「企業の採用方法の変化と人材育成に対する意識調査結果概要」について

1997年3月4日 
(社)経済団体連合会 
創造的人材育成協議会


  1. 調査の趣旨・目的
  2. 創造的人材育成協議会(会長:末松謙一 経団連副会長・さくら銀行会長)では、創造的な人材育成のための環境整備を促進するために、各企業に対しては、採用のオープン化・多様化、柔軟な処遇制度の構築などを訴えてきている。
    今般、このような活動の一環として、標記アンケート調査を実施した。結果概要は以下の通りである。(詳細は、別添本文参照)

  3. 実施方法と回答状況
  4. 1996年11月、経団連法人会員企業999社に対して調査票を発送し、400社から回答を得た(有効回答率 約40%)。なお、同様の調査を1995年10月に実施しており、今回の調査結果と比較・検討した。

  5. 調査結果の概要
    1. 「熱意・意欲」「協調性・バランス感覚」とともに「創造性」を重視
    2. 採用の際に重視する項目では、文系・理系を通じて「熱意・意欲」「協調性・バランス感覚」「創造性」を重視する企業が多く、前回の調査と比較しても順位に大きな変化はなかった。しかし、今回は、文系と理系とに分けて調査したところ、「専門的知識・研究内容」(文系 5.6%、理系63.8%)をはじめ、10%以上差が開く項目は7項目(「協調性・バランス感覚」「一般常識・教養」「出身学部・学科」「熱意・意欲」「学生時代に特に力を入れて取り組んだこと」「個性」)となり、文理で採用の際に重視する項目が大きく異なる結果を得た。
      なお、前回調査と同様に、「出身学校」を採用の際に重視する企業は、文系で6.6%、理系で5.1%にすぎない。

    3. 採用のオープン化・多様化の進展
    4. オープンエントリー制(文系70.4%、理系56.7%)、学校名不問の採用(文系11.9%、理系9.2%)を導入する企業の割合が伸びるとともに、自分の母校あるいは研究室等の学生に採用を呼びかける制度であるリクルーター制度は、既に廃止した・導入していない、あるいは削減の方向で検討している企業が文理ともに7割以上となった。また、時間をかけて丁寧に個人の能力・資質を評価するために、職種別採用(文系21.9%、理系32.6%)や通年採用(文系15.1%、理系17.1%)・秋期採用(文系6.8%、理系7.1%)を導入する企業が増えてきており、総合的に見て、採用のオープン化・多様化は、前回の調査と比較しても、着実に進展している。

    5. インターネット活用の本格化
    6. こうした採用形態のオープン化・多様化と並行して、情報機器の活用が図られている。特にインターネットを採用に活用した企業は約4割、今年(1996年)から利用した企業も約3割となり、インターネットの採用への活用が本格化してきている。多くの企業では、「ホームページに学生向け企業案内ページを設けている」(87.4%)が、他に、「国際的な採用活動への利用」(7.3%)、「仮想会社訪問・仮想入社体験」(5.2%)などでも利用されるなど、今後、利用形態の多様化が予想される。

    7. 能力とやる気を引き出す柔軟な処遇制度の導入の進展
    8. 企業内の人事システムにおいても、個人の持つ能力を生かし、やる気と能力を引き出す処遇制度の導入が進んでいる。高度な専門知識を有する人材を特別に処遇する制度である専門職制度(47.6%)や、人材の創造性を引き出すために有効と考えられる社内公募制(43.3%)、年俸制(25.1%)、裁量労働制(17.3%)などの導入が進められている。

    9. 企業の家庭教育への支援に向けた環境整備の進展
    10. 企業としては、家庭教育への側面的支援として、従業員が家庭教育に参加しやすくなるような環境作りに努める必要がある。今回の調査では、約9割近い企業で、育児休業制度が設けられているのをはじめ、「従業員の休暇取得の促進」(78.3%)、「労働時間(残業時間)を減らす」(75.0%)、「フレックスタイム制の導入」(61.0%)など、大枠の制度は整備されてきているとの結果を得た。

以 上


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