企業人政治フォーラム速報 No.12

1997年2月28日発行

PDFファイル版はこちら

鷲尾連合事務局長、労組と政治のあり方を語る
―政局講演会

連合の鷲尾悦也事務局長は18日の政局講演会において講演し、労組と政治の関わりの歴史と連合発足の経緯、さらに現在の政治状況に関する認識を語った。
連合発足以前の労組については、矮小化した個別の労働問題に終始し、国民全体のことを考える視点が欠けていたと指摘。連合はその反省にたって発足し、全体の政策制度問題を主体に扱うことを基本としていること、さらにその実現の手段として政党・政治との関係があると述べた。

■政界再編には座標軸が必要
また、現在の政党並びに連合のまた裂き状況について、小選挙区制においては2大政党制への収束が必然であり、現在はその過渡的状況との認識を示すとともに、与野党の政策の座標軸が不明確であることが現在の政局の混迷の原因であると述べた。その座標軸については、かつてのイデオロギーによる対立がない現在、資本主義経済の中で、自由を強調するのか、あるいは平等を強調するのか(理想的状況に到達するために、国家がどの程度介入修正するのか)が今後の座標軸となる。そのどちらを選択すべきかは時々の情勢により変化するもので、それを政権交代によって実現すべきだとの認識を示した。

■政界はガラガラポンを、保保連合もありうる
さらに、新進党の現状を批判し、もう1度政界再編が必要なことを強調するとともに、同党が再編の起爆剤になってほしいとの期待を述べ、その際には保保連合があってもよいとの認識を示した。

藤井孝男自民党経理局長、党財政を語る
―運営幹事会

19日、第2回運営幹事会が開催され、ゲストの藤井孝男自民党経理局長は、新選挙制度と政治資金の関係について、公的助成は導入されたものの、献金収入の大幅減少による党財政の苦しさを訴えるとともに政党活動を活発にするにはそれなりの資金が必要だと述べた。
また、今後の政治資金のあり方については、公的資金・政党の自助努力(党員拡大等)・寄付(団体・個人)のバランスの確保が大事だと述べ、特に平成12年に見直しが決まっている企業献金については、早急に議論を詰めていく必要性を強調した。フォーラム出席者からの「政治資金としての必要最低限がみえない、政党は必要最大限を要求しているのではないか」との質問に対して、党のリストラ努力や献金要請の大幅削減(昨年比)等を訴え、理解を求めた。

保岡興治衆議院議員、議員立法のあり方について語る
―政経懇談会

26日の政経懇談会において、保岡氏は先に政治改革大網を起草し、議員立法で選挙腐敗防止法を成立させた経験から、今後の政治と議員立法のあり方について語った。以下はその概要である。

■官主導から政治主導へ
明治維新、戦後に続く第3の変革期・大競争時代ともいわれる今日、官主導の政治、すなわち優秀な役人が立案し、政治家はそれに対して注文をつけるだけという従来のやり方ではこの転換期をのりきることはできない。官僚は改革に伴うリスクを負えない。今後は官を超えた国民の多様な創意工夫を結集し、政治が国民の声を受けて自らの責任で判断していかなくてはいけない。そのためには、政治家が国の基本方針・政策を立案していく必要があり、議員立法をもっと活用していかなければならない。

■21世紀政策研究所に期待
政治家が政策立案により積極的に関わるためには、その前提となる政策スタッフの充実等も必要であり、経済界も日本経済がどうあるべきかという観点からどんどん立案し提示してほしい。その意味からも経団連の創設するシンクタンクである21世紀政策研究所に期待している。

■規制緩和の推進には司法インフラの整備も
規制緩和を進め、活力ある経済活動を促進するためには、仮に事件・紛争等が起きた場合にそれを処理する司法面でのインフラ整備が不可欠であるが、日本の場合それが遅れており、裁判官、検察官とも圧倒的にその数が不足している。特に経済活動がグローバル化している現在、国際仲裁センターのような機関が必要である。

■経済法規分野の規制緩和に全力で取り組む。
当面、経済界も要望している自社株取得や保有に関する規制の見直しや株主代表訴訟制度の見直し等の議員立法に全力で取り組む。


企業人政治フォーラムのホームページへ