【別 紙】
なかでも一般歳出に占める社会保障関係費の割合は、1996年度予算で33.1%と、年々高まっており、今後ともさらに増大して財政を大きく圧迫することが懸念される。従来、社会保障は官の役割と考えられ、全ての社会保障サービスを官が提供するとの考え方を基本に進められてきたが、国民のニーズの多様化に対応できないばかりか、財政的にも破綻しつつある。社会保障においても、官民の適切な役割分担の観点から、民の全面的な参加を実現しないかぎり、望ましい社会保障給付水準を実現することはできない。今後は、むしろ官の責任をシビルミニマムに限定し、公的サービスの適正化、効率化を図るとともに、社会保障制度の再設計、運営にあたっては、民間の知恵と活力を最大限に活用すべきである。
利用者本位の多様な社会保障サービスの供給体制を確立するには、民間の知恵と活力を利用したサービス供給が可能となるよう、介護施設・人材の確保などの社会保障インフラを早急に整備する必要がある。
また、シビルミニマムを超えるサービスを受ける場合の財源については、自らのリスクと選好に応じて、貯蓄、民間保険などによる自助努力を基本とすべきである。
経団連が本年7月に実施したアンケートでは、95年度の企業の公的負担(税負担+社会保障負担)率は70%を超えており、現行制度のままでは、今後さらに高まっていくおそれがある。これ以上の企業の公的負担の増大は、経済活力を削ぎ、社会保障制度を支えるための財源を枯渇させることにつながりかねない。
年金、医療、福祉を柱とする社会保障制度を再構築するにあたっては、それぞれの制度が持つ目的、役割に照らして、最も適切な財源方式を検討すべきである。その場合、各制度毎に社会保険方式、税方式などの選択肢があり、その是非を国民の前に明らかにして、各制度を再設計すべきである。
また、老人保健における定額負担の定率化や、医療保険における定率の自己負担の適正化などを通じて、国民全体、全世代の公平な負担により、社会保障制度を支えるべきである。さらに、社会保障の効率化を図るためには、個別制度間の給付調整、高額所得者への給付の制限などが不可欠である。
以 上