わが国の構造改革と景気回復に資する追加的経済対策を要望する

1998年2月9日
(社)経済団体連合会


現在政府・自民党は本年度末に向けてさらなる経済対策を検討中と聞いている。経済界にとって、本年度3月末の株価や新年度からの景気動向は重大な関心事であり、アジア経済の安定のためにも、予算の年度内成立と追加的な経済対策を是非講じていただきたい。その場合、経済対策がわが国の構造改革と景気回復の両面に効果があるようにするためにも、下記の点を十分考慮に入れた対策にしていただきたい。

  1. 既に公表・提案された対策の早期実現(法案の早期成立、施行)
  2. 既に政府・自民党は昨年11月18日の緊急経済対策をはじめさまざまな施策を公表・提案しているにもかかわらず、法制化が遅れ、対策が具体的に実現していないものがある。これらについては、早急に国会に関連法案を提出し、成立・施行させることが景気回復の観点からも必要である。

    (例)
    金融関連2法案、土地再評価益の資本金組み入れ、資本準備金を財源とする自己株式消却、借地借家法の改正(定期借家権の導入)、労働者派遣法の改正(ネガティブリスト化)、国土利用計画法の改正(事後届け出制)など

  3. 講じた(講じる予定の)施策の周知徹底
  4. 既に講じた(講じる予定の)施策についても、そのメリットが国民に周知徹底されないため、効果が十分あらわれていない。施策のねらいとそれに伴うメリットを含め、広報活動を一層充実・強化する必要がある。

    (例)
    特別減税と補正予算の成立(ゼロ国債)、住宅・土地関連税制、有人セルフサービス給油取扱所の導入など

  5. 新たな規制緩和推進3ヶ年計画の策定と着実な実施
  6. 現在、政府では行政改革推進本部が新たな規制緩和推進3ヶ年計画を3月末を目途に策定すべく作業中であるが、経済効果の高いものを中心に抜本的なものをとりまとめ、着実な実行を図る必要がある。

  7. 税制改革等構造改革の方向性の明確化
  8. 税制改革等の構造改革については、方向性と道筋が明確にならないため、企業・国民の漠然とした不安感を払拭できていない。政府・自民党は早期に改革の方向性と道筋を明確化し、将来像を国民の前に示すことで、経済活性化に弾みをつける必要がある。

    (例)
    経済活性化のための経済構造改革・所得税改革・法人税改革(実効税率40%の実現)・年金改革(公的年金の積立方式への移行、企業年金における確定拠出型年金の導入、特別法人税の早期撤廃等)の道筋の明確化、2003年を目標とする財政構造改革の意義など

  9. 高コスト構造の是正
  10. わが国の高コスト構造が引き続き、産業の競争力を損ね、本格的な景気回復の足かせになっている。順調な景気回復と経済構造改革の整合性をとるためにも、高コスト構造を是正する必要がある。この観点から、電力料金の引下げは評価される。

    (例)
    エネルギー、物流、情報通信、労務等のコストの引き下げと「経済構造の変革と創造のための行動計画」の前倒し実施

  11. 効率的で重点的な公共事業の切れ目のない執行
  12. 景気の現状を判断すれば、切れ目のない公共事業の執行により経済を下支えする必要がある。効率的な執行とともに重点配分を実現しながら、出来る限り98年度上期に前倒しして公共事業を執行すべきである。

以 上


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