企業人政治フォーラム速報 No.1

1996年9月3日発行

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発刊のことば

企業人政治フォーラムにご入会ありがとうございます。
『企業人政治フォーラム速報』の第1号をお届けします。
このフォーラムは、企業人が政治家の政策や識見を直接聞き、我々からも政治への注文をつけることにより、政治をより身近なものにしていこうというものです。そのために当フォーラムでは、自民党や新進党などの国会議員と税制問題や経済構造改革をテーマに議論を行っていきます。今後、このような会合を大小とりまぜ開催していきますが、多数の会員の皆さんにフォーラムに参画していただくため、会合開催のほか、電子メディアなど多様な手段を利用して意思疎通を図っていきたいと考えています。
その一つが、この『企業人政治フォーラム速報』です。FAX通信網により、多くの会員の方に企業人政治フォーラムの刻々の動きをタイムリーに伝えていきます。また、会員の方々のお考えもアンケート形式で活動に直接フィードバックさせます。
政治は本来、私たちにとって身近で大切なものです。その本来あるべきものを取り戻すための活動の一助に、企業人政治フォーラムが、そして『企業人政治フォーラム速報』がなることを強く期待します。

社団法人 経済団体連合会
企業人政治フォーラム

会長 川勝 堅二


HOT NEWS

「住民投票」は「代議制」を補完する

さる8月27日、設立総会以後初めての催しとなる講演会が経団連会館で開かれました。講師は、現在は新潟国際情報大学教授で、前朝日新聞社編集委員の石川真澄氏。『住民投票と日本の政治』と題して、今月4日に新潟県の巻町で行われ、来月には沖縄でも行われる住民投票がどのような意味を持つのか、そして今後そのような動きが代議制を採用している日本の政治にどのような影響を及ぼすのかなどについて論じてもらいました。
石川教授は、まず、原発建設への賛成・反対を問う目的で、日本で初めて住民投票条例に基づいて行われた新潟県巻町での住民投票について、「成功を納めたと言っていい」との見方を明らかにしました。それは、88.3%という高い投票率であったこと、その中で反対票が61.2%となり、これは全有権者中でも53.7%と過半数を超えたことから、あいまいさを残さずに「住民の意思」を確認できたと評価できるからということでした。
また、代議制つまり間接民主主義をとっている日本の政治と、住民投票という直接民主主義の関係について、古代ギリシャの時代にまで遡り、直接民主主義から間接民主主義に移行する歴史的な流れにも触れたうえで、「住民投票ないし国民投票という直接民主制は、間接民主主義を“補完”するものであって、直接民主制が間接民主制にとって代わるというような極端な議論は、時代の流れに逆行する」と結論づけました。また現在は技術革新が進み、ハードの面では電子投票システムなどを用いることによって直接民主制を導入する条件は整ってきていますが、議題の選定、質問の設定などソフトの整備の面で大きな問題が残されており、両方が収斂していくまでには相当の時間がかかるだろうとも指摘されました。
講演後、会員の方々から、マスコミの情報操作や投票率アップなどについての質問が出され、石川教授からは、国民の良識を信頼すべきこと、投票率低下の歯どめは中々難しいことなど興味深い意見が述べられました。

「税金と政治」をテーマに自民党とシンポジウム

企業人政治フォーラムでは、7月25日、300人の出席者を得て設立総会を開くとともに、自民党の与謝野政調会長代理らを招き、「税金と政治」と題するシンポジウムを開催しました。財政危機の中での、抜本的な税制改革の方向について様々な議論がありました。


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