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ワンパーセントひろば

─ 企業の社会貢献活動のご紹介 ─

(No.65 2004 春)

花王株式会社
「花王・教員フェローシップ」
海外野外調査体験プログラムがスタート

花王では、社会貢献活動の理念を、「豊かな社会の実現とその持続に貢献するために、次世代の育成を推進することを主なテーマとした活動を行います。」と掲げています。この理念に基づき、「芸術」「環境」「教育」「コミュニティ(地域貢献)」「バリアフリー社会の推進」を重点分野に活動に取り組んでいます。
「環境」分野での具体的な活動の一例に、2000年から実施している(財)都市緑化基金とのオリジナル緑化プログラム「みんなの森づくり活動支援」があります。次世代のために緑を守り育てる活動を推進する全国の市民団体、NPO等102団体を今までに支援してきました。「教育」分野では、若手研究員による出前理科実験授業や、バリアフリー社会を推進するための教育ビデオ貸し出しを通じ、学校の先生との交流を重ねています。
このような活動を通して、豊かな自然環境を次世代に引き継いでいくためには、環境教育の実践者である先生への活動支援こそ、いま求められている社会貢献活動ではないかと考え、2004年度より「環境」と「教育」の両方の視点から「花王・教員フェローシップ」〜海外野外調査体験プログラムをスタートさせました。
このプログラムは、異文化の中での先生方の野外調査体験を支援するもの。一流科学者のもとでフィールドワークを通して生物の多様性に触れ、その体験や感動を、地域や学校での環境教育の実践に結びつけていただくことを目的としています。
プログラムは特定非営利活動法人アースウォッチ・ジャパンと協働で推進しています。米国に本拠地を置く国際NGO「アースウォッチ」の日本支部「アースウォッチ・ジャパン」の提供する、生物の多様性に関するプロジェクトから毎年5プロジェクト程度を選定。花王がスポンサーとなってプロジェクトの研究分担金を負担し、夏休みの期間に毎年10名の小・中学校の先生にボランティアとして参加する機会を提供するものです。
アースウォッチを通じた先生方対象のフェローシップは、アメリカやイギリスでも行われています。このプログラムをきっかけに参加された先生方のネットワークが構築され、グローバルな視点で環境教育を支援できる仕組みに発展できればと考えています。

※プログラムの詳細:
アースウォッチ・ジャパン http://www.earthwatch.jp/

広報部門 社会・文化グループ
TEL:03-3660-7057  FAX:03-3660-7994

三菱地所株式会社
「一緒に作ろう!三菱地所の陶芸教室」
世界でたったひとつだけの作品

三菱地所は「地域社会との共生を大切にし、生活者の立場から心に触れる社会貢献を目指す」という社会貢献活動の理念を掲げ、(1)環境保全、(2)地域社会の活動、(3)芸術・文化支援、(4)社会福祉の4分野に重点を置いた、社会貢献活動に取り組んでいます。
「ものづくり」を通じて、地域との交流をはかる「三菱地所の陶芸教室」は2000年から社会福祉施設を対象に開催してきました。きっかけは陶芸を趣味としている社員からの提案で、「特技・能力を活かす」ボランティア活動のひとつになっています。これまでに障害をお持ちの方や高齢者、児童館を利用する小学生など、延べ152名が参加されました。富士見福祉会館(千代田区)での開催では、一般区民の方も参加し、「普段は障害を持つ方と交流を図る機会がないので、楽しみながら交流できた」との声も聞かれました。夏休み中の陶芸教室では、小学生と高齢者が一緒に参加、思わぬ交流が図れました。陶芸が初めての参加者がほとんどで、ボランティアが1対1でお手伝いしながら、約2時間で作品を完成します。
陶芸指導は専任講師の他に、陶芸経験のある社員ボランティアと、OBのボランティアサークル「三菱地所ゆうゆう倶楽部」の会員です。開催が平日の場合、社員は就業時間内に社会貢献活動に参加できる制度「ソーシャル・ラーニング」を利用します。社会貢献を担当する社会環境推進室のスタッフ8名は、日頃から陶芸の訓練を積み、室員のほとんどが陶芸指導のできるユニークな部署。制作に必要な土や道具一式は施設に持ち込みますので、場所さえあればできる出張型の陶芸教室です。教室では、初心者でも制作が可能な「湯飲み」「お皿」「カップ」の中から自分がつくりたい物を選び、大きさ・形などを決め、デザインシートに書き込みます。色はたくさんの中から希望の色を選び、色づけと窯焼きをして後日、届けます。手の不自由な方でも扱える道具を考案し、講師と社員ボランティアが手伝いながら、世界で一つだけの素敵な作品をつくっていきます。
高齢になると「ものをつくる」という機会が少なくなりがちですが、教室が終わる頃には、心地よい疲労とつくり上げたという達成感で、皆さん明るい笑顔です。ボランティア参加した社員から、次のような感想も届きました。「数個の作品しかつくったことのない私が参加するのは不安でしたが、始まってみるとお年寄りの方々が積極的なので、そんな事を感じる暇もなく引き込まれていきました。手の不自由な方にどうサポートすれば、“自分でつくった”という達成感を得てもらえるのか、どのように説明すれば簡単にわかっていただけるのか、短時間のうちにいろいろ考えることがありました。ふと気づくと優しい気持ちを持って接している自分がいて、久しぶりに心安らぐ一日でした。」

社会環境推進室
TEL:03-3287-5780  FAX:03-3212-2362

パイオニア株式会社
「音と映像を楽しむ会」の取り組み

「音と映像を楽しむ会」はホームエンタテインメントカンパニー国内営業部マーケティング部に、ある社員から相談を持ちかけられたことがきっかけでした。2001年11月のことです。茨城県のとある小学校で行われていた、「生徒の潜在能力を引き出すため、父兄が先生となり生きた現実社会の知識を学ぶ」という課外学習にパイオニアの父兄にも担当の順番が廻ってきたのです。
パイオニアの社員として何をすれば子ども達に役立ち、興味を引く貢献になるか。パイオニアの社会貢献を検討した結果「音に育てられた企業として、豊かな感性を育みたい」と、子ども達が普段なかなか接する機会のない最新のオーディオ・ビジュアル機器を使い、高品質な音と映像を提供することになりました。複数のプラズマディスプレイとスピーカーを使い、音と映像を楽しんでもらいながら、見た目には違いの分からないCDとDVDの違いをやさしく説明したのです。
パイオニアでは(財)音楽鑑賞教育振興会を通じて小・中・高校の生徒に対する音楽啓発活動を行っていますが、この取り組みはパイオニア社員がボランティアで奉仕し、企業活動とは切り離して宣伝等は一切せずに私服で参加する形を採りました。これがスタートとなり、現在では茨城の他にも、高知や佐賀、兵庫、宮城、埼玉など全国の小学校で、課外授業の一環として実施しています。
会場は教室や校舎内の音楽ホール、体育館など。参加者は100名以内です。ジャングルの音やSL機関車の音などを聴いてもらいますが、7.1チャンネルサラウンドの臨場感に、驚きの歓声が上がります。身近にある音でも改めて聴くと新鮮に感じ、SLの音には思わず耳をふさいでしまうなど驚きの体験のようでした。どの小学校からも、ほぼ全員から面白かったという評価をいただいています。後の感想文でも「本当の音楽の音を聞き音楽がとても好きになりました」など、とても感動したという意見をいただきました。天真無垢な子ども達の笑顔に、私たちも元気をもらっています。
プログラムを決めるにあたり、当初は年齢に合うものを選んでいましたが、最近では主催校の身近な素材を取り入れ、非常に盛り上がるようになりました。音楽祭、学芸会、地元の祭り、運動会、修学旅行、遠足など本人達が映像の主役になることが受けているのだと思います。「音と映像を楽しむ会」の1回あたりの開催時間は30分から90分と短い時間ですが、子ども達をはじめ、先生や保護者の方も本当に映画館やコンサートホールにいるような体験に感動し喜んでおられます。
子ども達に本物の豊かな感性を育むという当初の目的は達成できているのではないかと考えていますが、今後の方向性としては、様々な音や映像を楽しみながら、やさしい技術解説を行う形式に、学校や生徒の要望を取り入れながら、年に10回程度、継続して実施したいと考えています。

総務部社会貢献室
TEL:03-3495-4928  03-3495-4428

日産自動車株式会社
「ニッサン童話と絵本のグランプリ」
20周年を記念してセレモニーを実施

日産自動車は、社会貢献活動のプログラムの一つとして、1984年から「ニッサン童話と絵本のグランプリ」に力を注いできました。アマチュアを対象とした創作童話と絵本のコンテストであるグランプリは昨年20周年を迎え、2月3日、記念セレモニーおよび表彰式を本社内で開催しました。当日は河合隼雄文化庁長官のほか、児童文学に関わる多数の方々が出席され、20周年に相応しい会となりました。河合長官からは「日本の童話や絵本は質が高く、数多くの作品が翻訳されて海外で読まれている。『ニッサン童話と絵本のグランプリ』のような活動がそれを支えている」とのお言葉をいただきました。
このグランプリは、1984年に主催者である(財)大阪国際児童文学館が、日本初の国際的な児童文学の研究機関として創設されたことを記念して開始しました。優れた才能を持つ新人作家を発掘し、世に送り出すこと、そして子ども達に良質の童話と絵本を届けることを目的としています。
最も大きな特徴は、大賞受賞作品を出版することにより、プロの作家を志す方にデビューの機会を提供することです。毎年4千編以上もの応募作品の中から、厳正な審査を経て選ばれた受賞作品はレベルが高く、新人作家の登竜門としての評価も定着し、グランプリから多くの作家が生まれました。受賞作品からは、国際的な絵本のコンクールへの出展や、新人作家の作品としては異例ながら小学校の国語教科書に採用されるなど、活躍の場も広がりを見せています。
この童話と絵本が、一人でも多くの子ども達に届くよう、毎年、各都道府県の日産販売会社を通じて、全ての公共図書館に寄贈しています。同時に、地域貢献活動の一環として、事業所の周辺にある幼稚園や保育園を訪問し、出版作品を子ども達に手渡しています。こうして寄贈される童話・絵本の数は毎年8千冊以上、グランプリ開始以来の累計では12万冊にのぼります。
日産自動車は、未来を切り開いていく子ども達にとって、豊かな想像力は重要な資質であると考えます。本グランプリをはじめ、「国際アンデルセン賞」への協賛、昔ばなしを題材とした講演会「日産おはなしの部屋」の実施など、児童文学の分野で数々の息の長い活動を推進しています。
子どもや若者の成長を支える活動を「未来への投資」と位置づけ、これからも子ども達の想像力開発にとって重要なテーマを求め、関わり続けていきたいと考えています。

グローバル広報・IR部コミュニティ・リレーションズ
TEL:03-5565-2132  FAX:03-3546-2669


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