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2003年度 21世紀政策研究所事業報告

(社)日本経済団体連合会
21世紀政策研究所
http://www.21ppi.org/

1.政策研究活動の展開

(1) 日米経済予測への取り組み

「PE(Policy Evaluation:政策評価)モデル」による日米両国を中心とした経済予測に引き続き取り組み、更新データが毎月発表される都度、ホームページに新たな予測結果を迅速に公表して広く参考に供する一方、金融・経済問題の分析に活用し、シンポジウム(第28回)等において、わが国経済復活の兆しを逸早く示した。

(2) わが国経済の活力蘇生に向けての研究

資本市場の整備等、わが国経済の活力蘇生に向けた諸改革について検討を行ない、シンポジウム等(第26回)にてわが国の政治経済システムの問題点を提起した。特に郵政事業改革については、シンポジウム(第30回)等で重点的に取りあげた。
また、インターネット上に構造改革特区支援サイト「みんなの特区」を開設(8月)して関連情報を広く提供するとともに、シンポジウム(第29回、第34回)を開催し、「特区」の今後の可能性等を示した。なお、日本経済新聞の「ゼミナール」欄に、当研究所名による連載記事「『改革特区』が拓く」が掲載された(25回、1月上旬〜2月上旬)。
さらに、高付加価値を生み出し、雇用を創出する等、わが国経済の活力の源となり得る新たな産業・企業像の探究を開始した。

(3) デジタルマップ等による総選挙分析

11月上旬の総選挙に先立ち、各種データを地域分布・時系列変化等を踏まえて地図上に明示する「デジタルマップ」等により、わが国の政策課題についての研究を進めるとともに、同選挙結果を分析し、各々シンポジウム(第32回、第33回)を開催してその成果を発表した。

(4) 知的研究交流の推進

2000年度から実施している台湾経済研究院(台湾の民間シンクタンク)との知的研究交流の一環としてシンポジウムを共催(於 台北、非公開)し、台湾の政治経済外交を含む東南アジア情勢について忌憚のない意見交換を行なった。また、同シンポジウムの前後に台湾官民の要人・専門家と率直な意見交換の機会を得た。
その他、欧米、中国等の有識者・専門家と適宜知的交流を行なった。

(5) 国際的課題の解決方策の検討

イラク復興支援のあり方、イスラム諸国における新たな経済秩序の構築等について検討を進め、シンポジウム(第26回)等にて課題を指摘した他、重症急性呼吸器症候群 (SARS)の及ぼす影響の重大性につき、シンポジウム(第27回)等にて注意を喚起した。
また、米国の財団「ジャーマン・マーシャル・ファンド(GMF)」が主催する国際会議「貿易と貧困に関するフォーラム(TPF)」に、豊田当研究所会長を団長、田中理事長を運営委員とする日本代表団を編成して参加した(第1回全体会議は5月にイタリア・ヴェニス、第2回全体会議は3月にベルギー・ブラッセルにて開催)。
TPFには、日・米・欧州連合(EU)・インド・ブラジル・南アフリカの5カ国1地域から政治家・労組指導者・実業家等が参加し、グローバルな貿易や投資が世界の貧困撲滅に資するとの観点から、特にWTOドーハ・ラウンドの側面支援を目指して討議が行なわれ、第1回全体会議後には、6名の共同議長連名による提言をWTOカンクン閣僚会議(9月)に先立って公表した(5カ国1地域各々の団長全員が共同議長)。第2回全体会議では、農業を中心とする貿易面での改革、多国間・二国間援助等に焦点を絞った提言を取りまとめて発表した。なお、TPFにおけるWTOへの取り組み等については、シンポジウム(第31回)にて取り上げた。
TPFの第3回全体会議は2005年4月上旬に名古屋にて開催が予定されており、当研究所では、今後の討議の深化に向け、貿易と貧困のみならず、貧困がもたらす新型感染症の流行拡大や環境破壊の深刻化等についても検討を開始した。

2.シンポジウムの開催等

4月25日 第26回シンポジウム「イラク戦後の世界秩序と日本の政治・経済システム」
田中理事長 講演
コメント:佐々木毅 東京大学総長
5月24〜25日 TPF第1回全体会議(於 イタリア・ヴェニス)
6月10日 第27回シンポジウム「突発したSARS禍と日本産業の課題」
中村祐輔 東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長・教授 講演
「科学技術立国と生命科学の課題」
田中理事長 講演
「相互依存の深化と日本産業の新しい課題」
7月7日 第28回シンポジウム「金融の価格調整機能の回復は可能か」
田中理事長 講演
堀内昭義 中央大学総合政策学部教授 講演
「日本の金融システムにおける価格調整機能」
8月1日 構造改革特区支援サイト「みんなの特区」開設
9月5日 第29回シンポジウム「構造改革特区の可能性」
辻田昌弘 当研究所研究主幹 報告
滑川雅士 内閣官房構造改革特区推進室長 講演
「構造改革特区について」
9月17日 第30回シンポジウム「構造改革の加速」
田中理事長 講演
小泉純一郎 内閣総理大臣 講演
9月30日 第31回シンポジウム「WTOカンクン閣僚会議と日本農業の選択肢」
アンソリス 米国GMF調査担当ディレクター 講演
「TPFでのWTOへの取組み」
武部勤 衆議院議員 講演
「日本農業の構造改革」
田中理事長 講演
「日本の経済改革における農業の位置」
10月24日 第32回シンポジウム「デジタルマップから見た日本の政策課題」
田中理事長 講演
増田寛也 岩手県知事 講演
「三位一体改革と地方分権」
12月8日 台湾経済研究院とシンポジウム共催(於 台北、非公開)
12月16日 第33回シンポジウム「総選挙に見る国民の選択と政権構想」
田中理事長 講演
根本 匠 衆議院議員 講演
鉢呂吉雄 衆議院議員 講演
3月5日 第34回シンポジウム「構造改革特区の挑戦」
辻田研究主幹 報告
「構造改革特区の現状と今後の課題」
豊岡典保 新日本製鐵広畑製鐵所総務部次長 講演
「資源循環型社会に貢献する広畑製鐵所の取組み」
阿高和憲 北九州市企画政策室企画調整課長 講演
「構造改革特区と北九州市の取り組み」
3月26〜27日 TPF第2回全体会議(於 ベルギー・ブラッセル)

3.運営委員会の開催

4月2日 第19回運営委員会
2002年度事業報告・収支決算、2003年度事業計画・収支予算、
米英によるイラク攻撃開始と戦後の見取り図、日米経済予測
9月1日 第20回運営委員会
新運営委員紹介、理事長ならびに研究主幹の選任、日米経済分析
2月10日 第21回運営委員会
2002年度活動概況・決算見込み、郵政民営化、2004年の景気回復経路
以上

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