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2006年度事業計画

(社)日本経済団体連合会

I.事業計画の概要

わが国は、現在、人口減少時代の到来、グローバルな競争の激化など大きな環境変化に直面しており、これを克服するためには、経済を支える民間企業の活力を維持・強化し、民主導による力強い成長基盤を構築する必要がある。
そこで、2006年度においては、新たなビジョンの策定ならびに緊急かつ重要な政策課題を列挙した「優先政策事項」(2005年11月)の推進をはじめ、経済・産業・社会・経営労働・国際などの各分野において諸課題の迅速かつ着実な解決に向け、以下の活動に取り組む。

【政策全般】

(1)基本方針等の作成
〔総合政策委員会〕

総会決議の取りまとめなど、日本経団連としての基本的な活動方針を検討・策定する。特に、今年は新たなビジョンを策定する。

(2)憲法改正問題への対応
〔国の基本問題検討委員会〕

憲法改正に関する議論に経済界の意見を反映させる。

【経済・法制関係】

(1)適切な経済政策運営の実現
〔経済政策委員会〕

日本経済の持続的な成長に向けて、情勢変化を的確・迅速に把握しつつ、経済運営のあり方を検討する。また、政府統計に係る報告者負担の軽減・利用者利便の向上のための具体的施策の実現を関係方面に働きかける。

(2)税制、財政、社会保障制度の一体的改革の推進
〔税制委員会、財政制度委員会、社会保障委員会〕

行政システム、地方公共団体のあり方、歳出、社会保障、税制改革に関する基本的考え方としての歳出・歳入一体改革の方針を取りまとめる。特に、経済成長を後押しする観点からの法人実効税率の引き下げや消費税を含むあるべき税体系の確立、年金、医療、介護などの社会保障制度の一体的改革に取り組む。

(3)金融法制・資本市場関連法制の整備
〔金融制度委員会〕

金融機能の健全な発展のため、金融法制・資本市場関連法制の整備に係る検討ならびに金融・保険・証券市場に係る規制改革の実現を働きかける。

(4)国際競争力の基盤となる経済法規の整備
〔経済法規委員会〕

新会社法の運用状況を見ながら必要な改正を検討する。また、わが国に適したコーポレート・ガバナンスのあり方を検討するとともに、消費者の自立と企業の自主性を尊重した消費者政策の実現ならびに独占禁止法の抜本的な見直しに向けて、経済界の意見が反映されるよう、関係方面に働きかける。さらに、会計基準の日米欧市場間での相互承認を目指す。

【行革・産業・国土関係】

(1)行政改革・規制改革の推進
〔行政改革推進委員会〕

国家の競争力を強化する観点から、官の構造改革や行政に対するガバナンスの確立などに取り組む。また、会員企業・団体の要望に基づく規制改革要望を取りまとめ、実現を働きかける。

(2)新たな成長分野の振興
〔産業問題委員会、起業創造委員会〕

わが国産業の国際競争力を維持・向上させていくため、業界横断的な取組みなどにより、エンターテインメント・コンテンツ産業、食に関わる産業、ヘルスケア産業の振興に向けた環境整備を図る。また、産学連携の効果的な推進、ベンチャー支援ネットワークの構築などを進める。

(3)IT基盤の利活用の促進
〔情報通信委員会〕

世界最先端のICT利活用国家の実現に向けて、ITS、電子政府、人材育成をはじめ、政府のIT新改革戦略の具体化に対応する。また、IP化時代における通信・放送政策やインターネットガバナンスに関する諸課題に対する経済界の意見を取りまとめる。

(4)物流インフラの効率的整備の推進
〔運輸・流通委員会〕

道路、港湾、空港などの物流インフラの整備を促進するとともに、既存インフラの有効活用を進める観点から、輸出入・港湾手続きの効率化に向けた行政システムの最適化などソフト面での取り組みを強化する。

(5)わが国農業の構造改革の推進
〔農政問題委員会〕

わが国農業の構造改革に向けて、WTO新ラウンド交渉やEPA交渉の動向を踏まえつつ、規制改革要望を働きかけるとともに、農業界等との意見交換を進める。

(6)都市再生と地方振興、住宅・住環境の質の向上
〔国土・都市政策委員会、住宅政策委員会〕

都市再生や美しい街づくり、PFIの推進ならびに住宅関連税制の充実を実現するため、関係方面に働きかける。

(7)観光立国推進体制の整備
〔観光委員会〕

観光分野における高度専門家の育成等の観光立国推進体制の整備等を関係方面に働きかけるとともに、シンポジウムなどを開催し、観光振興に係る啓発活動を行う。

【技術・環境・エネルギー関係】

(1)産業技術・科学技術戦略の検討、海洋開発の推進
〔産業技術委員会、海洋開発推進委員会〕

わが国産業の国際競争力を強化し、イノベーションの実現による科学技術投資の具体的な成果を還元する観点から、今後の科学技術政策のあり方を取りまとめ、実現を働きかける。また、海洋開発推進のプロジェクトの実現に向けて、関係機関との連携を強化する。

(2)地球温暖化ならびに廃棄物問題への対応
〔環境安全委員会〕

温暖化対策について、環境自主行動計画の確実な達成に努力するととともに民生部門などの対策の強化に取り組む。また、米国や中国をはじめ全ての国が参加できる2013年以降の国際的な温暖化対策の枠組み作りに向けて、経済界からの積極的な情報発信に努める。
さらに、環境自主行動計画を通じて、廃棄物の適正な処理とリサイクルを推進し、併せて、国・地方公共団体に廃棄物処理法などの規制改革を働きかける。さらに保安四法の合理化・整合化に取り組む。

(3)エネルギー安全保障の確立の推進
〔資源・エネルギー対策委員会〕

エネルギー安全保障の確立に向けた提言を取りまとめ、政府のエネルギー基本計画の改訂に経済界の意見が反映されるように働きかける。

(4)戦略的な知的財産政策の推進
〔知的財産委員会【新設】〕

わが国産業が持続的な発展を果たしていく上では、知的財産の重要性がますます高まっていくことから、基本特許が多く生まれる環境整備、知的財産分野におけるイノベーションの促進策、著作権制度のあり方について検討し、提言を行う。

(5)防衛生産・技術基盤の維持・強化、宇宙開発利用の推進
〔防衛生産委員会、宇宙開発利用推進委員会〕

「防衛計画の大綱」及び「中期防衛力整備計画」の着実な実現に向けた働きかけや日米防衛産業間の協力強化に努める。また、宇宙の平和利用原則の解釈見直しに向けて、関係方面と連携する。

【社会関係】

(1)広報・出版活動の積極的展開
〔広報委員会ほか〕

日本経団連の政策提言や活動の内容と背景を、各種媒体を通じて広く訴え、理解と支持を得る。また、経済広報センターなどと連携し、日本経団連が取り組むべき重要課題の広報戦略や体制について総合的見地から検討し、広報を展開する。

(2)企業倫理の確立による社会の共感と信頼の向上
〔企業行動委員会〕

会員企業・団体のトップに対して、「企業行動憲章」の周知徹底と不祥事防止のための実効ある社内体制などの整備促進を呼びかける。また、「企業倫理月間」を実施し、企業倫理確立のため、会員企業に継続的な取り組みを促す。

(3)企業の社会貢献活動の推進、NPOなどとの連携・協働の支援
〔社会貢献推進委員会、企業行動委員会、1%クラブ

株主、従業員、消費者・ユーザー、NPOなどのステークホルダーとコミュニケーションを図りながら、社会貢献活動のあり方や必要な基盤の整備を検討し、実現を図る。また、会員企業の自主的なCSRへの取り組みを支援するとともに、社会問題の解決に向けた企業とNPOの連携・協働を支援し、その交流を促進する。

(4)政策本位の政治の実現
〔政治・企業委員会、政経行動委員会、企業人政治フォーラム

政策本位の政治の実現に向けて、優先政策事項に基づき政党の政策評価を実施するとともに、重要な社会的責任のひとつとして企業の自発的な政治寄付を促進する。併せて、政治資金規正法や公職選挙法の改正の動きを注視し、個人や企業の政治参加促進策を検討する。

(5)教育改革の推進
〔教育問題委員会〕

多様性、競争、評価の観点から、義務教育改革を実現するための具体的な提案を行うとともに、高等教育機関における教育への取り組みについて実態把握を行う。また、教育基本法の改正に向けた政府・与党の動きを注視し、適宜対応するほか、キャリア形成支援のあり方を検討する。

(6)防災問題への対応
〔防災に関する委員会【新設】〕

災害発生時における行政・NPOなどとの企業の連携のあり方を検討するほか、政府における防災問題の議論に経済界の意見を反映させる。

【経営労働関係】

(1)企業経営に係る指針の作成
〔経営労働政策委員会〕

「経営と人」に関する日本経団連の基本的な考え方を総合的に検討し、春季労使交渉に際して、全国の企業経営者の指針となる報告書を取りまとめる。

(2)適切な雇用対策のあり方の検討
〔雇用委員会〕

雇用保険の料率見直しや雇用保険三事業の廃止・見直し等雇用保険制度の改革を働きかけるとともに、企業の実態に即して労働者派遣法や職業安定法の規制緩和を一層進める。

(3)多様な人材の活用、労使協議のあり方の検討
〔人事労務管理委員会、労使関係委員会〕

男女雇用機会均等法の政省令見直しに向けて、経済界の意見が反映されるよう努めるとともに、労使間の課題の多様化に対応した労使協議のあり方を検討する。

(4)労働契約法制などへの対応
〔労働法規委員会〕

労働契約法制のあり方について、企業実務への影響などを検討し、新法制定の審議に経済界の意見が反映されるよう努める。また、ホワイトカラー・エグゼンプション制度の早期実現を目指す。

(5)中小企業発展に向けた人材育成・確保
〔中小企業委員会〕

中小企業の経営革新に向けた人材育成・確保に関する課題を検討する。

(6)子育て環境の改善と国民生活の質的向上
〔国民生活委員会〕

子育て環境整備に関する企業の取り組み状況や保育行政の動向を調査、分析し、民間活力を活かした保育サービスのあり方を国などに要望する。さらに国民生活の質的向上を図る観点から、実態の把握と課題の検討を行う。

(7)少子化対策の検討
〔少子化対策委員会〕

人口減少の速度をできる限り緩和する観点から、仕事と家庭生活の両立支援策だけでなく、多様な人材活用や働き方に関する取り組みや考え方を整理し、少子化対策に関する経済界の考え方を取りまとめる。

(8)国際労働・社会分野に関する議論への参画
〔国際労働委員会、NICC協議会〕

ILOを中心とする国際労働・社会分野におけるルール作成や議論に積極的に参加する。また、企業活動のグローバル化に伴って発生する労働・社会分野の課題を取り上げ、対応策を提言する。NICC活動を支援する。

【国際関係】

(1)自由貿易体制の推進・強化
〔貿易投資委員会〕

WTO新ラウンド交渉において、わが国経済界の意見を反映させるとともに、2006年内に交渉を終結させるため、欧米など主要国の経済団体と連携しつつ、関係方面に働きかける。

(2)開発援助の効率的・効果的な推進
〔国際協力委員会〕

政策金融改革の進む中で、海外経済協力の推進策や実施機関のあり方について経済界の要望を取りまとめる。併せて、世銀など国際開発援助機関との相互理解と連携強化の方途を探る。

(3)BIAC活動への積極的参加
〔OECD諮問委員会〕

OECDが策定する政策提言やガイドラインに、BIACを通じて、わが国経済界の考えを反映させる。

(4)経済連携協定の早期締結の推進
〔経済連携推進委員会【新設】〕

経済活力の維持・向上と国際競争力の強化のため、関係委員会と協力して、わが国にとって重要な国・地域との経済連携協定(EPA)の締結を関係方面に働きかける。

(5)北米
〔アメリカ委員会、カナダ委員会〕

わが国と米国ならびにカナダとの間の民間政策対話の強化に努める。その一環として、米国ビジネス・ラウンド・テーブルとの交流、日米財界人会議への協力、第3回日加経済会議の開催を行う。

(6)欧州
〔ヨーロッパ地域委員会〕

欧州各国の政府、経済界の要人と意見交換を行い、日欧経済関係の一層の緊密化を図るとともに、欧州の情勢把握に努める。

(7)中国、アジア・大洋州
〔アジア・大洋州地域委員会ほか〕

WTO加盟後の中国とのビジネス促進方策を検討し、政府・関係機関との交流などの強化に努める。さらに、東アジア自由経済圏構想の実現に向けて、経済連携推進委員会などと連携して、韓国、フィリピン、タイ、インドネシア、ASEAN全体などとの経済連携協定の早期締結を関係方面に働きかける。このほか、インドネシア、ベトナム、台湾、香港などとの合同会議を開催する。

(8)中南米
〔中南米地域委員会ほか〕

各国要人との懇談などを通じ中南米諸国との経済関係の強化を図るとともに、南米南部共同市場(メルコスール)等地域経済統合の進展状況などについて情報収集に努める。また、メキシコ、ブラジル、ベネズエラおよびコロンビアとの間で合同会議の開催を検討する。

(9)中東・アフリカ
〔中東・北アフリカ地域委員会ほか〕

湾岸協力会議(GCC)諸国との経済連携協定の締結を経済連携推進委員会などと協力して、関係方面に働きかける。このほか、トルコ、アルジェリア、南アフリカとの合同会議を開催する。

(10)ロシア・NIS
〔日本ロシア経済委員会 日本NIS経済委員会〕

ロシアの税制・法制の整備と公正な運用など、ビジネス環境の整備を働きかけるとともに、第8回日ロ経済合同会議を開催する。このほか、エネルギー・輸送分野を核とする複合分野、先端科学技術分野での協力、連携を強化する。

(11)各国経営者団体間の交流・協力

各国の経営者団体との友好関係の維持・向上を図るとともに、日中両国経営者間の交流と相互理解の促進に向け、日中産業シンポジウムを開催する。

II.総会・役員会等

(< >内は開催回数)

(1)総会<1回>

事業報告・計画、収支決算・予算、役員、決議などの重要事項を決定する。

(2)理事会<11回>

運営上、特に重要な基本的事項を審議・決定する。

(3)常任理事会<5回>

理事会の委任を受けて、運営上の重要事項を審議する。

(4)会長・副会長会議<11回>

運営上、特に重要な基本的事項を審議する。

(5)評議員会<1回>

会長の諮問に答えるとともに、会長に対して意見を述べる。

(6)評議員懇談会<2回>

重要政策課題に対して意見を述べる。

(7)評議員会議長・副議長会議<4回>

評議員会の委任を受けて、運営上の重要事項に関し、会長の諮問に答えるとともに、会長に対して意見を述べる。

(8)地方団体長会<2回>

会長の諮問に答えるとともに、会長に対して意見を述べる。

(9)監事会<1回>

財産状況および業務執行状況を監査する。

(10)財務委員会<1回>

財務に係る事項を審議する。

(11)事業委員会<1回>

経団連会館などの運営に関する事項を審議する。

(12)顧問・推薦会員懇談会<3回>

当会の活動に対して助言する。

(13)新入会員代表者との懇談会<3回>

新入会員に対し、当会の主要な活動を紹介するとともに、当会への期待、要望を聴く。

(14)東富士夏季フォーラム<1回>

会長・副会長、評議員会議長・副議長ほかが内外の重要問題を集中討議する。

以上

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