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ワンパーセントひろば

─ 企業の社会貢献活動のご紹介 ─

(No.57 2001 春)

三井物産(株)

● 栃木県、埼玉県、千葉県の中学校で邦楽教育ワークショップを実施

2002年4月1日から文部省による改訂中学校学習指導要領が実施され、“音楽分野では中学校3学年間を通じて1種類以上の和楽器学習をする事”が必要となります。三井物産は、先生・生徒の邦楽学習支援と、プロ演奏家活動支援の3つを目的とし、三井広報委員会と関係の深いORA-J (オーケストラアジア・ジャパンアンサンブル)演奏家陣(尺八・琴・三味線・和太鼓)と、3つの中学校で中学生対象邦楽ワークショップを共同企画・開催しました。
第1回2月1日足利市民会館(3中学校250名参加)
第2回2月5日春日部中学校(全校1000名参加)
第3回2月13日佐倉市臼井西中学校(全校450名/父兄30名参加)
このワークショップは、初めて邦楽に触れる中学生の状況に鑑み、企画の段階からORA-J 演奏家陣と共同で創り上げたもので、プロ演奏家、三井物産双方にとって、新しい試みとなりました。普段邦楽に触れる機会の少ない子どもたちの中には、今回初めて琴や尺八、和太鼓等の音を聞いた子が多く、ワークショップではプロ演奏家指導を受けながら大変興味を持って楽器に触れていました。洋楽を中心に学んできた先生方や父兄からは、「生の邦楽演奏に触れる良い機会になった、もっとこの様な機会が欲しい」とのご意見を戴くことができました。演奏家陣は、通常の聴衆から比べると年齢が幼い子どもたちが興味を持って取り組めるようにと、伝統的スタイルにとどまらない企画作りに、大変熱心に取り組んで下さいました。
三井物産関係者としましても、プログラム実施後、教師・生徒・演奏家3者からそれぞれ、大きな反響を得られたことを喜ばしく受けとめ、今後とも色々な形で子どもたちの新しい挑戦と創造を支援していきたいと思っています。本企画については、他にも実施希望校が相当数あり、生徒からのアンケート結果、演奏家の意見をもとに、今後も当社社会貢献活動の教育プログラムの1つとして内容の検討を重ねていきたいと考えています。

広報室社会貢献グループ
TEL:03-3285-7563 FAX:03-3285-9819
e-mail:/tkabc@xm.mitsui.co.jp

安田火災海上保険(株)

● 社員が支えるスカラシップ制度
  〜安田火災CSOラーニング奨学金制度〜

(財)安田火災環境財団は、2000年度から「安田火災CSOラーニング奨学金制度」をスタートしました。環境CSO(Civil Society Organization)での体験を希望する学生を公募・選抜し、活動実績に応じて奨学金を支給する制度で、今年度は日本野鳥の会、日本自然保護協会、WWFなどの12団体に21名を派遣しています。すでに先行実施されていた日産自動車の「NPOラーニング奨学金制度」にならって制度を発足しました。
「とにかくはじめてだらけ、発見だらけで学ぶことが多い!」「参加しやすいイベント作りをすることで多くの人に環境に興味を持ってもらいたいと思った」…経験交流を目的とした報告会での奨学生の感想です。奨学生は、それぞれ派遣されたCSOで広報誌やホームページの作成、ボランティアスタッフのコーディネートなど、責任あるさまざまな仕事にチャレンジし、7ヶ月という短い間ですが学生生活では得難い貴重な経験を積み、視野を広げています。また、CSOサイドからも「やる気のある優秀な学生が即戦力として活動に参加してくれるのでとてもありがたい」との声をいただいています。
CSOラーニング奨学金制度は、安田火災社員のボランティア組織である「ちきゅうくらぶ」からの寄付金で運営されているところが大きな特徴です。「ちきゅうくらぶ」は、全国各地で植林や清掃活動などさまざまなボランティア活動を実施しており、1999年7月からこれらの活動をバックアップする制度として「ちきゅうくらぶ社会貢献ファンド」がスタートしました。本制度は、社員有志の給与から月々100円以上の金額をチェックオフして集めたお金をファンドとし、社員が行うボランティア活動にかかる費用等に有効活用するもので、このファンドの一部がCSOラーニング奨学金制度の学生の奨学金として使用されています。社員一人ひとりが寄付してくれた大切なお金を目に見える形で有効に活用できるという点からもCSOラーニング奨学金制度は、大変意義ある活動だと感じています。

地球環境部
TEL:03-3349-9258 FAX:03-3349-3304
http://www.yasuda.co.jp/(安田火災)
http://www.ykef.org/(安田火災環境財団)

本田技研工業(株)

● 「環境わごん」による自然体験学習

Honda は1998年の創立50周年を機に、社会活動の理念を定め、3つの重点分野(「モノづくり」「環境」「文化交流」)を設け、総務・法規部に社会活動推進室を設置し、新たな取り組みを開始いたしました。99年には、社会活動推進室内に「環境」テーマを重点的に推進する機能として“グリーン・ルネッサンス事務局”を設置し、現在“植林”と“自然体験学習”に力を入れて活動しています。
“自然体験学習”の活動として、自然の素材をそのまま使ってのクラフトなどを通して自然に親しむ「環境わごん」という環境教育プログラムをNPO等のパートナーシップ団体との協力で展開しています。「環境わごん」は、ワゴン車に海や山の自然の素材を積み込んで、学校や公民館、イベント会場などに出かけていく、出前型のプログラムで、自然の素材で何かをつくることを通して、自然に触れる・親しむといったことを大切にしています。プログラムは、ドングリや小枝、葉っぱなど、森の素材で自分だけの宝物づくりにチャレンジ!する木工クラフト「森の夢工房」をはじめ、奥多摩の間伐材をのこぎりでギコギコ丸太切り体験「与作だヘイヘイホー」、伊豆大島の海洋深層水をグツグツ自然塩づくり「海の贈り物」などの7つ。クラフトのプログラムでも、完成品を作り上げることが目的ではなく、つくる過程で経験を通して感じ、学ぶことを重要視しています。自然の素材を子ども自身がよく観察することからいろんなことに気づく、素材の向こうにある「自然環境」への気づきのプログラムを目指し、自然の素晴らしさや環境保全の大切さを感じ取れるようなものにしていきたいと思っています。
2000年4月からの本格スタート後、おかげさまで1年間に109回の“自然体験学習”を開催、参加いただいた方々は延べ9000人近くになりました。ウェルカムプラザ青山と船の科学館でそれぞれ毎月1回定期開催しています。どなたでも参加できますので、是非一度体験ください。また、当社ホームページでも詳しく紹介しておりますので、あわせてご覧ください。

社会活動推進室
TEL:03-5412-1260 FAX:03-5412-1115
http://www.honda.co.jp/philanthropy/green/wagon/wagon.html

環境パートナーシップオフィス

● 油汚染の水鳥救護におけるNPO、企業、行政のパートナーシップ

環境パートナーシップオフィス(通称EPO<エポ>)は、環境庁(当時)が、「企業、行政、NPO・NGOの協働(パートナーシップ)を応援する拠点」として1996年にスタートさせた拠点です。東京を中心として、企業あるいはNGOの担当者から、協働のための情報収集やご相談をお受けしたり、対等なパートナーシップを行っていくために欠かせないNPO支援を行っています。
97年1月に起こった「ナホトカ号重油流出事故」、まだ記憶に新しいことでしょう。ここでは、NGOと行政によって始まった「水鳥救護」の取り組みを1%クラブの皆様にご紹介します。
油流出事故は日本の沿岸において数多く発生しています。海上保安庁によれば、373件(94年)、497件(95年)、370件(96年)、405件(97年)、388件(98年)となっており、平均すると毎日1件以上もの事故が起こっています。ナホトカ号事故の教訓から、「水鳥救護研修センター」(以下「センター」)は、施設運営を(財)日本野鳥の会に、業務を「NPO法人 野生動物救護獣医師協会」に環境省が委託して、昨年10月に開設されました。「センター」は、

  1. 水鳥の救護手法の研修を実施する、
  2. 油汚染事故に関する文献や知見の収集・整理、
  3. 水鳥に関する知識の普及啓発、
などを行います。約6000klの重油が流出したナホトカ号事故では、1315羽の鳥が収容(生体418、死体897)されました(1府11県。97年1/8〜3/31)。89年のエクソン・バルディーズ号の事故(41000kl流出)の際には、10〜30万羽の海鳥が死亡したと推定され、多大な被害が発生しています。
鳥の救護には、海岸線を調査するなどして鳥を保護・収容することから始まり、救護施設への輸送、獣医師による身体検査、個別体カルテ、種の同定を行い、汚染された鳥の処置、洗浄、さらにリハビリを経て放鳥するための人、モノ、技術・知識など非常に多くの資源が必要となります。また、流出油の種類を調べて、その性状や毒性を知り、人と動物の安全性の確保も行わなければなりません。人獣共通の感染症対策も必要となります。こうしたさまざまなことを熟知しているのは、獣医師でも非常に限られた人数であるのが現実です。
こうしたことから、事故による水鳥被害に備えて、行政関係者だけではなく、獣医師、愛鳥家を含む一般の方に研修を受けていただき、事態に対処できる力を持った人を養成し、ネットワークしていこうというのが「水鳥救護研修会」のねらいです。2月末に、座学と実習による2日間の研修に参加する機会を得ましたが、水鳥を持ったこともない私には、鳥を傷つけることなく「持つ」ことすら大変でした。しかし、鳥を油から守る活動は、油まみれになった鳥を洗ったりする活動のみではありません。事故が発生する前(平常時:ベースライン情報)の収集・保有も大切です。普段どの種の鳥がどれくらい生息しているのかを把握して被害実態を正確に知り、対策を取る必要があるからです。
また、海岸線のさまざまな情報を盛り込んだ「センシティブインデックスマップ」の作成も非常に大切です。海岸近くで操業する企業や施設の協力は必須です。「平常時から水鳥救護に関心を持つ」ことが、事故時に備える上で非常に大切であることが研修でも強調されました。また、ベテランの獣医師でも40分はかかると言われる汚染鳥を洗うこと以外にも、事故時には作業が多岐にわたるため、多くの人が活動に関わることが必要であることも話されました。研修はだれでも受講することができます。「センター」は全国で唯一の施設であり、一度に30人程しか受講できませんが(受講無料)、油汚染対策のために活動をしたいとお考えの企業・団体・個人の方は、ぜひ「センター」にご相談いただきたいと思います。

環境パートナーシップオフィス 浜本由里子
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-53-67
  コスモス青山ガーデンフロア
TEL:03-3406-5180 FAX:03-3406-5064
http://www.geic.or.jp/geic/

「水鳥救護研修センター」の連絡先は
〒191-0041 東京都日野市南平2-35-2
TEL:042-599-5050 FAX:042-599-5051


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