(公財)経団連国際教育交流財団産業リーダー人材育成奨学生留学報告

イギリスでの中国留学

佐久間 早紀 (さくま さき)
2016年度奨学生
一橋大学からイギリス/ウォーリック大学に留学

私は、2016年9月から2017年7月まで、イギリスのウォーリック大学大学院国際関係学科に在籍し、アジア太平洋諸国とBRICsの政治及び経済モデルについて研究を行った。修士論文では、南アフリカ経済モデルの脆弱性について、BRICs諸国の経済モデルとの比較・国内政治・GDP成長要因等から検証を行った。授業は全てゼミ形式で行われ、各国の政治体制、経済モデルとその発展の歴史などについて、世界中から集まる学生とともに議論した。課題文献は、週1000ページを超え、10ヵ月で執筆した論文は計5万語以上にのぼる。もちろん大変ではあったが、国際経済について様々な国の出身者と議論できるのは、本当に恵まれた環境である。本学部の日本人は私一人であり、日本に関することは知っていて当然という空気があったため、ミニ日本代表とも言えるプレッシャーと遣り甲斐を感じた。毎回の議論を通じて、知見が深まるのを日々実感できたし、自分がいかに日本的な考え方に捕らわれていたか、外に出たからこそ気付けることもしばしばあり、毎日が発見であった。

しかし、私がこれらの勉強以上に頑張ったことがある。それは中国語だ。今回のイギリス留学は、中国なしには到底語ることができず、私にとっては半分「中国留学」であったと言っても過言ではない。ウォーリック大学には、中国からの留学生が非常に多く、中国語を使う機会に溢れている。私自身、中国語は大学一年生の時に10ヵ月弱履修した程度に過ぎず、始めは友達との会話は全くと言って良いほど分からなかったが、理解したいという気持ちから毎日必死に勉強した。昨日覚えた単語が今日の友達との会話で使われていて、理解できなかった会話が理解できるようになった瞬間、最高の喜びと達成感を感じることが出来る。これが私の中国語勉強の最大のモチベーションだった。

中国人のグループに入っていくのは、少し勇気が必要だったが、友達は私を非常に寛容に受け入れてくれた。会話のヒートアップに伴い、私のハテナマークが増えていくと、「早紀、意味わかる?この単語知らないんじゃない?」と、みんなが楽しく盛り上がっているところ、会話を中断しては申し訳ないと躊躇う私の気持ちを汲み、いつも声をかけてくれた。そのお陰で、友達との会話は毎回本当に楽しく、始めに感じていた不安や緊張もすぐに消え去った。何か言い間違っても笑い飛ばしてくれるような、温かい友達、心から打ち解けられる優しい友達が出来たことは、私の一生の宝である。

英語と中国語に囲まれた今回の留学は、自分でも驚くほど一寸の悔いもない。友達にも環境にも恵まれ充実した生活を送れたこと、毎日たくさんのことを勉強できたことを心から幸せに感じる。このような素晴らしい経験をさせてくださった、経団連国際教育交流財団の皆様に心より御礼申しあげるとともに、本留学で学んだことを少しでも社会に還元できるよう、これからも一層励んでまいりたい。

(大学の寮で友達と。筆者は右から二番目)
(2018年2月掲載)

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