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ワンパーセントひろば

─ 企業の社会貢献活動のご紹介 ─

(No.45 1999 February)

日産自動車株式会社

● 日産自動車、NPOとのパートナーシップによる新たな試み
  『日産NPOラーニング奨学金制度』を発足

 日産自動車では、昨年11月、社会貢献活動の一環として、『日産NPOラーニング奨学金制度』を設立しました。この制度は、NPO(民間非営利団体)で仕事をしたいという学生を公募・選抜し、当社が、仕事の実績に応じて奨学金を学生に支給するものです。学生が、自律的な行動の求められるNPOで「知的」キャリアを積み、社会に巣立っていくことを目的とするものです。
 本制度は、日本では全く新しい試みでもあり、今回は初年度であることから、受入先となるNPOを、これまで当社と協力関係があり、本制度の主旨に賛同して下さった12の団体としました。学生向けの活動プログラムは、あくまでも、学業の妨げにならない程度の活動時間を考慮して準備されました。現在、各NPOが提示した、環境、福祉、国際協力、文化・芸術などの多様な分野の活動プログラムに対して、希望する学生を公募しています。学生を選抜の後、2月より、NPOでの活動がスタートする予定です。
 われわれが、学生の「学ぶ」環境としてNPOを選択したのは、NPOの「先駆性・創造性」、「専門性」、そして何よりも「自力で考え行動する知力」に着目したからです。従って、将来NPOを志す学生だけでなく、むしろNPOに関わったことのない学生にこそ、この機会を活用して欲しいと考えています。卒業までに、複数のNPOで「学ぶ」ことも可能です。そのような実体験を通じて、自身の社会での姿をより具体的に描いていくことができるでしょう。この制度を作り上げていく上で心したことは、次の三点です。
 第一に NPOは、学生を単なるパートタイムの労働力として受け入れるのではなく、その組織の使命や知識や技術を説明し、彼らを知的体験へと導かなければならないということ。第二に企業の担当者は、NPOや学生の選定に当たって、既成の組織像、人材像に縛られず、「変わった」「これまでなかったような」多種多様なタイプにも目を向けること。そして第三に、企業は、自社のリクルート対策として金を出すのではない。「社会的人材育成」のために金を出すこと。
 今後このような趣旨に賛同する企業によって、それぞれの特色を活かした制度が採用され、制度を活用した若者の中から、将来NPOを志す人、あるいはベンチャービジネスを起こす人、企業に新しい風を吹き込む人が少しでも多く輩出することを期待しています。そしてやがて、この制度が広がれば、学校教育や、「学ぶ」ことに対するイメージも変わっていくでしょう。このような新しい人材育成のための環境づくりに、これまでの教育界とは全く異なる視座をもった企業やNPOの力が活かされるのではないでしょうか。

日産自動車株式会社 広報部社会文化室
TEL:03-5565-2132 FAX:03-3546-2669

安田火災海上保険株式会社

● 名古屋における人形劇専用劇場を活用した社会貢献活動

 安田火災は1989年に名古屋ビルを新設した際、最上階に人形劇専用劇場「ひまわりホール」を設けました。
 名古屋を中心とした中部地区は、「からくり人形」の伝統があり、現在もプロ・アマ含めて約150の人形劇団が活躍している人形劇活動の盛んな地域です。しかしながら人形劇専用のホールがなく、練習や公演に支障をきたしているという話がありました。そこで当社がご協力することになったのです。
 当時はまさにバブル全盛の時代。全国各地で劇場やホールの建設が相次ぎました。しかし残念ながらソフトが揃わない。ハードだけがやたらに立派という施設が目立ったことも事実です。当社は「ひまわりホールを単なる器にはしたくない、地域文化情報の発信基地にしたい」と考えました。そこで、人形劇関係者の皆さんに、ホールの運営を任せられるようなネットワークを作ってほしいと要請しました。この結果、「愛知人形劇センター」というNGOが設立され、ひまわりホールが文化活動の拠点として地元の方々に広く活用されるようになったのです。
 ひまわりホールのこれまでの公演日数は450日、延べ入場者数は93,000人。今では「人形劇のことは安田火災に聞け」といわれるまでになりました。毎年9月の連休に開催される「パペットフェスティバル」では、ビル全体を子ども達に開放して、複数の人形劇を同時に公演しており、3日間で約3,000人が参加する大イベントとなっています。フェスティバルには社員もボランティアとして参加しており、社会貢献活動を実際に体験できるいい機会にもなっています。
 また、当社は98年度より目指す企業像として「人と自然に優しい企業」を掲げ、環境問題に企業として従来以上に積極的に取り組むことにしました。これを受け名古屋ビルでは、98年11月と12月に「親子で学ぶ実践環境講座」を開催しました。親は大学の先生による環境ホルモン等の講演会、子どもは環境問題をテーマにした人形劇を鑑賞し、そのあと親子でリサイクルおもちゃを作ることにより、環境問題について考えるイベントです。約150組・300人の親子が参加し、大いに盛り上がりました。
 名古屋ビルでは今後とも「ひまわりホール」を軸とした社会貢献活動を地道かつ継続的に続けていく予定です。

安田火災海上保険株式会社 地球環境室
TEL:03-3349-9260 FAX:03-3349-3304

三菱地所株式会社

● 東京・横浜・神戸で「三菱地所のSHALL WE」
  オーケストリオ・チューリッヒ '98演奏会を開催

 三菱地所社会環境部では、「まちづくりを通じた真に価値ある社会の実現」や「良き企業市民としての行動」などを掲げた会社の行動憲章に立って、「私たちは、地域社会との共生を大切にし、生活者の立場から心に触れる社会貢献を目指します。」という社会貢献活動理念のもとに、社員一丸となった活動の展開を心がけております。最近、こうした考えをもう1度原点から見直そうということで『三菱地所の宿題(人と企業と社会の共生物語)』という冊子を社内に配布し、本店・支店の各職場で説明会やアンケート調査を実施しています。従来からボランティア登録制度「社会人倶楽部」を設置し保険加入・情報提供・講座集会開催などの支援をしておりますが、会社の立場での活動を含め内容や制度のさらなる拡充を図り全社一体となった社会貢献に発展することを目標とした企画です。
 さて、今回で3年目となった自主プログラム「三菱地所のSHALL WE」オーケストリオ・チューリッヒ演奏会を紹介いたします。高齢者・障害者を中心に地域にお住まいの方々にクラッシク・コンサートをお楽しみ頂こうという社会福祉活動ですが、プロモーターや音楽事務所などを一切通さず全てを当部と社員ボランティアが企画・実施し、専門家は舞台の出演者だけを大切にしています。毎年、日程の調整や曲目の選定をスイスとやり取りするところから始まります。練習場所の手配、楽器の運搬、リハーサルや本番の進行表の制作、当日は舞台の袖・出演者控え室・会場そして調整室にインカムを片手の部員の勇姿が見られ、もうじき部員に演出家が誕生しそうな気配があります。受付や介助の社員ボランティアの活躍も頼もしく感じられます。今回は、千代田区カスケードホールへ特養入所者、千代田区神田さくら館へ父兄と小学生、横浜ランドマーク・ホールへ神奈川県一円の特養入所者、神戸市しあわせの村・シルバーカレッジ・ホールへ仮設住宅入居者を中心にそれぞれご招待し、一般市民の方々と一緒に延べ1,200人余の方々にスタンダード曲や語りの入った日本民話・ソプラノ歌手の日本歌曲などを楽しんで頂きました。最終公演終了後、出演者全員と部員との居酒屋でのささやかなお疲れさま会と反省会で、また来年もという構想が沸いてきます。社協・教委やNPO等の協力に感謝しつつ、新しい出会い、地域との共生を様々なかたちで表現して行こうと思います。

三菱地所株式会社 社会環境部
TEL:03-3287-5780 FAX:03-3212-2362


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