1996年9月20日発行
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■生い立ちと政治信条■
満州からの引揚者として昭和21年、東京浅草へ落ちついた。
父は靴職人となり兄弟5人を養った。狭い4軒長屋の都営住宅に住み、周辺の中小企業に支えられた都市型議員として、区会、都会、国会と政治生活を続けてきた。自ずと財界とは考えの異なる点もあった。
■首都移転指向の危うさ■
当初の「遷都」を「国会等移転」と言いかえたのは良かったが、国土庁が進めた調査会報告、当初の移転法改正案は遷都論を一人歩きさせる危険なものだ。国全体の一体性を余り考えずに、国土庁が自らの生き残りのために進めているようだ。
もとより、中央集権是正、東京の街のゆとりづくりは必要だが、これは政府全体、国民全体の議論が必要な問題だ。
■消費税率アップ一時凍結を■
景気回復の観点がまず重要であり、来年度からの5%アップには、中小企業の窮状等から反対している。行革で十分な成果がない今、国民の理解は得られまい。1%アップは、2.5兆円の増収と大蔵省の意見に安易に流されてはいけない。今回、自民党の議員集団『改革を進める会』が打ち出した凍結案は、行革の起爆剤となることを期待しての事である。
凍結で財政赤字がふくらむのであれば、相続税非課税の無利子国債を発行するアイデアもある。
■長期安定政権を■
新党ブームは、選挙前の一時のもので、やがて新自由クラブや日本新党のように離合集散しよう。細川氏、鳩山邦夫氏のように、自らの身の置き場所を変えることも好ましくない。
今、必要なのは長期政権を担った自民党の潜在的な活力を揺り動かすことだ。政治家を、票、知恵、カネ、そのいずれかで支え、気鋭の若手政治家を応援していただきたい。
■抜本的な構造改革が必要■
長びく経済の低迷とそれに伴う世の中の閉塞感。野田氏は、「その最大の原因は、今の政治のあり方にある」とした上で、「今のシステムのままでお先真っ暗。根本的にメスを入れなければダメ」と述べた。そのためには、自由な経済活動を抑制する許認可制度を検討し、規制緩和に取り組むことで、民間主導の経済をどうエンカレッジしていくかが重要なテーマであるとした。
また鹿野氏は、「現在の許認可制度は政官業の癒着に原因があり、そうした体制を抜本的に改革していくためには、既成の政権政党ではなく、強力な改革意識を持つ改革新政党がやらなければならない」と訴えた。
■税目間のバランスをとる■
牛嶋氏は税制の歪みについての意見を述べた。日本は法人税収入の割合が先進諸外国に比べて著しく高く、収入を維持するためにまた税率を上げるという歪んだ構造を生んでいる。牛嶋氏は、中立的なバランスの取れた税制の必要性を訴え、「所得・法人税4:消費税4:その他2」という税目間のバランスを提案した。
■“行動”こそ政治家の生きる道■
野田氏は、「連立政権は本筋ではない」とする。国民の政治不信の一つの要因は、離合集散によって、選挙の際に国民に約束したことが変わってしまうことにある。公約を守るためにも、たとえ少数与党であっても第一党が政権を担うべきであると主張した。
また鹿野氏は、「政治改革の原点は国民の力で政権を交替させうる仕組みをつくることであり、新選挙制度はそのための第一歩。新進党は速やかな公約実現を目的として、それぞれの党・議員が政治生命を賭けて行動して結成した政党である。政治家の生きる道は行動しかない。並々ならぬ志をもって設立した政党なのだから、政権を担当することに国民の審判が下ったのであればどんなことをしてでもその公約は実現していく」と訴えた。
■ この他倉田氏からは、社会保険給付の仕組みの見直しが提案された。また、消費税引き上げや、中央官庁から地方への権限の委譲などについても、各氏から活発な意見が披露された。経団連からは、古賀税制副委員長が代表して、法人税の引き下げや連結納税制度の導入などの要望を述べた。