(公財)経団連国際教育交流財団産業リーダー人材育成奨学生留学報告

アメリカで過ごした二年間

柏崎 麗子 (かしわざき れいこ)
2019年度奨学生
東京大学からアメリカ/ペンシルベニア州立大学に留学

大学のシンボル、Nittany Lionと一緒に

私は東京大学工学部システム創成学科を卒業後、2019年8月から2021年5月まで、経団連国際教育交流財団の支援を受けて、アメリカのペンシルベニア州立大学の大学院経済学研究科に留学させて頂いた。留学中は、一年目にはミクロ経済学・マクロ経済学・計量経済学といったコア授業を履修し、二年目からは自分で研究テーマを定めて、修士論文を執筆した。

一年目のコア授業では、経済学部出身ではない私にとって、戸惑うところもあったが、学友や教授の力を借りて、翌年に自分で研究を行うための素地を身につけることができた。

二年目の研究テーマは、日本における職業ごと男女の賃金格差を、各職業の労働時間による年収の弾力性によって説明するというものだった。私の研究のベースとなった、Goldin(2014)というアメリカの男女の賃金格差に関する論文では、労働時間が長いほど年収が指数関数的に上がっていく職業、すなわち労働時間による年収の弾力性が高い職業ほど、男女の賃金格差が高い傾向が示されている。私の研究では、Goldin(2014)のアイディアに基づいて、日本のデータを分析し、日本でもほぼ同じ傾向が見られることを示した。この研究によって、労働時間以外の評価方法で従業員の賃金を決めることや、従業員の代替性を改善することによって、男女の賃金格差を縮小できることを提言することができた。

留学が始まって半年後には、アメリカでCovid-19が大流行したため、全ての授業がオンライン授業に切り替わったり、様々な課外活動が制限されたりするなど、当初思い描いていた留学生活とは違ったものになった。しかしながら、車の免許を取得して旅行に出かけたり、地元のマーケットで手に入れた珍しい食材を使って料理をし、友人を家に招いたりするなど、学習以外の活動も充実させることができた。世界中が困難な状況にあっても、こうして無事に留学を続けることができたことは、本当に恵まれたことだと思っている。

最後になったが、貴重な機会を与えてくださった経団連国際教育交流財団の皆様に心より御礼申し上げる。留学後は日本に戻り、金融系の企業に就職する予定である。二年間アメリカで学んだことを少しでも活かせるように、これからも精進していきたい。

(2021年10月掲載)

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