政府一体となった地球温暖化対策を望む

1998年3月9日
(社)経済団体連合会


気候変動枠組条約第三回締約国会議でまとまった京都合意の着実な実施に向けて、政府は具体的かつ実効ある温暖化対策を総合的に推進すべく、橋本総理を本部長とする地球温暖化対策推進本部を設置し、1月9日に、省エネ法の改正強化を始めとする対策を決定した。地球温暖化問題は、かつての地域における公害問題とは違って、国をあげて全国ベースで取組むべき課題であり、政府の一体的な取組みを歓迎する。
産業界は、石油ショック以降、懸命な省エネ努力を重ね、世界最高水準のエネルギー利用効率を達成しているが、引き続き、温暖化対策に自主的かつ積極的に取組む決意である。37の産業が参加した経団連環境自主行動計画の着実な実行とフォローアップを通じて温暖化の防止に努める。
ところで、環境庁が今国会に提出を目指している地球温暖化防止対策推進法案については、省エネ法との重複等の問題があり、産業界としては特に下記の点を要望する。

  1. 重複した規制は排すべきである
  2. 省エネ法の規制強化が図られるなかで、環境庁は、省エネ法はエネルギーの効率的利用を目的とするものであり、温暖化防止を目的とする法律が別途必要であるとして、事業者に温室効果ガスの削減計画を作成させ、これを都道府県知事に提出させて、都道府県が指導・監督するという法制度を検討している。しかしながら、温室効果ガスの9割近くはエネルギー起源の二酸化炭素である。環境庁の法制度は実質的に省エネ法と二重規制となり、事業者は二重の指導・監督を受けることになって、混乱を招く。政府全体として整合性のとれた効率的な対策を講ずるべきである。

  3. 公害対策型の手法から発想を転換する必要がある
  4. 交通流の円滑化や地域の熱供給システムの構築等に向けた社会経済インフラの整備、地場の事業者への助言、地域住民へのエコライフの呼びかけといった面で、都道府県が温暖化防止に果たす役割は重要であろう。しかし、経済活動の基盤であるエネルギーの使用によって発生する二酸化炭素をはじめとして温室効果ガスの排出抑制を都道府県が指導・監督することは、全国的に事業を展開している企業にとって機動的な生産量の拡大や立地などが困難になりかねないというだけでなく、企業が全国ベースで効率的に温暖化対策を講ずる上で却って妨げとなる惧れもある。したがって、温暖化対策として、都道府県が指導・監督する公害対策型の手法には賛成できない。

以 上

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