自己株式消却に関する緊急要望

1998年1月27日
(社)経済団体連合会


最近の金融システムの動揺と株式市場の低迷等を背景に、景気停滞色が強まっている。このまま株式市場の低迷が続けば、わが国経済は深刻な状況に陥ることが懸念される。
そこで、株式市場の活性化、さらには金融システム安定化のため、議員立法により時限措置として、自己株式消却に関する商法の特例および税制の手当てを要望する。

  1. 商法の特例により、2000年3月末までの時限措置として、法定準備金を財源として、株主総会の特別決議に基づく自己株式消却および定款授権に基づく自己株式消却を行なうことができるものとする。この場合には、一定の債権者保護の措置を講ずる。
    なお、特例の施行後最初の定時株主総会までは、株主総会の決議を経ずに取締役会決議による取得ができるものとし、最初の定時株主総会で消却の承認を得なければならないものとする。

  2. 上記の措置に基づく自己株式消却については、みなし配当課税の凍結と同様の税制の特例を設ける。


*詳細については別紙参照

以 上


[別紙]

自己株式消却のための時限措置についての考え方

  1. 期間
  2. 2000年3月末までの自己株式の取得について適用する。

  3. 措置内容
    1. 法定準備金を財源とする自己株式の取得・消却に関する商法の特例
    2. (1) 内容
      公開会社は、法定準備金を財源として自己株式を取得し、これを消却することができることとする。

      (2) 意思決定手続
      1. 株主総会の特別決議
        定時株主総会の特別決議により次の定時株主総会までに自己株式の取得・消却を行うことができる。
      2. 定款授権に基づく取締役会決議
        定款授権に基づき取締役会決議により自己株式の取得・消却を行うことができる。
      3. 施行後最初の定時株主総会までの特例措置
        特例の施行後、最初の定時株主総会までは、株主総会の決議又は定款での授権を要さず、取締役会の決議により自己株式の取得を行うことができることとする。取得した自己株式については、最初の定時株主総会において、その消却について特別決議による承認を得なければならない。承認が得られない場合には、相当の時期に自己株式を売却しなければならない。

      (3) 債権者保護手続
      1. 資本金に欠損が生じる虞があるときは、自己株式の取得・消却を行ってはならないこととする。
      2. 自己株式の取得・消却を決議した後、商法第412条に基づく(合併時の)債権者保護手続(官報及び定款紙による公告並びに異議申述期間の経過)が完了するまでは、会社は取得した自己株式の消却を行うことができないこととする。

    3. 税制の特例措置
    4. 上記の措置に基づく自己株式消却については、みなし配当課税の凍結と同様の税制上の特例措置を設ける。

以 上


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