『規制緩和推進計画の改定に望む』について

経団連行革推進室

作成趣旨

年度末の規制緩和推進計画(以下「計画」と略)の改定に経済界の意向を反映

検討・建議等のプロセス

1. 担当委員会毎に、94年11月17日の規制緩和要望(456項目) の実現状況を精査するとともに、新たに会員企業・団体にアンケート調査等を実施。これを踏まえ、継続要望および新規要望を整理。

2. 10月９日の会長・副会長会議、12日の行政改革推進委員会（委員長　今井新日本製鐵社長）で審議。

3. 12日の行政改革推進委員会の席上、豊田会長から江藤総務庁長官に手交。委員会終了後、豊田会長・今井副会長が官邸に野坂官房長官を訪ね直接建議。
   また17日には今井委員長が飯田行政改革委員長を訪問、建議。

意見書の概要

計画の評価と改定に当たっての政府への期待

1. 計画の評価（これまでの実施状況を評価。分野として金融・証券・保険、労働、農業等、規制の態様として需給調整の観点から行われている参入規制、価格規制等に関する計画の拡充の必要性を指摘）
2. 内閣への期待（改定スケジュールの早期公表。行政改革推進本部における実効ある形での内外からの意見・要望の聴取。見直しの視点の一層の厳格化）
3. 行政改革委員会への期待（46項目の論点全てについて大胆な提言の取りまとめ）

計画の円滑な実施のために官民の果たすべき役割

1. 行政の役割（摩擦軽減の観点から適切な経済運営と個別対策。競争政策の積極的展開。地方自治体の規制緩和と行政手続条例の早期制定）
2. 行政改革委員会の役割（計画の実施状況の監視と改善策の意見具申・勧告、監視結果の公表、既往の閣議決定の実施状況の監視）
3. 民間事業者の役割（規制緩和に伴う痛みを覚悟する経営姿勢、不透明・不公正な商慣行等の是正、規制緩和の成果の活用）

具体的な要望項目

1. 17分野 588項目につき要望（うち 217項目は新規要望）　
2. 分野毎の主な要望事項は以下の通り

１．土地・住宅分野

• 都心居住推進のための規制緩和（容積率の緩和、関連公共施設への補助の拡充、住宅付置を義務づけている指導要綱の廃止等）
• 竣工検査内容の簡素・合理化（躯体と内装の検査の分離等）
• 木造三階建て共同住宅の建設可能地域の拡大

２．情報通信分野

• 第一種電気通信事業の参入規制緩和（需給調整条項の廃止を含めた見直し）
• 道路占用規制の緩和（広域にわたり設備を敷設する場合の許可取得手続の簡素化、電気通信事業者の占用許可更新手続の簡素化等）

３．流通分野

• 大店法の段階的廃止
• 一般酒類小売業免許・製造たばこ小売販売許可に係わる需給調整の観点からの参入規制の廃止
• 医薬品の一般販売業許可の許可基準（管理薬剤師の配置等）の大幅緩和

４．農業分野

• 新食糧法運用面での規制緩和（選択的減反制度の実現、米穀流通に係わる規制緩和の徹底、米穀の政府買入価格・売渡価格の段階的引下げ等）
• 農業生産関連の規制緩和（飼料生産、農業機械、畜舎等）
• 農産物価格支持制度等の見直し（麦・加工原料乳・乳製品、砂糖、でん粉、豚肉等）

５．運輸分野

• 営業用車両の車検期間の延長、トラック事業者の最低保有台数基準の見直し
• 国内航空路線における運賃・料金規制の見直し（幅運賃制の導入等）、競争促進策の推進
• 内航海運の船腹調整事業の計画的解消に向けたスケジュールの明確化、国際船舶制度の創設

6-1.通商分野

• 輸入促進地域(FAZ)制度の改善（商業・工業地域区分の除外、制度の恒久化、総合保税地域の認定基準の緩和等）
• 民間職業紹介事業、労働者派遣事業の自由化
• 不合理な関税や高関税の見直し（自動車部品関税の関税撤廃、果物の季節関税の廃止等）

6-2.ＡＰＥＣ関連分野

• 農産物等の高率関税・関税格差の是正
• 商用ビザの取得手続の透明化・簡素化

7-1.金融・保険分野

• 金融業務の自由化（業態別子会社の業務範囲の見直し）、金融持株会社制度創設の検討
• 厚生年金基金の資産運用規制（５・３・３・２規制）の見直し
• 債権流動化手法の多様化（資産担保型証券の国内における発行解禁）

7-2.証券分野

• 時価発行増資に係る規制の撤廃
• ＣＰ発行に関する規制緩和（発行適格基準の撤廃、リース・クレジット会社の使途制限ならびに資金運用規制の緩和）
• 株式委託手数料の段階的自由化

7-3.国際金融分野

• 外為法における資本取引に係わる規制（非居住者に対する金銭の貸付及び対外直接投資等）の緩和
• 外為法における特殊決済（相殺、交互計算等）に係わる規制緩和

８．エネルギー分野

• 石油化学製品製造用の原油（重質ＮＧＬ）及びナフサの同時蔵置禁止規定の廃止

９．環境・廃棄物分野

• 産業廃棄物の分類・判定基準等の見直し
• 自社廃製品の収集・運搬に関する業の許可の緩和

10．保安・安全分野

• 保安関係法令（高圧ガス取締法、消防法、労働安全衛生法、石油コンビナート等災害防止法）の規制の重複排除、整合性確保
• 自主検査・自主保安の推進（一定レベル以上の技術力・管理能力を有する事業者への自主管理制度の導入）
• ガソリンスタンドのセルフ化

11．経済法規・会計分野

• 自己株式取得・保有規制の緩和（ストックオプション制度の導入に向けた自己株式の保有、取締役会決議による自己株式の取得）
• 株主代表訴訟制度の見直し
• 借地借家法の見直し（定期借家権の創設、定期借地権の最短期間の短縮等）

12．技術開発分野

• 産官学の連携の推進に向けた研究公務員、教育公務員の兼業規制の緩和
• 政府の委託研究等の成果の取扱の改善（受託企業への成果の帰属等）
• 海洋浮体構造物の製造、設置、定期検査等に関する多重規制の排除

13．競争政策分野

• 純粋持株会社の解禁
• 大規模会社の株式保有総額の制限の廃止
• 国際契約に関する届出義務の廃止

14．公益法人分野

• 民間公益法人の設立許可の簡素化
• 特定公益増進法人の認定の弾力化