企業人政治フォーラム速報 No.13

1997年3月14日発行

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松下政経塾出身議員との合宿討論会
―政治家の本懐とは―

2月24日、25日の両日、経団連ゲストハウスにおいて「松下政経塾出身議員と語る」会を開催した。
会には、松下政経塾出身の逢沢一郎氏(自民党)、河井克行氏(自民党)、笹木竜三氏(新進党)、樽床伸二氏(新進党)、前原誠司氏(民主党)の5人の衆議院議員が出席し、企業側からは32人が出席した。

議論は夜中まで白熱
5つのセッションに分けて討論会を行ったが、いずれも議論が白熱し、特に初日は夜遅くまで議員、企業人とも忌憚のない意見を交換しあった。
全体討議では、第一部「私の目指す政治」と第二部「経済構造改革をいかに進めるか」をテーマに議論が進められた。

第一部 私の目指す政治
総選挙の評価―新選挙制度は改革を早める

小選挙区制について、「地元の個別利害を訴えるよりも、目にみえる大きな改革を訴える方が有効だと肌で感じた」(逢沢氏)といったように小選挙区制は改革を早めるといった評価など、全議員が肯定的な評価をしていた。

政治に人材を
企業人が2期程度議員をつとめた後、会社に復帰できるような制度など優秀な人材が政治に集まるような工夫が必要。さらに、政策立案をサポートする独自のシンクタンクの設立なども検討していく(逢沢氏)。

国会改革の実現
国会答弁を役人にたよらず大臣自らできるような仕組みにする。そのためには、副大臣制を実現し与党から出る大臣、副大臣、政務補佐官等がチームを組んでやっていくべきだ(笹木氏)。

第二部 経済構造改革をどう進めるか

各議員からは、「法人税の実効税率を他の先進国並みに引き下げることが重要」(逢沢氏)、「起業家が資金を集めやすいような税制を実現し、ベンチャー企業を育成する」(笹木氏)等の話があり、さらに、「(不良債権処理に関して)公的資金導入の前提として、金融機関のディスクロージャーの徹底と格付けを行うべき」(前原氏)、「世界標準にあわせられるものはなるべくあわせる必要がある」(逢沢氏、河井氏)、「構造改革の前提として、最後は政治がどうにかしてくれるという国民意識の改革も必要」(逢沢氏)などの企業側に対する注文も出された。
一方、企業人側からは「金融改革は外為法改正だけでは片手落ち、外国に比べて不利な税制の改正もスピーディーに一体でやってほしい。」、「(ベンチャー育成議論に関して)すぐに米国などと比べてどうだという議論をするが、まねをすればいいというものではない。日本の持つ特性が有利な面も多い」、「今の政治家には哲学を持ったものがいない」等の意見が出され、活発に議論がたたかわされた。

中山成彬衆議院議員、当面の政策課題について訴える
―政経懇談会

3月12日の政経懇談会において、中山成彬自民党商工部会長は、当面の政策課題等についての見解を語った。
行革については、公務員の意識改革を訴えるとともに、社会ニーズからも単なる公務員減らしは困難であること、省庁の統廃合は是非やりとげなければならないこと、また、最近のマスコミの単純な官僚バッシングを批判し、官僚がやる気を失っていることを危惧していると述べた。
経済構造改革については、独禁法改正による持株会社の解禁は大きな改革の一歩であり、現在検討が進んでいる金融持株会社の解禁と、施行期日については同一にする必要があると述べた。金融ビッグバンについては、為替の自由化による国内資金の空洞化に懸念を示すとともに、低金利政策の見直しが可能となるような経済状況にすべきだと述べた。
さらに歴史教育問題について、この4月から採用される7社の中学教科書すべてに南京事件と従軍慰安婦問題の記述があり、自分たちの祖先は悪いことばかりしていたという記述に満ちていると述べ、これについては明かな事実に基づいたものではないし、中学教育からこのような問題を扱う必要はない、若い世代への教育に大きな危惧を抱いていると述べた。


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