1997年2月28日発行
PDFファイル版はこちら
■政界再編には座標軸が必要
また、現在の政党並びに連合のまた裂き状況について、小選挙区制においては2大政党制への収束が必然であり、現在はその過渡的状況との認識を示すとともに、与野党の政策の座標軸が不明確であることが現在の政局の混迷の原因であると述べた。その座標軸については、かつてのイデオロギーによる対立がない現在、資本主義経済の中で、自由を強調するのか、あるいは平等を強調するのか(理想的状況に到達するために、国家がどの程度介入修正するのか)が今後の座標軸となる。そのどちらを選択すべきかは時々の情勢により変化するもので、それを政権交代によって実現すべきだとの認識を示した。
■政界はガラガラポンを、保保連合もありうる
さらに、新進党の現状を批判し、もう1度政界再編が必要なことを強調するとともに、同党が再編の起爆剤になってほしいとの期待を述べ、その際には保保連合があってもよいとの認識を示した。
■官主導から政治主導へ
明治維新、戦後に続く第3の変革期・大競争時代ともいわれる今日、官主導の政治、すなわち優秀な役人が立案し、政治家はそれに対して注文をつけるだけという従来のやり方ではこの転換期をのりきることはできない。官僚は改革に伴うリスクを負えない。今後は官を超えた国民の多様な創意工夫を結集し、政治が国民の声を受けて自らの責任で判断していかなくてはいけない。そのためには、政治家が国の基本方針・政策を立案していく必要があり、議員立法をもっと活用していかなければならない。
■21世紀政策研究所に期待
政治家が政策立案により積極的に関わるためには、その前提となる政策スタッフの充実等も必要であり、経済界も日本経済がどうあるべきかという観点からどんどん立案し提示してほしい。その意味からも経団連の創設するシンクタンクである21世紀政策研究所に期待している。
■規制緩和の推進には司法インフラの整備も
規制緩和を進め、活力ある経済活動を促進するためには、仮に事件・紛争等が起きた場合にそれを処理する司法面でのインフラ整備が不可欠であるが、日本の場合それが遅れており、裁判官、検察官とも圧倒的にその数が不足している。特に経済活動がグローバル化している現在、国際仲裁センターのような機関が必要である。
■経済法規分野の規制緩和に全力で取り組む。
当面、経済界も要望している自社株取得や保有に関する規制の見直しや株主代表訴訟制度の見直し等の議員立法に全力で取り組む。