企業人政治フォーラム速報 No.21

1997年8月21日発行

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政治改革・政治資金問題の検討状況について/
瓦力自民党政治改革本部長

7月29日の政経懇談会で、瓦力(かわら・つとむ)自民党政治改革本部長は、同本部で検討中の政治改革並びに政治資金問題について語った。

■政治改革の経緯
政治と金にまつわる問題をきっかけに政治は大転換を迫られ、自民党では、政治への信頼回復のため政治倫理の確立、政治資金・選挙制度の改革、国会の活性化、党改革を盛り込んだ「政治改革大綱」を作成した。そして、それを踏まえた政治改革関連法が平成6年に成立し、昨年、新しい選挙制度に基づく初めての総選挙が行われた。

■選挙制度改革の課題
小選挙区比例代表並立制は、民意の適切な反映、政権交代のある政治を目指して導入されたが、課題として、重複立候補と惜敗率の問題が指摘されており、今後、選挙制度調査会(松永光会長)で検討していく。

■政治資金問題の課題
政治と金の問題は政治改革本部で検討している。寄付の公開枠(5万円)の緩和を求める声も多いが、そもそもその5万円の寄付を得ることも難しく、資金的には非常に厳しい状況である。
政治資金については、従来の個人中心の資金調達を政党中心に変えていかなくてはならない。その際、政党支部における個人の政治活動と党の活動の関係の整理や資金調達の明確化も必要である。
政治資金のあり方としては、党費等、公的助成、個人・企業からの献金の3つでそれぞれ3分の1ずつ賄うのが理想である。現在、党員は伸び悩んでいるが、党の自助努力として、300万党員の実現を目指して努力していく。
企業献金は悪であるという意見があるが、自由主義社会において、企業は法人として経済社会の発展に寄与しており、企業には政治活動を行う自由がある。平成12年には、政治資金規正法の見直しがあり、野党の中には企業献金廃止の主張もあるが、民主政治の根幹に関わる問題であり、自民党としては、企業献金については社会の重要な構成員からの浄財であるという主張を貫きたい。また、同時に党の資金収支を明確化していく。
政党助成が導入されたのだから、企業献金は必要ないという意見もあるが、各党は企業献金が減るなか、政党交付金への依存度を強めている(平成7年度は全体で47.8%、主要政党に限ると60%超)。政党本来の姿として、党費をベースに幅広く寄付を求めるための自助努力が重要であり、政党交付金への過度の依存は政党政治の否定につながる。
政治資金問題は、党内の意見を取りまとめた後、与党内および野党とも話し合いの場を持ちたいが、各党さまざまな意見があり、なかなか同じテーブルにつくのが難しい。この協議が困難であれば、党の収支の実態を明らかにし、世論に訴えていきたい。

■企業献金を実行しやすい環境づくりを(経団連側意見)
これに対し、経団連側からは、党員や機関紙の拡大などによる一層の自助努力を求めるとともに、企業献金について、後ろめたい気持ちではなく、正々堂々と出せるような環境作りをするよう、政治資金の支出の透明化や国民世論の理解を促進するよう要望した。


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