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いま、社会の一員として

─ 地域社会との共生をめざす企業と市民団体 ─

高知県
(No.60 2002 冬)

2002年新春号の幕開けは、幕末を駆け抜け明治維新の扉を開けた坂本龍馬の生誕地、高知県からです。四国の南半分を占める東西に長い同県は、北の県境に急峻な四国山地が連なり、広い南面は黒潮躍る太平洋。県西部を流域とする四万十川は日本最後の清流として知られています。県土の80%以上が山地の高知県は、豊かで多様な自然と温暖な気候風土に恵まれたところ。かつおの一本釣り、ハウス園芸などの特色ある一次産業や、土佐和紙などの特産品とともに、龍馬に代表される反骨の「いごっそう気質」や酒文化など、ユニークな地域文化も生み出してきました。
今回の訪問先企業は高知市に本店を構える(株)四国銀行と、須崎市に本社のある地場産業、(株)フタガミです。四国銀行は1878年、第三十七国立銀行として創立以来、「地域社会の発展に貢献する」ことを企業使命と位置付けてきた地方銀行です。120余年の歴史ある同行は誕生の地である高知県を核として、現在は四国を中心に130余の店舗を持つ四国屈指の地域金融機関。地域とともに歩む「信頼される銀行」を目指して事業を展開すると共に、1978年には四国銀行福祉基金を設立。豊かな地域づくりを目指した社会貢献活動へ積極的に取り組んでいます。フタガミの設立は1967年。当初は二神木工として家具・建具の製作販売、建築の内・外装などの木工事業が主体でしたが、専門工事業、住宅建築業、ホームセンター事業、カー用品専門店事業へと順次事業を拡大。現在は高知県下7市6町に20を超す店舗を構えています。社屋周辺から始まった清掃活動は小中学校を含め広く周辺地域に波及。県産材のヒノキを構造材に使用する住宅建築事業では、山村と都市を結ぶ森林保護活動に取り組むなど、二神社長の強い信念のもとに幅広い環境保全活動を実践しています。
四国銀行の取材は公務・支店部の門田芳穂副調査役に、フタガミの活動は二神昌彦社長に伺いました。また、「市民が地域の主体として、社会に開かれた責任ある存在」になることを目標として、広義の環境問題に視点をあてながら着実かつ積極的な活動を展開する高知市のNPO「くらしを見つめる会」を訪ね、内田洋子代表からお話を伺いました。


地域とともに歩む、「信頼される銀行」を目指して
● (株)四国銀行の社会活動

企業は社会のものであり、その中での経営とは、社会や公衆の変化を敏感に捉え、地域の人々と共に発展すること。これが地域金融機関の最大の使命と四国銀行は考えています。創立以来120数年、四国銀行は地域とともに歩み、地域社会の発展に貢献する企業姿勢を貫いてきました。
創業100周年の1978年には社会貢献活動の一環として四国銀行福祉基金を設立。地域福祉の充実に役立つことを願い社会福祉法人への助成活動を始めました。1996年に社会貢献の専任者を設置、公務・支店部の門田芳穂さんが専任担当となり、変革する社会のニーズを踏まえて活動を展開しています。

財団法人四国銀行福祉基金による活動

四国銀行福祉基金の創設からほぼ20年間、基金の助成先は県下の社会福祉法人に限られていました。1970年代には市民活動も少なく社会的理解も乏しい状況でした。公共性に富む有意義な活動へ基金の活用を図りたい。四国銀行は基金への応募・受付を高知県の健康福祉部・長寿社会政策課に委託して助成を行っていました。1996年、社会貢献担当に選任された門田さんにとって、社会福祉やボランティア活動は全く未知の分野。そこで県の関連部署を訪ねて学び情報も集め、地域の福祉関連団体を一軒一軒訪問して、現場の人々から直接話を聞きました。その中から障害児の親御さんによる小規模作業所運営の厳しい現実や、社会福祉法人に比べ格段に少ない援助など愕然とする現状を知ったのです。民間の社会福祉基金を公的補助が得られにくい小規模作業所やNPOの支援に活用したい。門田さんの提言は社会貢献活動への関心と理解の深い会長・頭取の了承を得て、1998年から助成対象に無認可の小規模作業所やNPOが加わりました。以来、心身及び精神障害者通所施設や作業所、不登校児教育施設、自立支援ホームなど25のNPOへ助成を実施しています。門田さんは助成を求める団体を一つひとつ訪問。現況をレポートにまとめて理事会に提出、審査を経て決定されます。審査の重要なポイントは基金による助成が作業所や福祉施設の生産能力向上に寄与するかどうかです。助成先は毎年5団体ほど。年間の助成総額は現在300万円程度で、運用益の減少分は四国銀行が補填しています。
ある時のセミナーで門田さんは「企業の行う寄付は融資だ」と聞き、全くその通りだと共感しその心意気で基金活用を図っています。最近、助成を実施した3カ所の小規模作業所が互いに連携して社会福祉法人を目指す動きがあり、設立準備会への招待を受けるという、うれしいニュースがありました。

四国銀行の寄付活動と自主プログラム

基金による福祉団体への助成に加えて、豊かな地域社会づくりに寄与すべく地方公共団体への寄付もあります。災害義援金や環境・文化・スポーツ・社会福祉を対象とした募金活動は、その都度実施されます。最近の事例では高知工科大学ボランティア・グループへの支援がありました。県内山間部の小中学校を中心に、企業から譲り受けた中古パソコンを使って、インターネットなどIT教育を大学生グループが行う活動です。県からの要請でしたが、門田さんは直接学生たちから要望内容を聞きました。企画内容や考え方、熱意が明快であれば、県の仲介がなくとも寄付をする。これが四国銀行の基本姿勢です。
自主プログラムは使用済み切手やプリペイドカード・書き損じハガキを集めて、発展途上国の支援に役立てる活動です。各支店のカウンターに設置した特注の透明な収集箱へ、お客様からの寄贈が驚くほど多数集まります。昨年度分はジョイセフ、シャプラニール、ダッカ・子どもの夢基金など5団体に寄贈されています。

行員によるボランティア活動の環境整備

ボランティア活動は個人の自主的な活動であり自発性の尊重を原則としていますが、ボランティア活動を行っている行員や活動を希望する人々に、情報や参加機会の提供などの側面的支援、活動しやすい環境づくりが門田さんの選任と共に始まりました。高知県では2001年も大規模な豪雨災害に見舞われました。9月に発生した土佐清水市の災害は想像を絶するもの。土佐清水支店の連絡を受けて、被災地に近い足摺岬の保養所を宿泊施設に開放するなど、最大限の配慮を行い、全行をあげて救援活動に取り組みました。各支店から参加した被災地救援のボランティアは延べ117名になっています。
救援活動が一段落した後、ボランティア活動に参加した全行員に頭取は自ら感謝をこめた「ありがとう」の手紙をしたためました。頭取の手紙は四国銀行が全面的にボランティア活動を支援していると、全員に認知させるもの。門田さんはこの感謝状を各支店に送り支店長から夫々の行員に手渡す方法を進言しました。ボランティア活動に対する支店長の理解を高め、行員たちの意識昂揚につながるようにと考えた提案です。「頭取の感謝の手紙は社会貢献担当者にとって、大変うれしいものでした」と門田さん。

行政・企業・NPOとの連携を目指して

NPO高知市民会議の発足やNPOセンターの立ち上げなど、県下の市民活動グループの活動は最近とみに活発になっています。良き地域づくりを目指す四国銀行は行政・企業・市民が連携して取り組む地域活動を支援しています。社会貢献担当として門田さんは県社会福祉協議会のNPOセンター運営委員として参加し、企業市民部会を担当。県内企業で社会貢献に関わる企業人を集め、企業市民セミナーを開催しています。毎月1回のセミナーには20〜30社の企業人が参加。企業市民部会を充実させ、企業とNPOとの相互交流を図りながら連携していきたい。これが門田さんの目標です。高知県は1999年から公益信託「たんぽぽファンド」を設立してNPO支援を行っています。四国銀行はこのファンドの運用を受託し、事務局としてファンド運営の全てを任されました。助成金は年間500万円。県内NPOを対象に活動ジャンル、法人格、資金用途を問わない柔軟な発想の助成金です。募集要項は四国銀行の県内全店舗に備わり、どの支店でも受け付けます。運営委員は事務局が依頼した各界有識者7名で構成。運営委員会の審査を経て毎年15〜20団体ほどの助成先が決定します。県は運営に一切介入せず、「100%、全て任せていただいている」との説明でした。
四国銀行の行内報には「フィランソロピーコーナー」があります。銀行の諸活動や個々人のボランティア活動、支店ごとのユニークな活動、NPOの情報等を提供し、「地域と歩む」意識も伝えています。
企業の資源を活かし、どの様な形の支援が受け手にとって有益かを絶えず考え、小さな団体の現場の声を聞きながら取り組む四国銀行の社会貢献活動。「こんなにやりがいある楽しい仕事はない」と、気負いなく語る門田社会貢献担当の姿に、地域とともに歩む企業の原点を見る取材でした。

豊かな地域づくりへ。清掃活動から広がった環境保全への取り組み
● (株)フタガミの社会活動

地場の木工所からスタートしたフタガミは1967年に(株)二神木工を設立。県下建築業の一つとして社業を順調に伸ばしました。しかし、1973年のオイルショックを契機に経営は転換期を迎え、現社長の二神昌彦氏は創業者である父親の要請を受け、同社に参加しました。建設業の下請が主事業であった同社で二代目に求められる業務は当然ながらトップ営業。仕事柄得意先との接待も多く、先方からの要求は低価格と納期厳守ばかり。受注業務は全て相手の注文通りで、フタガミの提案は全く受け入れられない状況でした。元請け企業のパートナーとして信頼関係が築けないか。思い悩む日々でした。
そんな中で、日曜大工や園芸用品、組立式家具を扱う「ホームセンター」を開設。想像以上に売上げを伸ばし店舗数を増やしました。一方、下請建築業として長年培われたフタガミの社風、社員の愛社精神や仕事への取組み方などさまざまな問題が表面化して、5店舗目を出店する頃には企業の存続を危惧する厳しい経営状態が続きました。

社風を変えた「掃除」との出会い

フタガミの企業風土をどう改善するか、思い悩む中で二神社長はイエローハットの創業者鍵山秀三郎会長に出会いました。現在「日本を美しくする会」会長も務める鍵山会長はトイレ掃除を続けることで社風を変えた人。自ら「三日坊主の天才」を自認する二神社長は掃除を続ける自信がありませんでしたが、ある時、「三日坊主を続けてみては?」と励まされ、毎朝一人で社屋周辺の清掃を始めました。
「非常に恥ずかしかった」清掃も半年続ける内に近隣の人々に喜ばれ、それが自分の喜びに変わりトイレ掃除も開始しました。他人を喜ばせることを3年5年と毎朝継続していると人間は変わってきます。「人から何を聞くか、人を喜ばせることをどうしたら継続できるかと考えるようになった」と、二神社長。掃除を続けているうちにいつしか社員も毎朝、清掃活動に加わり、近隣の人々や子どもたちも周辺の清掃活動に参加するようになりました。掃除を続けて9年。今では本社・店舗周辺の清掃のほか、住宅街のパークタウンや公園、駅、学校などの清掃活動も早朝あるいは休日に実施しています。「掃除」の継続はいつしか社風を変え、社員の自発的な清掃は関係企業や近隣の人々、小中学校生たちも巻き込んでいます。現在は、清掃活動から生ゴミリサイクル、森林保護、資源再利用、環境教育・啓発活動にも波及。掃除を通じて心を磨く人格形成や学校教育へと大きな輪に広がっています。

トイレを磨いて心を磨こう

2001年の9月、「日本を美しくする会 掃除に学ぶ会」の第2回全国大会が高知市で開催されました。大会の標語は「トイレを磨いて心を磨こう」。県民文化ホールで開幕した大会には全国から700名、県民を入れて1,500名が参集。初日の講演会やシンポジウムで、トイレ掃除の意義や各地での取組みが報告され、2日目は高知市内の小中学校3校と高知女子大でのトイレ掃除実践活動です。掃除には橋本県知事、松尾市長をはじめ全員が参加。既に小学生たちと一緒にトイレ掃除を体験された市長は「心の壁を乗り越え、新しい気付きが得られる自分自身の心の構造改革」と掃除の効用を語っています。
大会実施にいたるまでには二神社長を中心とするフタガミの地道な取組みがありました。地域美化や子どもたちへの環境教育を目指し「高知掃除に学ぶ会」を組織。市内外の小中学校へ掃除指南に出向き、校長先生以下、教師と生徒が一緒にトイレや校舎周辺の清掃を実行するよう活動を続けました。大会終了後は清掃活動に一層の弾みがつき、多数の学校から出前指導の要請が後を断ちません。指南役の社員たちは休日返上、業務時間を割いて出向きますが、夢中で一心にトイレを磨く子どもの表情やピカピカにした時の嬉しそうな顔に疲れを忘れます。子どもの態度や校風も変える清掃活動。フタガミは用具一式を倉庫に揃えて、心を磨く活動を続けています。

森林保全活動を目指す「フタガミ友の会」

住宅建築はフタガミの主力事業の一つ。地球上の資源である木材を多量に消費する建築業には何らかの役割があるのではないか。生業の意義を考える中で、二神社長は木材を生産供給してくれる「山」に目を向けました。山は森を育て、森は木と水と空気を蓄えて、人間を育んでくれます。人間にさまざまな恩恵を与えてくれる山。そこは今、危機的状況にあります。日本の住宅建築は大手メーカーによる安価な外材が主流となり、日本の木材は売れないのです。売れても価額が不安定で、植林、枝打ち、間伐などの再生産が充分に行えず、山が荒廃していきます。
建材に県産のヒノキを使うフタガミは、素晴らしいヒノキを産出する四万十川流域の幡多郡大正町森林組合と出会いました。1994年のことです。翌年、森林組合と「50年生のヒノキ材供給の年間契約」を締結。50年生とは、植林から伐採までを50年のサイクルで循環させること。フタガミが定量のヒノキを安定価額で購入することで、フタガミも良質な木材供給を得られ、森林組合の仕事も安定します。林業と住宅メーカーとの新しい共生のあり方だと二神社長は考えました。更に「お客様に家の木材ルーツの見学を通じて山に関心を持ち、そこを第二の故郷にしていただこう」と願い、都市に住む人々を対象に「フタガミ友の会」を設立しました。山村と都市との仲立ちです。友の会では毎年、春の植樹、夏の下草刈り、秋の枝打ちを開催。毎回60名ほどの人々が大正町を訪ね、地元の人々と交流を重ねています。友の会設立から7年、企業利益に直接結びつく活動ではありませんが、山村のある日本の各地域で森林保全の大切さを見直し、同様のネットワークが育ち広がることを願っています。「山村と都市を結ぶ活動も10年を経過する頃から、人々に認知され長期的に見れば経営の安定と利益に結びつくでしょう」と、二神社長は話されました。

環境保全活動を通じて豊かな地域づくりを

健全な社風づくりからスタートしたフタガミの清掃活動は環境保全への共通認識を育て、環境教育を通じた人づくりや森林保全へ発展し、風土を培う「土壌」づくり支援にも及んでいます。JA窪川町農協婦人部が土づくり・堆肥づくり学習の中から開発を提案して、製品化に協力した土壌「かえるんど(土に還る)」。生ゴミ堆肥リサイクルから生まれた土壌は栄養分に優れた土です。農協が発売していますがフタガミもホームセンターで販売。農協婦人部が開発したリサイクル土壌を流通ルートに乗せて環境負荷を軽減し、豊かな土壌づくりにも寄与しています。また企業としての認識を更に深め、環境保全の一助にと、県下で開催される環境セミナー等にも積極的に参加、活動しています。
現在、社内に環境保全担当部署を設置。環境社内報「良樹細根」を発行して社員の環境保全に対する意識の醸成を図っています。昨年は環境マネジメント国際規格ISO14001を取得、環境負荷の低い商品の開発・普及にも努めています。一人で始めた「清掃活動」から社風が変わり、次第に地域社会から小中学校にも波及して豊かな地域づくりへとつながっています。「一人でも、小さなことでも、実践すること、続けることが大切」。二神社長の信念に満ちた行動力に深い感銘を受けました。

市民が主体となって活躍する、開かれた地域社会を目指して
● 「くらしを見つめる会」の地域活動

「くらしを見つめる会」の発足は1987年。高知市主催の消費者モニター育成講座を終了した人たちによって結成されました。現代表の内田洋子さんは当時最も若く、アトピー性皮膚炎だった幼い娘のため、食品添加物と農薬について学ぼうと講座に参加。途中数年のブランクはありますが、会結成以来のメンバーです。当初、暮らしに視点をあてながら、さまざまなテーマを追いかけて学びましたが、3年もすると、「あれもこれも学び、見学も終えた…」と大きな壁にぶつかりました。ゴミ問題やリサイクルなど環境問題にシフトして活動しても一定期間を過ぎると次の壁に直面。10年を経過する頃には実動会員は6〜7名、活気に乏しい状況でした。

グリーンコンシューマーの活動を開始

その頃、内田さんの興味を引いたのが「グリーンコンシューマー」の活動でした。活動のスタンスは環境に対して優れた取組みをしている企業や商店を応援し、予備軍を育てようというもの。反対や要求ばかりしても社会は変わらない。環境に優れた商品を売っている店舗を探し、消費者が買いに行くことで応援する。自分たちの欲しいものを応援の形で表現していく。グリーンコンシューマーの活動の一つに、環境保全を考慮した優れた店舗を紹介する地域版の「買い物ガイド」の作成がありました。
「高知版の『買い物ガイド』を作成しよう!」1997年、内田さんは早速活動を開始。プロジェクトチームを編成して市内77店舗のスーパーを一軒一軒訪問。経営者に調査内容を説明して現場調査を実践し、結果を高知版「買い物ガイド」にまとめて1998年に出版しました。このガイドは商品を売る側の人々へ「環境に配慮した商品」に対する評価・メッセージを伝えると共に、買う側の消費者へ訴えることを意図したもの。環境への配慮を自ら気付き、行動を起こす消費者が育つこと。そこに重点が置かれています。初回の調査を踏まえ、昨年2回目の調査を実施。2001年3月に2冊目のガイドを出版しています。1冊目は食品から生活用品まで、包装方法、詰め換えや容器再利用、環境や健康への配慮など、省資源・リサイクルへの提案を入れました。2冊目はそれに加え、環境のまちづくり・エコシティ活動を推進しようと、高知県下全53市町村の環境対策も調査し、その結果も公表しました。自分たちの住んでいる地域の環境対策も応援しよう、との意図が込められています。一連の調査・出版に関わる費用は県の公益信託ファンドと環境事業団の地球環境基金から助成を受けて実施したものです。
1999年には地方版の買い物ガイドを作成した団体が集まって「グリーンコンシューマー全国ネットワーク」を組織、同年11月に小学館から出版された全国版の「グリーンコンシューマーになる買い物ガイド」製作にも協力をしています。

マイバッグ・キャンペーンと環境教育劇団「えこ座」

1冊目の買い物ガイド作成の後、調査したスーパーからも会員加入があり、レジ袋を減らす方策の相談を受けました。そこで高知市内の大手スーパーの全チェーン店に「マイバッグ・キャンペーン」を呼びかけ、企画準備を整えて、11事業所74店舗の協力を得、1999年10月に1カ月間実施しました。身近なレジ袋から暮らしと環境を考える運動は市民の話題となり、次の展開につながっています。
日常生活の中で考え、行動を促す環境教育プログラムもその一つです。小さな子どもでも解るようにと始めた活動に環境教育劇団「えこ座」があります。脚本は会の創作、出演者は素人5名。素人劇団でも子どもたちに楽しく面白く観てほしいと、演出と演技指導はプロに依頼して、四国内の巡回公演を目指しています。高松市で行った公演には子ども800名と親で、1,000名を超す観客で大入り満員。小さな子どもたちに圧倒的な人気を博し、みんなが総立ちとなって応援してくれました。

全国市区町村を対象に環境首都コンテストに着手

環境首都コンテストはドイツの環境NGOが始めた行事です。11年継続して、自治体の環境対策をより活性化し、ドイツ社会のエコロジー化に大きな影響を及ぼしました。日本でも環境自治体を目指す市区町村の動きが活発になっていますが、具体的な政策、市民とのパートナーシップのあり方などさまざまな問題を抱えています。そこで、自治体とパートナーシップを組める11の環境団体が連携して全国ネットワークを組織、環境首都コンテスト開催を目指し2年掛かりで検討を重ねてきました。コンテストは最低10年続ける計画で、環境事業団の助成金を受けています。参加自治体の募集は2001年11月に開始、2002年3月上旬にコンテスト結果の発表を予定しています。
「くらし」の視点から環境を捉え着実な活動を重ね、同じ目標を共有する団体と揺るぎないネットワークを構築する「くらしを見つめる会」。目指すものは狭義の環境ではなく、その地域に住む市民が主体となって地域の責任を担える社会づくりです。「最終目標はそこにあります」と語る内田さんの言葉に市民活動の一層の発展を期待しました。

(取材・文責 青木孝子)


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