企業人政治フォーラム速報 No.10

1997年1月14日発行

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中村正三郎大蔵政務次官、改革への気概を語る
―政経懇談会―

1月13日に開催された政経懇談会では、大蔵政務次官の中村正三郎衆院議員を招き、今後の政治のあり方、行政改革の進め方等について聞くとともに懇談した。
中村氏は、国対副委員長を2期務めるなど、国会運営に携わる一方、大蔵政務次官や環境庁長官を歴任し、また、自民党行革推進本部で公益法人改革の取りまとめ役として活躍した。第2次橋本政権では、閣僚経験者として再び大蔵政務次官に任命され、財政構造改革などの重要課題に取り組むことになった。以下はその概要である。

国会議員自ら改革案を起草
役人が答申案を起草した臨調・行革審では目に見えない抜け道が用意されていた。橋本総裁の下に一昨年設けられた、わが党の行革推進本部では、改革案を議員自ら起草した。また、族議員の抵抗が予想される各部会の了承を不要としたことも画期的であった。第2次橋本政権発足により、行革の主役は党から総理中心の組織に移行した。

行革会議発足―省庁再編により効率的で小さな政府を―
省庁再編については総理直属の行革会議が昨年11月に発足。本年11月までには成案を得て、来年の通常国会に法案を提出することにしている。省庁再編により、市場原理に基づいた自由な経済活動を可能にする行政への転換を図る。

財政構造改革会議―来年夏までに具体策をつめる―
財政構造改革については、財政構造改革会議を設置し、98年度予算の概算要求時までに、財政再建の具体案をとりまとめることになった。これが実現すれば、公共事業費のシェアの変動分が1%未満ということはなくなるはずである。また、各省庁毎、事業ごとに策定される5カ年計画のあり方も見直さなければならない。

行革、規制緩和とあわせて公益法人改革を
土光臨調以降、まず特殊法人、その後認可法人の設立が制限されたが、代わりに公益法人の設立が相次ぎ、天下りの受け皿となった。折角行革で役人の数を減らしてもこれでは意味がない。中でも、これまで行政が行ってきた資格付与などを代行する団体があり、いわば役人の天下り先を確保するために新たな仕事、新たな規制を作りだしているのが実態である。公益法人のあり方を見直さなければならない。

課題は多いが、一度やると行った以上やり遂げる
意見交換では、「橋本政権の課題はあまりにも多い。プライオリティを付けてできることからやるべきではないか。」という意見が出された。中村氏は「もちろん、金融システム改革のように、できることから着手しているものもあるが、追い風が吹いているときにできるだけのことは手を付けておいた方がよい。橋本政権の一員としてやると言った以上やり遂げる」と決意を明らかにした。

新井将敬21世紀代表、医療改革への決意を語る

フォーラムの役員会として、既に発足済みの代表幹事会に加えて、12月27日に主要業界の役員・部長クラスの運営幹事会が発足し、フォーラムの運営方針について意見交換した。
当日のゲストの新井将敬21世紀代表は、「世界はイデオロギー戦争から経済戦争の時代へ転換しており、それへの日本の立ち遅れ状況から脱するには、制度の大改革が必要」と、語った。
その中で、医療費について「医療改革に政治生命をかける」と熱っぽく語った。そして、「最近の趨勢をみると、成長率が1%であるのに対し、医療費は6%の伸びであり、これが続けば、企業の保険料負担は今の数倍になり、とても負担できるものではない。医療は供給が需要を生む構造になっており、供給抑制しか適正化への道はない」として、具体的には、「医者の開業規制やベッド規制の導入が必要」と述べた。老人医療については「税で賄うのが本筋」と主張した。
その他、「スウェーデンでは、保険会社が国債の引受けを拒否したので、政府は歳出削減に取り組んだ」と例をあげて、民間部門の行動の重要性を訴えた。
法人については、「課税ベースの拡大とのパッケージで税率を引き下げるのが良いのではないか」との新井代表の意見に関し、フォーラム側出席者から強い反論が出された。


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