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2011年度事業計画

I.事業計画の概要

東日本大震災という国難に立ち向かい、被災地支援ならびに復旧・復興にスピード感をもってあたるとともに、安心・安全で強靭な「新たな日本」を創造しなければならない。他方、高齢化や少子化、グローバル競争の激化に対応するためには、震災復興への対応と並行して、成長戦略の着実な実施、持続可能な社会保障制度・財政の構築、環境と経済の両立、TPP交渉への早期参加ならびにEPA/FTAを通じた経済統合等を推し進める必要がある。

2011年度は、経済・産業・社会・経営労働・国際等の各分野で、以下の通り取組み、早期復興に総力を結集するともに、企業家精神を最大限発揮し「新たな日本」の創造に邁進する。

また、新法人への移行に必要な作業を進める。

1.政策全般

(1)震災からの復興
〔震災復興特別委員会〕

関係委員会と連携し、東日本大震災からの復興に全力で取組む。

(2)横断的な指針のとりまとめ
〔総合政策委員会、国の基本問題検討委員会〕

経団連活動の横断的な指針等を検討しとりまとめを行う。

(3)経団連の活動と政策の実現度の検証
〔政策検証委員会〕

経団連の活動と政策の実現度を検証・評価し、残された課題や今後の対応を検討する。

2.経済・法制関係

(1)成長戦略の実行
〔経済政策委員会〕

マクロ・ミクロ両面の経済情勢を把握するとともに、東日本大震災からの復旧・復興状況を踏まえて、政府の「新成長戦略」の見直しと着実な実施を働きかけ、わが国の経済政策のあり方の検討を行う。

(2)社会保障と税・財政一体改革の断行
〔税制委員会、財政制度委員会、社会保障委員会〕

一刻も早い社会保障と税・財政の一体改革(社会保障給付の見直し、消費税率の引き上げ、歳出合理化努力の継続等)の断行に向け、政府・与野党に働きかける。投資促進や内需拡大に資する税制措置の維持・拡充等を求める。

(3)競争力の基盤となる法制度の実現
〔金融制度委員会、経済法規委員会〕

会社法、民法(債権関係)、競争法、消費者法、金商法等に関する議論に対し、競争力強化につながる法的基盤整備の観点から、経済界の意見反映に努める。資本市場の規律のあり方を検討する。

(4)円滑な企業活動に資する会計制度の整備
〔企業会計委員会【新設】〕

国際会計基準の取扱いも含め、会計基準の設定に際し、経済界の意見反映に努める。

3.行革・産業・国土関係

(1)震災復興の具体策の検討、未来都市モデルプロジェクトの実施
〔都市・地域政策委員会、住宅政策委員会〕

東日本大震災後の復興プランについて検討する。「未来都市モデルプロジェクト」を具体的に実施する。住宅関連の租税特別措置等に関する要望の実現に努める。

(2)規制改革の推進
〔行政改革推進委員会〕

会員企業・団体の実需に基づく規制改革要望をとりまとめて実現に努める。

(3)地域の活力の向上
〔道州制推進委員会〕

国民会議等の広報活動の展開を含め、道州制や地域主権改革の実現に向けた活動を行う。

(4)産業の競争力強化、起業の創出
〔産業問題委員会、起業創造委員会〕

震災からの復興や政府の新成長戦略に対応しつつ、わが国の産業競争力の強化に向けた活動を引き続き行う。優秀な外国人材が活躍できるよう規制・制度改革に取り組む。エンターテインメント・コンテンツ産業の競争力強化に取り組む。起業を創出する機運の維持・向上を図る。

(5)モノの流れの改善
〔運輸委員会、流通委員会〕

貿易手続改革や港湾・空港・道路等の整備推進に取り組む。社会環境の変化を踏まえた流通政策のあり方について提言をとりまとめ、実現に努める。

(6)総合的な食料供給力の強化
〔農政問題委員会〕

「力強い農業の実現に向けた提言」(2011年2月)のフォローアップを行う。農林漁業等の活性化に向けた取組みに関する事例集の活用を図る。

(7)観光の振興
〔観光委員会〕

各地を視察し関係者と意見交換を行う。インターンシップ・モデル・プロジェクトやシンポジウムを実施する。

4.技術・環境・エネルギー関係

(1)エネルギー戦略の確立
〔資源・エネルギー対策委員会〕

東日本大震災の影響により、エネルギー供給が制約される中、国民生活、事業活動に支障が生じないエネルギーの確保に向け、全力を尽くす。資源・エネルギーの3E(エネルギー安全保障、経済性、環境配慮)の適切なバランスの実現に向けた活動を行う。

(2)低炭素・循環型社会の形成
〔環境安全委員会〕

「環境自主行動計画(温暖化対策編)」 「日本経団連 低炭素社会実行計画」のとりまとめを推進する。わが国の中期削減目標の国際的公平性、実現可能性、国民負担の妥当性が確保され、企業の活力を削ぐ国内政策が導入されないよう、働きかける。「環境自主行動計画(循環型社会形成編)」のフォローアップを通じ、産業廃棄物最終処分量の削減を推進する。

(3)イノベーションの創出
〔産業技術委員会〕

総合科学技術会議の改組のあり方等を検討して意見反映に努める。企業から見た大学・大学院教育のベストプラクティス事例を取りまとめる。

(4)イノベーションハブの構築
〔知的財産委員会〕

国際的整合性が高い知的財産制度の構築を含め、「知的財産推進計画」への経済界の意見の反映に努める。国際標準に関し、官民で取り組むべき活動や克服すべき課題について議論を深める。

(5)ICTによる新社会システムの構築
〔情報通信委員会〕

「新たな情報通信技術戦略」の着実な実施に努める。「ジャパン・クラウド・コンソーシアム」の活動やNPO法人「高度情報通信人材育成支援センター」の活動に協力する。

(6)効率的で利便性の高い電子行政の実現
〔電子行政推進委員会〕

社会保障・税に関する番号制度の関連法案の成立に努める。電子行政推進法や強力な推進体制の確立を求める。

(7)海洋・防衛・宇宙産業の競争力強化
〔海洋開発推進委員会、防衛生産委員会、宇宙開発利用推進委員会〕

海洋基本計画の着実な実施を働きかける。武器輸出三原則の見直し等を含む防衛産業政策の確立や宇宙開発利用の推進体制の強化に向けた提言をとりまとめ、実現を働きかける。

5.社会関係

(1)企業の社会貢献活動の推進
〔社会貢献推進委員会〕

東日本大震災の被災者・被災地支援に取り組む。経済界が取り組む社会貢献活動の発展・進化に向け、「2010年度社会貢献活動実績調査」を行う。企業とNPOの連携・協働の推進に必要な基盤について検討する。

(2)広報・出版活動の積極的展開
〔広報委員会〕

経団連の政策提言の内容や背景を、(財)経済広報センターとも協力しつつ、広く訴える。社会保障と税・財政の一体改革、TPP交渉への参加等の最重要課題に関して、国民運動も視野に入れ、多様かつ機動的な広報を展開する。

(3)企業倫理の徹底
〔企業行動委員会〕

トップセミナーや企業倫理担当者研修会の開催を通じて、「企業行動憲章」の遵守、企業倫理の徹底、CSRの推進に努める。実効ある消費者政策の推進を政府に働きかける。

(4)重要政策課題を実行しうる政治の実現
〔政治委員会〕

重要政策課題を迅速・着実に実行しうる政治の実現に向けて、経済界と政治の関係強化に努める。与野党の政党・政治家との政策対話を積極的に実施する。

(5)グローバル人材や大学のあり方の検討
〔教育問題委員会〕

産業界の求めるグローバル人材の具体像や大学教育への期待、産学連携のあり方について検討を深める。教育支援・人材育成プロジェクトを推進する。

(6)災害に強い社会の構築
〔防災に関する委員会〕

企業の総合的な防災・減災体制の整備・充実や危機管理能力の強化を促す。

6.経営労働関係

(1)春季労使交渉に係る指針の策定
〔経営労働政策委員会〕

労使一体で経営課題を解決することの重要性を強調し、次期労使交渉・協議に臨む経営側の基本的な考え方を取りまとめる。

(2)多様な雇用機会の確保とILOの議論への参画
〔雇用委員会〕

東日本大震災の復興に向けて、雇用のセーフティネットの強化や雇用機会の創出に取り組む。また、高齢者雇用に関する政府の検討に対応するとともに、改正した「採用選考に関する企業の倫理憲章」の周知・理解促進を図る等、実効性を高める。ILOを中心とする国際労働分野におけるルール作成や議論に参画する。

(3)企業の人材活用の促進
〔人事・労務委員会〕

ミドルマネジャーをめぐる課題を把握して対応を検討する。2011年度の最低賃金額改定の目安審議に対応する。連合や主要産業別組合等の動向把握に努める。

(4)労働関連法制の見直しへの対応
〔労働法規委員会〕

東日本大震災による災害からの復興に資する労働法制のあり方を検討するとともに、有期労働契約法制やパートタイム労働法、労働安全衛生法の見直しの際に経済界の意見反映に努める。

(5)中小企業の海外展開の支援
〔中小企業委員会〕

中小企業の海外展開支援策について検討する。

(6)企業の事業継続管理
〔国民生活委員会〕

新型インフルエンザの発生・大流行等、様々な危機発生時における社会機能維持の観点から企業の事業継続管理のあり方について検討する。

(7)少子化対策の推進
〔少子化対策委員会〕

政府の「子ども・子育て新システム」の検討に、公費で子育て支援施策を行うよう求める。

7.国際関係

(1)通商戦略の確立・推進
〔貿易投資委員会〕

WTOを軸とする多角的自由貿易体制を維持・強化するとともに、TPP(環太平洋経済連携協定)交渉への参加をはじめとする経済連携を推進する観点から、通商戦略のあり方に関する提言を取りまとめ、実現に努める。

(2)経済連携の推進
〔経済連携推進委員会〕

東アジアの経済統合の実現に向け、日中韓自由貿易協定の早期交渉開始等を働きかける。現在交渉中のFTA・EPAの早期実現、既に締結されたEPAの活用促進を図る。

(3)国際協力のあり方に関する検討
〔国際協力委員会〕

官民連携によるODAのあり方やパッケージ型インフラ海外展開推進の方策等を検討する。ASEAN事務局やERIAと協力してアジアの広域インフラや債券市場の整備に努める。

(4)BIAC活動への参加
〔OECD諮問委員会〕

BIACを通じてOECDの取組みにわが国経済界の意見を反映させるとともに、OECD・BIACの50周年記念行事に協力する。5月に改定されるOECD多国籍企業行動指針を広くわが国企業に周知する。

(5)G8ビジネス・サミット

G8ビジネス・サミット等への参加を通じて、5月のG8サミット並びに11月のG20サミットにわが国経済界の見解が反映されるよう努める。

(6)北米
〔アメリカ委員会、カナダ委員会〕

TPPを含む日米経済連携の強化や日加間の貿易・投資のさらなる自由化を働きかける。

(7)欧州
〔ヨーロッパ地域委員会〕

日EU経済統合協定の交渉開始・締結の働きかけの一環として、ミッションを西欧主要国に派遣する。

(8)アジア・大洋州
〔アジア・大洋州地域委員会、南アジア地域委員会【新設】ほか〕

アジア地域のハード・ソフト両面でのインフラ整備や域内金融協力のあり方を検討し、ASEAN連結性マスタープランの推進に協力する。域内の経済統合を進めるとともに、二国間の経済会議や官民による政策対話を通じて、経済関係の強化を図る。第2回アジア・ビジネス・サミット、第3回日中韓ビジネス・サミットを開催する。日中経済関係の強化に向け、訪中ミッションの派遣や日中グリーンエキスポの開催等を行う。

(9)中南米
〔中南米地域委員会ほか〕

メキシコ、ブラジル、コロンビア等との経済会議の開催や各国の要人との懇談を通じ、経済関係の強化を図る。

(10)中東・アフリカ
〔中東・北アフリカ地域委員会ほか〕

多国間・二国間の経済関係の強化を図る。トルコ、南アフリカ等との合同会議の開催や各国の要人との懇談を通じ、経済関係の強化を図る。

(11)ロシア・NIS
〔日本ロシア経済委員会 日本NIS経済委員会〕

第12回日本ロシア経済合同会議の開催、第3回日本ウクライナ経済合同会議の開催、ロシアや中央アジア諸国へのミッション派遣を検討し、経済関係の強化を図る。

8.経済団体、外部組織等との連携・協力

(1)各地経済界等との連携・交流

関西会員懇談会の開催や各地経済団体との経済懇談会の開催等を通じ、各地経済界と連携・交流を図る。

(2)外部組織への協力

日本経団連事業サービス経済広報センター等の主要関連団体や、ユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)日本協会国際文化教育交流財団(石坂財団)等の奨学事業に対する協力を行う。

(3)公益活動に対する資金面の支援

公益活動を行う機関等が、経済界に資金援助を求める、いわゆる「経済界募金」に対して協力する。



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