創造的な人材の育成に向けて
〜求められる教育改革と企業の行動〜

はじめに


  1. これまでのわが国の発展を支えてきた「追いつけ、追い越せ型」、「官民協調型」のシステムは今や完全に行き詰まっており、現在わが国は、大きな変革期を迎えている。今後の来るべき21世紀を展望すれば、わが国が目指すべき基本的な方向は、規制の撤廃・緩和を通じて、真に豊かで活力ある民間主導の市民社会を形成することである。そして、このような社会においては、あらゆる分野でいきいきと活躍する創造的な人材が求められ、こうした人材の育成が緊急の課題になっている。そのためには、個人の創造性の発揮を阻害している、教育制度や企業の行動、組織風土を根本的に見直す必要がある。

  2. このような問題意識に立って、経団連では、昨年2月、『創造的な人材の育成に関する懇談会』を設置し、教育関係者など外部のアドバイザーの参加も得ながら、初等・中等教育から高等教育、企業の人事・雇用システム、さらには家庭・地域における教育を含め、創造的な人材育成のあり方について、幅広く検討し、今般提言を取りまとめた。
    本提言では、創造的な人材育成に向けた教育改革の基本的方向、ならびに企業自らが改革すべき課題を述べている。
    これを契機に、教育改革が一層進展することを期待するとともに、会員企業に対しては自己改革への積極的な取り組みを呼びかけ、創造的な人材を育成する環境作りに継続的に取り組んでいきたい。

  3. なお、教育問題については、さまざまな観点からの検討が考えられるが、今回は、創造性発揮の視点を中心に提言をまとめた。今後さらに、広い角度から教育問題に取り組んでいきたい。


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