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1%クラブ寄付対象団体の紹介

1%クラブニュース (No.64 2003 秋)

特定非営利活動法人 A P E X
代表理事 田中 直

APEX(Asian People's Exchange)は1987年に設立した非営利の国際協力団体です。アジアについて学び、アジアを歩き、現地のNGOに協力・支援しながら活動を続けています。APEXの発足は、1983年に開催されたセミナー「第三世界を考える」が原点。セミナーで「第三世界」と呼ばれる途上国が直面する問題の巨大さ、深刻さに驚き、それらの問題が「先進国」との関係で生じていることに気付かされた参加者たちが、アジアを自分の足で歩き、自分たちにできることを探す中から立ち上がりました。
APEXはアジアが抱える問題に対して、短期的・対処療法的ではなく、長期的で構造的な解決へとつながる代案を提出していくことを基本ポリシーとしています。このために、(1)アジア現地のNGOの支援。その地域のことは、そこに住む人々が主体となり問題解決することが大切。現地の優れたNGOを支援してプロジェクトを推進する。(2)解決すべき問題に対して、現場性のある具体的な代案を作り出す。(3)現地の社会・経済・文化に適合し環境負荷の少ない、ニーズに合った参加しやすい「適正技術」の開発・普及を行う。(4)企業・大学・政府など異なるセクター間の連携を重視して協力関係を形成する。このポリシーに基づいて、インドネシアを中心にさまざまなプロジェクトを実践してきました。1995年からは廃水処理技術の開発・普及に取り組み、現在はバイオマスエネルギーの開発と普及事業に力を入れています。
多くのアジア地域では、工場廃水や生活廃水が未処理のまま放出され、水質汚濁問題が深刻です。排水処理設備の導入が進まない理由の1つは、アジア地域に適した排水処理技術が開発されていないこと。先進国型の技術は、あまりにも高価で運転が難しいのです。APEXではインドネシアのNGO、ディアン・デサ財団と協力して、ヤシの繊維を用いた、消費電力と汚泥発生のすくない回転円板式排水処理装置を開発しました。この技術から、日本のメーカーと提携して立体格子状の回転接触体を用いた廃プラスティック製の新型回転円板を開発しました。画期的な性能を得て、2001年からアジア各地域に適したさまざまな排水処理技術を開発し普及する事業を行っています。
バイオマスエネルギーは東京農工大学とディアン・デサ財団の協力を得ながら進め、粘土を触媒とする独自の流動接触分解技術(国際特許出願中)を開発。この技術開発でメタノールの製造を目指し、自然界のあらゆるバイオマスを原料に、環境負荷のない、燃料の製造を目指しています。地球温暖化防止に寄与できるかもしれないと、期待しつつインドネシアと日本を往復する日々です。
年々加速するNGOの仕事と会社勤めの両立が難しく、1999年に石油会社を退職、技術開発に専念しています。バイオマスエネルギー開発も、次の実験段階に入り企業との協業が必須となりました。皆様のご理解とご支援をと願っています。

〒110-0003 東京都台東区根岸1-5-12 井上ビル
Tel:03-3875-9286 Fax:03-3875-9306
http://www.apex-ngo.org/

特定非営利活動法人
市民コンピュータコミュニケーション研究会(JCAFE)
代表 浜田 忠久

JCAFE設立のきっかけは、1991年の湾岸戦争でした。初代環境庁長官の大石武一氏の呼びかけで結成された市民団体「ペルシャ湾の命を守る地球市民行動ネットワーク」にボランティアとして参加しました。ここでコンピュータ通信ネットワークを活用してマスコミにも載らない湾岸戦争に関する情報の受発信を行うNGO「進歩的コミュニケーション協会(APC)」の存在を知りました。私は当時、NECの研究所でインターネットを使っており、心の中で「新しい通信手段を活力ある市民社会の構築に活用できる」と直感しました。
私は大学卒業と同時にNECに就職しましたが、いつも2足、3足のわらじで、演劇集団「夢創船」の主宰者、脚本家、演出家として社会人中心のメンバーと演劇を、並行してイベント企画集団も主催して、楽しみながら仲間とそれぞれの夢を実現しようと活動していました。この活動を通じて市民社会の動きを知り、暮らしやすい市民社会は、一人ひとりの活力がつながっていくことで作れると、実感していました。APCとの出会いで、今後の方向性が見えてきたのです。
日本にもAPC拠点を作ろうと呼びかけ、1993年にNPO「市民コンピュータコミュニケーション研究会(JCA)」を設立、自宅を開放してサーバーを設置しました。当時はまだコンピュータネットワークに対する一般の理解が低く、これを使う意義と、いかに市民活動に役立つ手段かを知らせる啓発活動に力を注ぎました。1995年には専用線を引き、活動内容の充実を図りました。個人でインターネットに接続するには高価な頃です。JCAは市民活動を行う人たちに無償でインターネット環境を提供し、活用を促していきました。1997年にはインターネットが次第に世間に広まり、JCAの活動規模が急速に拡大。会員も400名を超え、もはや個人負担の無償開放では運営が難しい局面に入りました。そこで、さまざまな市民団体に呼びかけて、JCA-NETを立ち上げ、APCのノード権とサーバーをJCAから移譲。サーバーを運用するために、プロバイダーサービスを有限会社として事業化しました。特定非営利活動法人制度がまだ無かった頃、活動を継続するために選択した方法でした。2000年末に法人格を取得し、21世紀の幕開けが新たなスタートの年となりました。現在、3名の専従と約10名のアルバイトスタッフがいます。事業収入は年々増加し本年度は約3千万円の見込み。活動内容もホスティングサービス、Web制作、コンサルテーションなど多岐にわたります。
自分の中でJCAFEの活動意義がますます膨らみ、費やす時間の必要性から今年4月、NECを退職しました。JCAFEの代表として更なる活動に専念したいと思います。企業は技術者の宝庫です。その力を市民社会でも活かせるように、1%クラブの皆様のご協力とご支援をお願いします。

〒101-0064 東京千代田区猿楽町2-2-5 興新ビル206
Tel:03-3291-0512 Fax:03-5685-0691
http://www.jcafe.net/

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