UWC日本協会

主なカレッジの紹介


(1) アトランティック・カレッジ (UWC Atlantic College)

英国はウェールズの首都カーディフから西に約40km、ブリストル海峡に臨む位置に、アトランティック・カレッジ(AC)がある。ACは1962年、英国空軍中将ローランス・ダーヴァル卿、クルト・ハーン博士、そして初代学長となったデズモンド・ホール氏など有志の尽力により、最初に設立されたUWCの学校である。当初は男子生徒のみで開校し、カリキュラムも英国の教育制度に沿ったものであったが、1969年に男女共学となり、1971年からは国際バカロレアのカリキュラムを採用した。

ACの中心となる建物は13世紀に建てられた古城で、現在ここには大ホール、食堂、図書室、集会場などが置かれている。まわりには近代的な校舎、実験室が散在し、生徒は授業ごとにそれぞれの教室に移動する。生徒数は約360人、国籍は70カ国にわたっている。また、生徒全員のための寄宿設備として8つのハウス(寮)がある。各ハウスは原則として1階に男子生徒、2階に女子生徒というように分かれており、簡単なキッチンがついた団欒のための部屋(デイルームと呼ばれる)がある。各ハウスには寮監督の教師とその家族が住み、生徒の学習や生活面の指導を担当している。他の主な施設としては、生徒たちの憩いの場であるソーシャル・センターやアート・センター、屋内・外プール、テニスコート、沿岸パトロール基地、牧場などがある。

(2) ピアソン・カレッジ (Pearson College UWC)

カナダ太平洋岸、アメリカとの国境に近いバンクーバーからフェリーで1時間半南下すると、バンクーバー島のヴィクトリア市に到着する。そこからさらに車で1時間、ペダー湾に面したピアソン・カレッジ(PC)が視界に入ってくる。PCは1974年に設立されたカレッジで、設立に尽力したカナダ元首相でノーベル平和賞を受賞した故レスター・B・ピアソン氏の名前を冠している。生徒数は約160人、国籍は5大陸100カ国にわたっている。

PCの特色は、カレッジを単に従来の意味での「学校」としてではなく、ひとつの共同体、もしくは「村」として運営していることである。また、生徒の自由とそれに付随する責任を最も重視しているため、カレッジには規則と名のつくものは存在しない。

カレッジの寮は「ハウス」と呼ばれ、カナダの有名な建築家R・J・トム氏の設計により、教師と生徒が家族的な雰囲気で、勉強や生活ができるようになっている。ハウスは周囲の美しい自然にマッチした山小屋風の建物で、うちひとつは、日加両国の友好親善を図るために日本政府と企業の支援により建設されたもので、「ジャパン・ハウス」と名付けられている。

それぞれのハウスは、1階に女子生徒、2階に男子生徒というように分かれている。また、ひとつの部屋にはなるべく異なる文化圏の生徒を入れることを原則としている。このほか、デイルームと呼ばれる居間、洗面所、洗濯室、教師とその家族の部屋がある。デイルームは昼間は教室、夜は生徒たちの団欒室となる。また、22時30分以降は他の生徒の部屋への訪問は禁じられ、それ以後の用談、懇親等はデイルームなどを使用することになっている。

(3) アドリアティック・カレッジ (UWC Adriatic)

アドリアティック・カレッジ(AD)は、ベニスから車で2時間ほどのドゥイノ村にある。ドゥイノはアドリア海に面した閑静なリゾート地で、スロベニアとの国境にも近い。

ADは1982年、UWCで初めて英語圏外の国に開設されたカレッジである。

そのため、他のカレッジとは異なるいくつかの特徴が見られる。そのひとつは、生徒総数約190名のうち約3割をイタリア人が占め、イタリア語が必須科目となっていることである。しかし、IBでイタリア語を選択するかどうかは本人の自由である。また、ADにはカレッジというまとまった領域がないのも大きな特徴である。カレッジ独自のキャンパスはなく、校舎、図書館、寮などの施設は村の中に点在して、ドゥイノ村自体があたかもカレッジであるかのような雰囲気を醸し出している。

カレッジでの朝食はそれぞれの寮のキッチンでとり、昼食と夕食は食堂でとることができる。運動場やプールといった設備はないが、地域のグラウンドや体育館、プールを使用できる。また、夏になれば、カレッジ専用のビーチで泳ぐこともできる。

寮の中には個人の家を改築したものもあり、それぞれの寮が独自の雰囲気をもっている。寮にはハウスマスターがいて生徒の生活を指導しているが、厳しい規則はほとんどなく、生徒は自分の家にいるようにのびのびと生活している。

ADがドゥイノという村の中に存在することの意味は大きい。村人と接する機会が多く、カレッジ自体が外界と孤立することなく、イタリア社会のなかに自然に溶けこんでいるからである。

(4) USAカレッジ (UWC-USA)

アメリカの実業家故アーマンド・ハマー氏の尽力により1982年に設立されたUSAカレッジ(UWC-USA)は、ニューメキシコ州のアルバカーキから北へ150km、車で3時間ほどのロッキー山脈の中腹の町モンテズマに位置する。生徒総数は約200人、国籍は70カ国以上に及ぶ。

UWC-USAは、100年ほど前にホテルとして建てられたモンテズマ城を中心に、その周囲に4つの校舎と購買部などが置かれたキャンパスセンター、6つの寮、さらにテニスコート、バスケットボールコート、サッカー場、Hot Springs(温泉)など各種設備が整っている。また、それぞれの寮のデイルーム(居間)には台所用品や洗濯機、乾燥機、アイロンなど、生活に必要なものが一通り揃っている。寮ごとのミーティングやパーティーもここで開かれる。

海のないUWC-USAでの野外活動の中心は山岳活動である。特にSearch & Rescue Team(山岳救助隊)は、近くの山で遭難した人の救助に大きく貢献している。週末には各種のスポーツ大会、キャンプ、スキーツアーなどがあり、自由に参加できる。

さらに、学業やスポーツだけでなく、生徒の国際社会に関する幅広い知識の習得にも重点を置いており、これに関係した行事が多い。例えば、各分野の専門家を招いたり、生徒自身が自国の現状や問題点について語るなどして、毎週違ったテーマで討論会を開いている。

地域の人々との交流は、他のカレッジと同様、社会奉仕活動や文化活動を通じて行っているが、“Get-Away Family”と呼ばれるプログラムもある。これは、生徒一人ひとりが近くの町にホストファミリーを持ち、週末など暇な時にホストファミリーを訪れ、自由に交流を深めるというプログラムである。

(5) リ・ポ・チュン・カレッジ (Li Po Chun UWC)

リ・ポ・チュン・カレッジ(LPC)は、香港の実業家 リ・ポ・チュン氏と香港政府の協力により設立され、1992年9月に開校した。カレッジは静かな住宅街である新界(ニュー・テリトリー)の沙田地区にあり、緑に囲まれたカレッジからは、美しいトロ湾を望むことができる。

現在、約230名の生徒がカレッジに在籍し、IB教育を受けている。生徒の約30%は中国人で、残りは世界中から集まった生徒たちである。20名余の教師も世界中から招聘され、校内にある住居で家族とともに生活している。授業は全て英語で行われるが、非中国語圏からきた生徒は、第2外国語として中国語を学ぶことを奨励されている。カレッジでの社会奉仕活動は、恵まれない子供たちの施設や老人ホームの訪問が行われている。課外活動では、水泳、ヨット、カヌー、クロスカントリー、登山、オリエンテーリングなどのスポーツが行われている。また、3月のプロジェクト・ウィークには、生徒の半数以上が中国旅行に出かけている。

カレッジには、カフェテリア式の食堂、キャンパスストア(購買部)、テニスコート、グラウンドなどの設備が整備されている。また、プール、図書館、コンピュータ装備のAVルーム、実験室等が授業や自主学習で利用される。校舎は広々とした近代的な建物で、中庭に日本庭園をつくることも検討されている。寮は男子寮と女子寮に分かれており、海外から入学した生徒のほとんどが入寮している(寮は4人部屋)。

(6) レッド・クロス・ノルディック・カレッジ (UWC Red Cross Nordic)

レッド・クロス・ノルディック・カレッジ(RCN)はノルウェー政府、赤十字の協力により設立され、1995年に開校した。カレッジは、オスロから北西約300kmのフィヨルドを臨む風光明媚なフレック・フャーレルに位置している。

生徒は約200人である。カレッジには講堂とカフェテリアが一緒になった“カフェトリアム”、図書館、実験棟ほか科目分野ごとに分かれた教室、生徒が暮らす寮など13の施設がある。それぞれ石造りの小道でつながれ、校長始め教師、生徒が共同生活をしている。校舎や寮など建物の概観は、地域の風景と調和するよう、時代ごとの伝統的なノルウェー西部の木造建築で統一されている。一方、内部は中央管理の空調システム、情報通信システムなどが導入され、快適な学校生活を送ることができる環境が整備されている。

RCNの特徴は、ノルウェー、人道、環境を3つの柱としていることである。北欧出身でない生徒は、初級ノルウェー語を勉強することとなっている。また、学校名に赤十字の名前が冠されているとおり、校舎は「赤十字リハビリテーション訓練センター」と併設され、救護やライフセービングなどの活動の機会がある。また、先の特徴とも関連し、生徒は「環境システムと社会」「開発学」「グローバル政策」などの科目を取得することが奨励されている。

(7) マヒンドラ・カレッジ (UWC Mahindra College)

マヒンドラ・カレッジ(MC)は、ムンバイ(旧ボンベイ)近郊の学術・文化都市プーネから車で1時間ほどの風光明媚な山々とムラ川を望む地に、インドの実業家マヒンドラ家からの基金により、1997年9月に設立された。現在生徒数は約240名で、インド人の生徒が2〜3割を占め、70を超える国から生徒が集まっている。

MCは生徒の住居を、中庭とベランダを持つインドの伝統的な家としている。また、自然石で壁を葺くなど、建築材料やカレッジのレイアウトにインド古代建築の伝統を反映させている。全体の仕上がりや、洗面所・浴室、キッチン、実験室は現代的で最新鋭のものとなっている。気候は地中海型で、冬は温暖であり、モンスーン期もほどよい降雨量となっている。1年中を通じてアウトドアの生活を楽しむことができる。

インドのような発展途上国においては、自然資源の保存と再利用が重要であり、そのためにMCでは持続的発展の追求を最重要テーマとしている。廃棄物のリサイクルや再植林プログラム、水耕栽培、代替エネルギーの利用などが、社会奉仕活動の重要な部分を占めている。また、インドの豊かな歴史と、この地に深く根差した哲学や文化を様々な機会を通して学ぶことができる。

MCは、農業に従事する近隣社会との交流にも力を入れており、キャンパス内の広々とした空き地を利用して、農園をつくっている。近隣の農民の指導を受けながらカレッジの農園を耕し、野菜を栽培し、牛や馬などの家畜を育てている。他方、近隣の子どもや大人たちに教えることにより、地域社会からの協力を得る。このように、お互いが教えあい、学びあうことにより、双方向の交流を行う。

(8) マーストリヒト・カレッジ (UWC Maastricht)

マーストリヒト・カレッジ(MR)は、2009年に、既存の二つのインターナショナル・スクールの統合によって設立された。マーストリヒト市東部に立地しており、2013年秋には、新キャンパスが完成し、初等部から高等部の全生徒が通学する学校と学生寮が同じ敷地内に建設された。新キャンパスは地熱発電や雨水の再利用等、環境へのインパクトやエネルギー消費量等に配慮したものとなっている。

MRの生徒数は現在、約900名(大半は通学生)。ディプロマ課程には約300名が在学し、約180名が寮で暮らす。初等部から高等部までの全学生がコミュニティ・サービス・プログラムに参加するが、カレッジは都市に立地しているため、学生が参加するコミュニティ・サービスは非常に多岐にわたる。コミュニティ・サービスには学生のみでなく教師も参加し、学生の監督にあたっている。MRは、オランダのコミュニティ・サービス・センターとして、オランダ教育省と協力しながら、カレッジの学生のみでなく、他校の学生も対象に、大胆なコミュニティ・サービスを展開していく予定である。

(9) コスタリカ・カレッジ (UWC Costa Rica)

コスタリカ・カレッジ(CR)は、北をニカラグア、南をパナマに挟まれたコスタリカ中央部の首都サン・ホセ市郊外の農園地帯に立地している。

コスタリカは中米で最も安定した民主主義国であり、1948年に世界で初めて国軍を廃止した国としても知られており、中南米諸国から多くの留学生を受け入れてきている。CRの前身は、2000年に児童の保護・育成を行なう国際NGOの SOS Kinderdorf International が、南米の恵まれない子どもたちを支援するために、コスタリカに、アフリカのガーナに続く世界で2番目の支援センターを設立したことに始まる。CRは、支援センターを卒業した若者に、世界中の同世代の若者との交流の機会を与えつつ、高等教育への門戸を開くために、2006年に設立された。

カレッジの所在地は、コスタリカの主要農産物であるコーヒー・プランテーションの跡地で、周囲をバナナ・唐辛子・ブーゲンビリア・生姜などの商品作物農園に囲まれている。自然を活かした5ヘクタールの敷地には、15の教室と8つの寮などが建てられている。

教育プログラムは国際バカロレアだが、CRでは、UWCで唯一、授業が英語とスペイン語の完全バイリンガルで行なわれている。国内に紛争を抱える中南米諸国出身の生徒が多いこともあり、倫理・道徳的に強固な信念をもたせることを主眼に据えつつ、平和教育、多文化尊重、環境保護活動の3点に重点を置いている。

(10) ロバート・ボッシュ・カレッジ (UWC Robert Bosch College)

20世紀のドイツの企業家・教育者で、後に世界的な自動車部品メーカーとなった「ロバート・ボッシュ社」を設立したロバート・ボッシュ氏の生誕150周年を記念し、設立された。ボッシュ氏は、教育を通じた国際相互理解と国際協調を信じており、ロバート・ボッシュ・カレッジ(RBC)では、同氏及び同財団の精神に則り、環境問題特に革新的技術を通じた生態系の保全や、sustainabilityを重視している。

フランクフルト空港からRBCまではバスで4時間程かかるが、街の中心まではトラム(路面電車)や自転車でも行くことができ、歩いて30分程の距離に歴史的建築物やドイツの美しい町並みが続くフライブルクがある。また、近くには「黒い森」と呼ばれる森があり、気軽なハイキングを楽しむことができる。

生徒はIB科目として取っても取らなくても全員ドイツ語を必修として学ぶことになる。ドイツで生活する上でとても役に立つ授業で多くの生徒にとってとても興味深いものとなっている。また、RBCの特徴的な授業の1つにAnthropology(文化人類学)があり、人々の生活習慣や社会問題がなぜ起こるのか、文化や社会の仕組みに着目しながら分析を行う。授業中に行われるディスカッションでは世界中から集まった生徒から様々な意見を聞くことができるため、UWCならではの国際理解を深めることができる。

(11) ディリジャン・カレッジ (UWC Dilijan)

アルメニアは1991年に旧ソビエト連邦から独立した共和制国家で、また、世界最古のキリスト教国でもある。ディリジャン・カレッジ(DC)は、首都エレバンの北東に位置する小さな町の、豊かな自然が残るディリジャン国立公園内に設立された。同地域は非常にカラッとした気候で、夏は非常に過ごしやすいため避暑地としても有名だが、1年の半分が冬で、毎年10月頃から雪が降り出し、4月になってやっと雪解けが始まる。

DCには、プールと体育館とジムがあるスポーツホール、全授業が開かれるアカデミックホール、映画を見たりプレゼンを行うブラックボックス、食堂、そして寮の合計5つの建物がある。また、UWCの中でも最高水準の施設・設備を有しており、学習棟には9つの実習室、図書館、多様なオープンスペース等を備えているほか、3Dプリンターや轆轤(ろくろ)を配置するなど特にアート系の設備が充実している。

基本的にルームメイトは、異なった大陸から派遣された生徒が割り当てられ、四人部屋の場合2人はセカンドイヤーで2人はファーストイヤーという風に学年混合の部屋になることが多い。

DCでは豊かな自然を生かし、ハイキング、ロック・クライミング、セヴァン湖でのスポーツ、スキーなどのアウトドア活動も盛んである。また、ディリジャンの地元の人々とのコミュニティ活動にも力を入れているため、孤児院に行って英語を教えたり、地元で野菜を栽培するというプロジェクトなどもある。

※ ご参考

(12) チャイナ・カレッジ (UWC Changshu China)

チャイナ・カレッジ(CC)は、2015年に15番目のカレッジとして浙江省、常熟市に設立され、上海の街から西へ110kmほどのところにある、湖の一部を埋め立てて造られていて景観の良い場所にある。課外活動で、カヤックやスキューバダイビングなどを行うことができるほか、動物保護やキャンパス内でのサマースクール開催など、社会的活動にも精力的に活動している。また、全生徒が原則中国語を学ぶことになっていて、基本的な単語から日常生活で使える便利な表現を学ぶことができる。

中国校の寮はA、B、CとなっていてA棟、C棟は6階建てB棟は5階建てになっており、3階から5階もしくは6階までが生徒が居住するエリアである。それぞれの階にはコモンルームと呼ばれる生徒同士が自由時間におしゃべりしたり、その階に関わるミーティングが行われるスペースがあるほか、基本的にそれぞれの階が1つのハウスとなり、一緒に校外に食事にいくなどのイベントが用意され、お互いの親交を深める機会になっている。

※ ご参考


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