記者会見における今井会長の発言より

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1999年11月1日
(社)経済団体連合会

【景気と雇用情勢】

景気は明らかに底を打った。当面、財政による下支えが必要ではあるが、これから景気は上向いていくだろう。
しかし、今後、企業のリストラや業界の構造改革は進むので、その過程で、部分的に雇用の問題が生じてくることは避けられない。そこで経団連は、「産業競争力会議」などを通じて、そうした事態に備えて雇用のセーフティネットを整備するよう強く働きかけてきた。これを受けて政府は、6月に雇用対策を打ち出しており、2次補正にもセーフティネットの強化策を盛り込むと思う。

【介護保険】

介護、基礎年金、高齢者医療は、ナショナル・ミニマムとして、税で賄うべきである、というのが経団連の基本的な考え方である。但し、介護については、「社会的入院」が高額にのぼることに配慮し、橋本内閣が国民の負担を少なくできるとの理由で介護保険の導入を決め、来年4月から実施されることになったという経緯がある。10月から要介護認定作業が自治体で始まっており、できるだけ現場が混乱しないようにすべきである。介護保険は5年を目処に見直すことになっているので、予定通り4月からスタートさせて、適宜問題点を改めるのがよい。
保険料の徴収については、財源の目処が立たないままに延期すべきではない。
社会保障制度の総合的な再構築が必要である。公的年金の改正法案が前国会で出たまま棚上げになっているが、公的年金改革は、持続可能な社会保障制度を実現させるための第一歩であり、真っ先に審議されるべきである。

【児童手当の拡充】

児童手当の適用を16歳の子供にまで拡大すると、負担額が一説では、2兆9千億円に膨らむが、これを企業が負担することには反対である。少子化対策としての効果が見込めるかどうかの検討も必要だ。財源と効果を考えず、軽々に採用すべきではない。

【ペイオフの解禁と決済性預金】

ペイオフの解禁は延期すべきではないが、予定通り実施するためには、新しいセーフティネットをつくらねばならない。セーフティネットの整備とは、銀行の経営がおかしくなった時に、預金者の保護ができるようにすることである。現在、決済性預金を含め1千万円までカバーされているが、米国のP&A方式の導入も含め、債務の譲渡が瞬時に行なえる仕組みを考えねばならない。
決済性預金の保護範囲もその中での議論となるが、非常に難しい問題である。金融制度審議会で議論が行われているが、経団連の代表も出ており、審議会の場で、経団連の考えを表明していく。

【デノミの可能性】

デノミについて、経済同友会でも検討中とのことであり、まだ前向きに支持、というところまではきていないようだ。経団連でも、今後、金融制度委員会で議論する予定であるが、現時点では、まだ意見を申し上げる段階ではない。

以 上

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