関するガイダンス文書ISO26000は、2008年9月のサンチャゴ総会で、作成原案(WD)から委員会原案(CD)へと格上げすることが決定されました。WDに対してはワーキンググループ(WG)に参加するエキスパート毎にコメントを提出していましたが、CD以降は、各国国内委員会の合意に基づく賛否投票とコメントを提出することになりました。
サンチャゴ総会での検討を踏まえて修正されたCDは、12月15日に各国国内委員会に回示されました。
※ISO26000のCD原文および邦訳版は、ISO/SR国内委員会のホームページをご参照ください。
http://iso26000.jsa.or.jp/contents/document.asp
日本では、ISO/SR国内委員会(委員長:松本恒雄 一橋大学大学院法学研究科教授)において検討を行い、2009年3月12日、CDを次の段階に進めることにコメントを付して賛成投票をしました。
国内委員会は、産業界、労働組合、消費者団体、NGO、政府、調査・研究機関等の6つのステークホルダー・グループからの委員約30名で構成されています。産業界からは、鍛治舍巧 日本経団連企業行動委員会社会的責任部会長はじめ、東京商工会議所、関西経済連合会からの委員を含めて14名が参加しています。
コメントは、各ステークホルダー・グループの代表から成る幹事会で5回の会合を重ねて起案され、国内委員会の決定を経て提出されました。日本としては、早期発行を目指して、CDの基本的な内容を支持しつつ、より実践的なガイダンスとすべく、80個のコメントを提出しています。
日本経団連では、産業界委員の意見を集約して幹事会のコメント起案作業に臨みました。産業界からは、
などについて、具体的な提案を行いました。これらの点については、他のステークホルダー・グループとの共同作業や調整を重ね、当初の修正提案と異なる点もありますが、何らかの形で反映することができました。
※日本のCDへの回答は、以下のホームページをご参照ください。
http://iso26000.jsa.or.jp/contents/record.asp
各国からのCDへの投票・コメント提出は3月12日で締切られました。アメリカと中国が反対票を投じましたが、3分の2以上の国が賛成したため、次回総会で議論した後に、CDから次の段階(国際規格案=DIS)へと移行することとなります。
なお、正式な投票権はありませんが、WGに参加する国際経済団体のうち、OECD民間諮問委員会(BIAC)が賛成、国際商業会議所(ICC)は反対の立場をとって、加盟組織からのコメントをまとめて提出しています。
次回総会開催までのスケジュールは次の通りです。
3月27日前後 | WG事務局からコメント集を回付 | |
4月13日〜17日 |
統合起草タスクフォース(IDTF)会議および 議長諮問グループ(CAG)会議〔於 バーレーン〕 * コメントの中から主要論点を特定 * 今後の対応方針、WG総会の進め方等の検討 | |
5月18日〜22日 | 第7回WG総会〔於 カナダ・ケベックシティ〕 * 主要論点に関する討議と合意形成 |
日本経団連では、社会的責任経営部会のISO対応チームを中心に、引き続き、国内委員会への意見反映、産業界エキスパートの支援を行ってまいります。また、ISO26000の内容も踏まえて、会員企業のCSR推進に役立つ情報提供等を行ってまいります。会員企業の皆様のご支援、ご協力をお願いいたします。