社団法人 経済団体連合会
わが国経済を活性化させ、安定的成長軌道に乗せ、さらには豊かで活力ある高齢化社会を実現するためには、所得、消費、資産の税制全般にわたる抜本的見直しが不可欠である。とりわけ、所得税、法人税等の直接税に偏った税体系を改め、直間比率の是正を進める必要があり、消費に対する課税の比重を高めていくことは避けられないと考える。
また、所得課税については、納税者番号制の導入とあわせて、総合課税への移行を検討すべきである。
それぞれの税制を考えるにあたっては、常に国際的整合性に力点を置くべきであり、とりわけ、企業の実質的な税負担の国際的イコールフッティングが重要である。
わが国産業、なかんずく製造業の国際競争力を維持していくことを念頭においた税制の構築が不可欠である。すでに米国、ドイツをはじめとする先進諸外国では、企業の国際競争力の強化に向けた総合的な対策を進めている。一方、日本の国際競争力は、「国際競争力レポート」(WORLD ECONOMIC FORUM) によると、総合順位では93年まで守った首位の座から第4位に転落し、企業の税負担の面でも、国際的に極めて重い状況にあることが示されている。
地価税は、固定資産税との二重課税となっている上、生産手段として有効に活用されている土地にも課税されている。また、地価税による負担は特定業種、特定地域において過重となっている。土地の有効活用を図るという政策目的にそぐわない不公平・不合理な税であり、撤廃すべきである。
94年度の評価替えに伴って、負担は年々、最低でも5%ずつ増加している。このような毎年の大幅な負担増加は、行政サービスに応じて負担するとされる固定資産税の本来の性格からいって受け入れられるものではない。
96年度改正において、少なくとも現在の負担水準に据え置くべきであり、さらに次回(97年度)の評価替えに際しては、税率の引下げ、評価のあり方の見直し(地価公示価格の7割評価の見直し)等の抜本的改正を行うべきである。
企業がリストラを進める上で、長期保有土地の譲渡益に対する重課制度の廃止が不可欠である。また、大規模かつ優良な都市・住宅開発を促進する観点から、個人の長期土地譲渡益課税についてもバブル前の水準に軽減すべきである。
土地を取得する側においても、土地の登録免許税、不動産取得税が固定資産税評価額の大幅な引き上げに伴い過大な負担になっていることから、これらの税の軽減が必要と考える。