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企業人政治フォーラム速報 No.70

PDFファイル版はこちら 2000年 4月28日発行

今後の政局について
─ 藤井孝男 衆議院議員
( 4月18日政経懇談会)

去る4月5日には、自民党、公明党、保守党の3党連立による森新内閣が発足した。今通常国会の会期末を6月17日に控え、4月18日の政経懇談会では、自民党国会対策委員会の筆頭副委員長の藤井孝男衆議院議員を招き、今後の国会運営などについて話を聞いた。

【国会対策委員会の役割】

私は、昨年の臨時国会から国対副委員長として、与野党間の折衝、官邸との連絡、あるいは参議院との調整といった、いわゆる「根回し」役を務めてきた。国会対策の仕事というのは、従来よりマスコミなどから「談合政治」の象徴といった批判を受けてきた。しかし、国対制度をやめようという動きもあったが、結局、国会対策というものがないと国会運営がギスギスしたものに陥りがちになった。国対制度には、言ってみれば「バッファー効果」のようなものがあるのではないかと思っている。本来、国会対策の仕事というのは目立ってはいけない仕事である。国会対策の立場からすると、我々はテレビには出てこないほうが良い。そもそも、我々がテレビに出てくる時というのは「揉めている時」であって、逆に国会運営がスムーズにいっている時には、我々はニュースには出てこない。国会対策とはそういう仕事である。
衆議院議員の任期が残り1年を切ってくると、総理が「解散の判断をする時期」というものが非常に重要になってくる。今年、1月20日の通常国会開会の際に、古賀委員長と、当時の森幹事長、野中幹事長代理との間で、今国会でなすべきことについて話し合ったが、「景気浮揚のために、平成12年度予算を一日も早く成立させることが最重要課題である」ということになった。また、予算関連法案についてもなるべく早い時期に成立させようという方針で臨んできた。この方針自体は予定通りに進み、予算は史上最速のスピードで成立した。

【国会会期末に向けて】

今通常国会も「後半戦」に差し掛かってきたので、「どの法案を今通常国会で成立させるのか」という法案の整理作業に入ってきた。その中で、経済界の関心のある問題としては、商法の改正案が法務委員会で審議されている。これをどうするのかという問題であるが、現在、労働者を身分保障する労働契約継承法という法案が労働委員会で審議されており、民主党はこの法案と商法改正は一対のものだという認識から、分離審議は許容できないという態度を取っている。私共としては、商法改正案については何としても成立させたいと考えているが、これがゴールデンウィーク前の与野党間の最大の攻防になると思う。これを切り離すことができれば、商法改正が可能になり、いくつかの企業グループの設立に対し、法的根拠を得ることができるようになると思う。
ただ、会社分割をめぐる企業法制については各経済団体、連合、あるいは民主党でそれぞれ考え方が異なっており、労働契約承継の問題も、会社分割の場合については、今回の商法改正に盛り込まれているものの、「合併や営業譲渡の場合についても立法化すべきだ」という連合・民主党の意見に対して、「現行法制で対応できるのであれば、新たに法制化する必要はない」という意見もあり、こうした点をどのように解決するのかという問題が残されている。
また、警察法や少年法の改正、そして健康保険法・医療法の改正など、内容的に難しい法案も残されており、こうした重要法案について成立の目途をつけるべく、全力で取り組んでいるところである。

【自公連立批判に対して】

私も13年間、参議院議員を務め、参議院での最後の職責は参議院自民党の国対委員長であった。この時点で、すでに自民党は参議院において過半数を割り込んでいたが、当時は、自民党、公明党、民社党のいわゆる自公民の枠組であった。連立政権ではなかったが、この枠組の中で、PKO法案を成立させた記憶がある。この法案は、廃案になる寸前に、参議院において自公民が結束して、「徹夜の牛歩国会」を経て、衆議院に送った。
予算と条約については衆議院の議決権が優先するが、それ以外の法案については、参議院で可決されない限り成立しない。参議院議員の立場を経験した者としては、どうしても参議院における政治的な安定を維持する必要を痛感している。 「パーシャル連合」を唱える人もいるが、法案によっていろいろな党に支持を求めることになると、相手の条件をのまない限り法案が成立しないことになる。そうなると、政策実行のコストが高くつくことが多くなるし、協議にも時間がかかってしまう。いずれにせよ、他の政党の賛同を得なければ、参議院において過半数を押えることができず、法案を成立させることができないのだ。
そのような状況の下で、自自による連立に始まって、自自公という枠組の中で、同じ責任を共有しながら国会運営を行なってきた。残念ながら、自由党は連立を離脱してしまったが、定数削減、国会改革、政府委員制度の廃止など、自由党と自民党との間で交わされた約束事については、そのほとんだが果たされたと考えている。果たすことができなかったのは、選挙協力くらいではないだろうか。

【解散・総選挙】

解散については総理の一存で決まることであり、私はそれを申し上げる立場にはない。代議士の中には、(解散を)昨年の12月であると予想した者や、今年の1月、あるいは4月と予想した者もある。中には選挙事務所を開いた者までおり、任期満了まで数ヶ月という時期に、一旦、このような流れが始まると、なかなか止まらないものである。ただ、国会の中にもいろいろな意見があり、「サミット後にしてはどうか」という意見もある。最後に森総理がどのように判断されるかということである。


[藤井孝男 衆議院議員プロフィール]
ふじい・たかお 1943年東京都生まれ。成城大学経済学部卒業。1977年より実父である藤井丙午参議院議員の秘書を務め、1981年に参議院議員初当選。参議院議員を2期務めた後、3期目の1993年に衆議院へ。衆議院では当選2回。第2次橋本改造内閣では運輸大臣に就任。現在は、自民党国会対策委員会の筆頭副委員長を務めている。

衆議院憲法調査会〜憲法のひろば〜

今通常国会より衆参両院に憲法調査会が設置された。
衆議院憲法調査会は、2000年1月20日に設置され、日本国憲法について広く総合的な調査を行なうことを目的としている。
以下の方法で、調査会の活動状況を知ることができる。

衆議院ホームページ
ホームページでは、会議録、テレビ中継、調査会名簿、最近の憲法調査会の動きなどを紹介している。
〈アドレス〉 http://www.shugiin.go.jp

国会テレビ
CS放送で「国会テレビ」の契約がある場合には、テレビで審議の模様を視聴することが可能。

会議録
国立国会図書館、各都道府県議会図書館で閲覧・複写が可能。また、衆栄会において有料で頒布されている。

[衆栄会] 東京都千代田区永田町1−6−3 衆議院第二別館2階 (Tel 03−3581−5111(代表))


意見窓口「憲法のひろば」

衆議院憲法調査会では、日本国憲法について広く調査を行なうため、以下の要領で意見を募集している。

  1. ファックスによる受付
    ファックス番号 03−3581−5875

  2. 封書・はがきによる受付
    〈宛先〉〒100−8960 東京都千代田区永田町1−7−1
    衆議院憲法調査会「憲法のひろば」係 宛

  3. 電子メールによる受付
    アドレス kenpou@@shugiin.go.jp

いずれの場合にも、住所、氏名、年齢、職業、電話番号(又はファックス番号・メールアドレス)を明記。


憲法のひろば意見受付概況(2000年3月27日現在)

年齢別
10代1%
20代1%
30〜50代15%
60代以上33%
不明50%

分野別
憲法のひろば意見受付概況/分野別

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