グローバル化の進展や人口減少社会の到来等の大きな環境変化の中で、世界の中で光り輝く「希望の国」とするためには、経済を支える民間企業の活力を維持・強化し、民主導による持続的な成長基盤を構築する必要がある。
本年度は、10年後の日本が目指すべき姿とその実現に向けたロードマップを描いた、新ビジョン「希望の国、日本」(2007年1月)の具体化を図るため、経済・産業・社会・経営労働・国際等の各分野で、以下の活動に取組む。
なお、これまで、政策提言・実現活動を側面で支えてきた出版・研修等の収益事業の効率的運営を図るため、本年6月1日に、事業サービス本部を「有限責任中間法人日本経団連事業サービス」として発足させる。
総会決議の取りまとめ等、日本経団連としての基本的な活動方針を検討・策定する。
国会、政党、その他関係方面における憲法改正や安全保障をめぐる動きに対応し、経済界の意見の反映に努める。
経済情勢変化を的確かつ迅速に把握しつつ、経済成長や所得再分配政策と国民の生活水準について分析・検証し、提言を取りまとめる。また、政府統計に係る報告者負担の軽減、利用者利便の向上策の検討、働きかけを行う。
日本経済の成長をより一層強固なものとするため、法人実効税率の引下げ、非営利法人税制や消費税を含むあるべき税体系のあり方、今後の財政健全化目標のあり方や中長期的な財政の持続可能性の確立、年金、医療、介護等の社会保障制度の一体的改革に取組む。
金融機能の健全な発展のため、金融法制・資本市場関連法制の整備に係る検討ならびに金融・保険・証券市場に係る規制改革の実現を働きかける。
金融機能の健全な発展のため、金融法制・資本市場関連法制の整備ならびに金融・保険・証券分野の一層の規制改革の実現を働きかける。
国をあげた需要の創出・拡大や生産性の向上を図る観点から、規制改革の推進、官製市場改革の推進等に取組む。また、地域の活力を高め、わが国全体の活力増大につなげるため、道州制の導入を推進する。
わが国産業の国際競争力強化に向け、エンターテインメント・コンテンツ産業の振興に向けた環境整備を図る。また、産学連携の効果的な推進、ベンチャー支援ネットワークの構築等を進める。
世界最先端のICT国家の実現に向けて、ITS、電子政府、人材育成をはじめ、政府のIT新改革戦略の具体化を図る。また、通信・放送融合時代における情報通信産業の競争力強化のあり方に関する提言を取りまとめる。
わが国の物流効率化に向け、道路、港湾、空港等競争力強化に必要な社会資本の効率的な整備、輸出入通関制度の抜本的改革、使い勝手のよい原産地証明制度の確立等に向け、働きかけを行う。
農業構造改革の加速化に向けて、WTO新ラウンド交渉やEPA交渉の動向を踏まえつつ、規制改革の実現を働きかけるとともに、農業界等との意見交換を進める。
都市・地域の再生と活性化、PFIの推進、住宅・住環境の質の向上に向け、関係方面に働きかけを行う。
「観光立国推進基本計画」に経済界の意見を反映させるとともに、観光政策の着実な実施ならびに政府の観光立国推進体制の再編・強化を働きかける。
「イノベーション25」の最終取りまとめに向けて、経済界の意見の反映に努めるとともに、第3期科学技術基本計画の進捗状況を注視、点検する。また、産学官連携の促進に関して、大学院博士課程の教育機能の強化に取組む。
温暖化対策について、「環境自主行動計画」の達成に努めるとともに、米国、中国、インド等のCO2の大口排出国の参加を前提とした、地球規模での実効ある対策につながる枠組の構築に向けた取組みを進める。さらに、環境自主行動計画の実施状況調査等を通じて、循環型社会の形成に向けた取組みを推進する。
政府の「エネルギー需給展望」に経済界の意見が反映されるよう、働きかけを行う。また、原子力燃料サイクルを含む原子力の活用に対する理解促進のための取組みを行う。
イノベーションの促進に向けて、知的財産政策の推進や国際標準化のための環境整備に向けた取組みを進めるとともに、デジタル化・ネットワーク化時代における著作権法制の中長期的なあり方について検討を行う。
日米防衛産業、政府関係者との対話を進める。宇宙開発・利用の推進体制・法制、プロジェクトに関する検討を行い、提言をまとめる。海洋基本法の制定、海洋プロジェクトの推進に向け、関係機関へ働きかけを行う。
日本経団連の政策提言や考え方の実現に向け、その内容と背景について各種媒体を通じて広く訴え、理解と支持を得る。
会員企業・団体のトップに対して、「企業行動憲章」の周知徹底と不祥事防止のための実効ある社内体制等の整備促進を呼びかける。また、「企業行動憲章実行の手引き」 <PDF> を改訂し、会員企業・団体への周知徹底を図る。
株主、従業員、消費者・ユーザー、NPO等のステークホルダーと交流を図りつつ、社会的課題の解決に寄与する社会貢献活動のあり方を検討し、成果を発信する。また、アジア諸国を中心に、CSRの国際的普及に努める。
政策本位の政治の実現に向けて、政党の政策評価を実施する。併せて、公職選挙法の見直しの早期実現に向けた検討を行う。また、政党、政治家との対話を実施する。
教育再生の実現に向けて、政府の動きを踏まえつつ、高等教育改革等必要な施策について提言を行う。
具体的な災害を想定した事例研究を実施し、行政、企業、NPO等の取組みや連携強化策について、検討を行う。
「経営と人」に関する日本経団連の基本的な考え方を総合的に検討し、春季労使交渉に際して、全国の企業経営者の指針となる報告書を取りまとめる。
労働派遣制度等の諸規制に対して、労働者のニーズと企業の現場実態に即した見直しを働きかける。また、若年者雇用のミスマッチの解消や就労能力向上に向けた考え方を取りまとめる。
仕事・役割・貢献度等に応じた人事・賃金制度のあり方に関する考え方をまとめる。
労働時間法制に対する見解を取りまとめ、早期の法整備に向けて働きかけを行う。また、パートタイム労働のあり方に関する検討と働きかけを行う。
中小企業のイノベーションと現場力の強化に向けて、ものづくりを担う人材の育成や中小企業の製造現場の労働環境等について検討し、提言を取りまとめる。
消費者との接点に関する諸課題、男女共同参画、ワーク・ライフ・バランス等に関する検討を行う。
会員企業・団体に対して、ワーク・ライフ・バランスに関する自主的な取組みの推進を呼びかけるとともに、政府に対して、財源の確保をはじめ総合的な少子化対策の推進を働きかける。
ILOを中心とする国際労働・社会分野におけるルール作成や議論に積極的に参加する。また、企業活動のグローバル化に伴って発生する労働・社会分野の課題を取り上げ、対応策を提言する。NICC活動を支援する。
WTOドーハ・ラウンド交渉の早期妥結を働きかける。また、望ましい対外経済戦略について検討を行うとともに、対外経済戦略を国として一体的に推進するため、通商交渉における官民の連携強化や官邸主導の体制の構築を求める。
国際協力のあり方について経済界の要望を取りまとめる。併せて、政府の「国際協力に関する有識者会議」において経済界の意見を積極的に発信する。
貿易・投資の自由化等に関するOECDの取組みに、BIACを通じて、わが国経済界の考えを反映させる。
東アジア諸国、資源・エネルギー・食料の供給国をはじめ、わが国にとって重要な国・地域との経済連携協定(EPA)の締結を推進する。EPA交渉を戦略的かつスピード感をもって進めるため、官邸主導の体制の構築を求める。
米国ビジネス・ラウンドテーブルとの交流、日米財界人会議への協力、第3回日本カナダ経済会議の開催等、米国、カナダとの民間政策対話の強化に努める。また、日米経済連携協定の具体的なメリットや課題について検討する。
欧州各国の政府、経済界の要人と意見交換を行い、日欧経済関係の一層の緊密化を図るとともに、EUや欧州の情勢把握に努める。
ベトナム、インド、豪州等との経済連携協定の早期実現に向け、交渉の促進を関係方面に働きかける。ASEAN諸国へのミッション派遣を検討するとともに、台湾、香港、韓国等との合同会議を開催する。
各国要人との懇談等を通じ中南米諸国との経済関係の強化を図る。また、メキシコ等との間で合同会議の開催を検討する。
湾岸協力会議(GCC)との自由貿易協定交渉を注視しつつ、経済界の意見を日本政府に伝える。中東諸国との経済関係強化を目的として、会長を団長とするミッションを派遣する。また、トルコ等との合同会議の開催を検討する。
ロシアの法制度の整備や透明で公正な運用等、ビジネス環境整備を働きかける。ロシア訪問ミッションの派遣または第9回日ロ経済合同会議の開催を検討する。ウクライナ、カザフスタンにミッションを派遣する。
各国の経営者団体との交流拡大と連携強化を図る。