『規制の撤廃・緩和等に関する要望』について
1996年10月28日
(社)経済団体連合会
- 取りまとめの趣旨
現行『規制緩和推進計画』の最終改定となる来年3月末の計画改定に向け、規制緩和、申請等の負担軽減について具体的な要望を取りまとめ、その実現を政府・与党、行政改革委員会等に働きかける。
- 意見書の特徴
- 大規模なアンケート調査に基づく包括的な要望
- 規制緩和の経済効果の分析・公表、政省令等の制定手続きの整備、申請等の負担軽減に係わる新たな基準の設定等を提言
- 農業、運輸、金融・証券・保険、医療・福祉、教育の5分野につき重点を置いた取りまとめ
- 規制行政の総合的な合理化を図る観点から、申請等の負担軽減を規制緩和と別建てで要望
- 取りまとめの経緯等
96年7月 全会員企業・団体へのアンケート調査実施
┌ ┐
│調査対象 1,167社・団体 │
│ 回答数 │
│ 規制緩和関係 270社・団体 1,965件│
│ 申請等の負担軽減関係 181社・団体 465件│
└ ┘
8~9月 関係委員会で調査結果に基づき要望事項を取りまとめ
10月1日 会長・副会長会議において審議
10月28日 行政改革推進委員会において審議・決定。
政府・与党、行政改革委員会等に建議
11月19日 理事会で追認(予定)
〔11月中下旬 政府行政改革推進本部で意見陳述〕
- 意見書の構成
全体は (1)基本的な考え方、(2)規制緩和要望、(3)申請等の負担軽減要望の3部構成。その概要は以下の通り。
- 基本的な考え方
- 規制緩和について
経済構造改革の梃子として規制緩和を位置づけた上で、特に下記の事項等を要望
- 現行『規制緩和推進計画』の最終改定となる来年3月末の計画改定において、計画内容の大幅拡充。改定後は、現行推進体制を評価・分析した上、98年度以降の新たな推進体制を構築
- 民間事業者による規制緩和措置の活用を促進するため、規制緩和措置の詳細に加え、その活用事例、規制緩和により可能となる事業機会、予測される市場規模等規制緩和の経済効果に関する情報を内外に提供
- 規制行政の実質的な根拠となっている政省令の制定手続きの整備(例えば、審査権を国会に留保、制定・定立過程への関係者の参加、原案への意見提出権の確立等)
- 申請等の負担軽減について
許認可等の申請に関して、申請書記載事項の簡素化・統一化、添付書類の削減・統一化、押印の必要性の見直し等を進めることは、申請者の事務的・経済的負担の軽減に繋がるだけでなく、電子化・ペーパーレス化の条件整備となるとの認識に立って、特に下記の事項を要望
- 『規制緩和推進計画』において、規制緩和措置と申請等の負担軽減措置を峻別。負担軽減措置については新たな基準を設定(例えば、申請書等の様式・添付書類の統一、変更届出手続の簡素化、押印の必要性の見直し等)し強力に推進
- 情報公開法(仮称)の制定を機に、行政機関の情報収集活動についての手続的規定を整備(例えば、調査対象者に、調査目的、根拠規範、任意調査・強制調査の別、調査結果の公表方法等を事前告知。非公開を約束して調査を行う場合、事後に約束の存在を証する方法を規定する等)
- 規制緩和要望
17分野699項目 うち新規411項目
特に優先的に実現すべき事項は以下の通り。
- 農 業
- 新食糧法運用面での規制緩和(選択的減反制度の徹底、米穀流通に係る規制緩和の徹底、自主流通米の入札取引の改善等)
- 農産物価格支持制度等の見直し(小麦、ビール大麦、加工原料乳・乳製品、てん菜・さとうきび、でん粉、豚肉等)
- 農業生産法人の構成員要件の見直しなど農地保有に係る規制緩和
- 運 輸
- 車検制度の見直し
- 貨物鉄道事業の運賃に係わる規制緩和
- 内航海運業における船腹調整事業および運賃協定の見直し
- 国内航空分野における参入規制の見直し
- 金融・証券・保険
- 業務分野規制の見直し(信託・証券子会社の業務範囲等の見直し、金融持株会社制度の創設)
- 企業年金に係る資産運用規制の緩和
- 証券業の免許制から登録制への移行
- 株式委託手数料の自由化
- 外国為替管理制度の抜本的見直し
- 医療・福祉
- 営利法人による病院等の経営の解禁
- 医療等に関する情報公開規制の緩和
- 医療法人の理事長資格制限の緩和
- シルバーマーク制度の見直し
- 教 育
- カリキュラム編成の弾力化
- 教材選択の弾力化(教科書選択の自由度の拡大ならびに副教材の届出制への移行)
- 遠隔教育の実施
- 土地・住宅
- 土地取引規制に係わる規制の見直し(土地取引届出制度に関する事後報告制の導入等)
- 住宅輸入の促進に係わる規制緩和(建築資材の相互認証および規格・基準の国際的整合化の推進、新素材・新工法の導入を容易にする認定制度の見直し、技術進歩や海外との防火思想の違いに配慮した木造住宅における建材の構造規定の緩和等)
- 工場立地に係わる規制の見直し(工業(場)等制限法の抜本的見直し、工場の緑地の敷地面積に対する割合の緩和等)
- 情報通信
- 事業者区分(第一種・第二種)の見直し
- 料金・約款認可制の緩和、プライスキャップ制の導入
- 雇用・労働
- 民間有料職業紹介事業の自由化、労働者派遣事業の自由化
- 女子保護規定の見直し
- 裁量労働制の適用範囲の拡大
- 経済法規・会計
- 合併・分割法制の整備
- 自己株式取得・保有に関する規制緩和
- 借地借家法の見直し(定期借家権の創設)
- 競争政策
- 純粋持株会社の解禁
- 大規模会社の株式保有規制の撤廃・緩和
- 合併の事前届出の緩和
- 申請等の負担軽減関係
16分野187項目 うち新規152項目
「規制の撤廃・緩和等に関する要望」要望項目数
分 野 | 規制緩和 | 申請等軽減 | 総 数 |
要望数 | うち新規 | 要望数 | うち新規 |
1.農業分野 |
26 | 1 | 3 | 2 | 29 |
2.運輸分野 |
30 | 19 | 10 | 10 | 40 |
3.金融・証券・保険分野 |
168 | 90 | 39 | 31 | 207 |
4.医療・福祉分野 |
24 | 23 | 5 | 5 | 29 |
5. 教育分野 |
9 | 8 | ─ | ─ | 9 |
6.土地・住宅分野 |
50 | 34 | 15 | 13 | 65 |
7.情報通信分野 |
27 | 18 | 7 | 5 | 34 |
8.流通分野 |
27 | 13 | 12 | 7 | 39 |
9.貿易・投資分野 |
27 | 17 | 11 | 7 | 38 |
10.エネルギー分野 |
16 | 11 | 17 | 15 | 33 |
11.雇用・労働分野 |
19 | 15 | 12 | 12 | 31 |
12.環境・廃棄物分野 |
20 | 14 | 5 | 4 | 25 |
13.保安・安全分野 |
205 | 132 | 28 | 25 | 233 |
14.経済法規・会計分野 |
33 | 8 | 7 | 4 | 40 |
15.技術開発分野 |
5 | 3 | 3 | 3 | 8 |
16.競争政策分野 |
13 | 5 | 6 | 5 | 19 |
17.公益法人分野 |
6 | 0 | ─ | ─ | 6 |
18.統計分野 |
─ | ─ | 7 | 4 | 7 |
小 計 |
699 | 411 | 187 | 152 | 886 |
*重複するものがあるため、最下欄の計数は各分野の項目の合計と一致しない。
以 上
日本語のホームページへ