「PE(Policy Evaluation:政策評価)モデル」による日米両国を中心とした経済展望に引き続き取り組み、月次統計発表の都度展望結果を更新し、当研究所サイトにて公表した。
わが国経済の新たな発展に向けた諸改革・課題について検討を行い、とくに郵政事業改革については、シンポジウム〔第36回(7月20日)〕等にて重点的に取りあげた。
「構造改革特区」については、引き続き同「特区」支援サイト「みんなの特区」にて関連情報を広く提供するとともに、研究成果を適宜発表した〔「構造改革特区制度における評価システムの課題」(12月6日)、「踊り場にさしかかりつつある構造改革特区制度−地方公共団体等のモチベーションに配慮した制度の再設計を−」(12月9日、同20日改訂)等〕。なお本サイトについては、2003年8月1日の開設以後全国で「特区」が展開され、所期の目的をほぼ達成したことから、本年度末に休止した(2005年3月28日)。
また産業集積に関し、わが国産官学共同の調査研究プロジェクトである「技術革新型企業創生プロジェクト(ルネッサンスプロジェクト)」のディスカッションペーパーとして論文を取りまとめて公表した(「我が国製造業における産業集積構造の変容とその原因」ならびに「研究開発型産業集積と地域イノベーション戦略」、いずれも当研究所サイトには2005年3月4日掲載)。
雇用・労働問題に関しては、若年無業者問題(「ニート」「社会的ひきこもり」等)を中心に取り組み、専門家を招いてフォーラムを開催(7月15日)する等、様々な角度から検討した。
金融関連では、金融行政に関するシンポジウム〔第39回(2005年3月15日)〕を開催した他、郵政民営化の影響を含めた今後の金融制度全般について研究を進めた。また、2005年2月以降表面化したライブドアによるニッポン放送株取得をめぐる問題に関しては、今後の金融制度・資本市場のあり方についての視点を踏まえた一連の分析結果を「特別企画 ニッポン放送株問題」として当研究所サイトに掲載した(2005年2月18日〜3月25日)。
貿易と貧困、環境破壊、感染症の流行拡大、自然災害等のグローバルな課題の解決方策について検討を進め、その一環として一連のシンポジウム「地球再生のシナリオ」を開催した〔「貧困への挑戦と新型感染症」(6月2日)、「水危機問題」(11月2日)、「日本の農業改革とWTOドーハ・ラウンド」(2005年2月23日)〕。
同シンポジウムは2005年日本国際博覧会(「愛・地球博」)の「パートナーシップ事業」として登録し、同博覧会開幕(2005年3月25日)に側面協力した。
また、日・米・欧・インド・ブラジル・南アフリカの有識者で構成する「貿易と貧困に関するフォーラム(TPF;Trade and Poverty Forum)」に引き続き参加した〔インド・デリーでの運営会議(12月5日)等〕。
さらに、2005年度初頭に開催予定のTPF第3回全体会議(2005年4月3日、於 名古屋、TPFとしての最終会合)、ならびにシンポジウム「地球再生のシナリオ」第4回会合(2005年4月4日、於 「愛・地球博」会場内、フォーラム「地球再生のシナリオ−貿易・貧困・環境−」と題し、TPF最終会合後の公開セッションを兼ねる)に関する諸準備をすすめた。
なお、12月26日に発生したスマトラ沖大地震・インド洋大津波をめぐる諸課題に関しても緊急調査を行い、適宜関係方面に働きかけるとともに、TPF最終会合ならびに同公開セッションにおいても本問題を取り上げた。
中国のシンクタンク「改革開放論壇」(理事長:鄭必堅 中国共産党中央党校元副校長)とフォーラムを共催(12月13〜14日、於 中国・北京、非公開)し、中国経済をめぐる諸問題について日中双方の専門家による忌憚のない意見交換を行なった。
その他、欧米、中国・インド等の有識者と適宜知的交流を行なった。