記者会見における今井会長発言のポイント

2001年12月10日
(社)経済団体連合会

【景気】

今年度のGDP成長率はマイナスになるだろうが、政府統計には誤差があるので、数字に一喜一憂することはない。
第1次補正の1兆1000億円は年度を通してGDPの0.2%程度の効果が期待できる。第2次補正は来年度GDPの0.5%を引き上げる効果が期待できる。
来年度の経済成長率については、今の趨勢からすると民間設備投資が落ち込むので、たぶんマイナスになるだろう。

【青木建設の倒産】

日本経済の再生のためには、銀行の不良債権処理と事業会社の整理が必要である。その過程で、企業の破綻・倒産が出てくる。実際に破綻した企業には気の毒なことであるが、これはやむをえない。
留意すべきことは、第1に失業増に備える雇用対策だ。「緊急雇用対策法」と補正予算で準備はできている。第2に、金融機関への影響である。金融システム不安の懸念がある場合、公的資本注入をためらうべきではない。

【連結納税制度】

連結納税制度の来年4月1日からの導入が決まったことは大変喜ばしい。導入時期は絶対に動かすべきではない。
付加税課税については、経団連はあくまでも反対である。政府関係者も含め大部分の人は反対だ。政府は21世紀の国際社会に相応しい税制改正と言っている。どの国も実施していない付加税を導入すべきではない。導入を計画している企業が見合わせてしまう。

【特殊法人改革】

政府と与党が妥協できる限界点で妥協し合ったと理解している。道路公団等は第三者機関を設けて検討することになっている。最も大事なことは、費用対効果を考えることだ。問題は本四公団の赤字が大きいということだが、その赤字をどう埋めるかは、今後の大きな争点になるだろう。

【台湾訪問】

今の経済情勢は大変悪いようだ。台湾の貿易依存度は高く、貿易額はGDPの80%になる。しかも、輸出の30%以上がIT関連であり、米国のIT不況の影響を深刻に受けた。しかし、米国経済は来年半ばに立ち直るという見方が一般的であり、米国経済の回復に伴い、台湾経済も間違いなくよくなる。
台湾は中国とともにWTOに加盟した。国際社会に窓が開かれたことを大変歓迎する。今後、国際社会において台湾が活躍する余地が広がるだろう。

【ワークシェアリング】

失業率が5%を超えたからワークシェアリングを導入するという考え方には反対だ。また、ワークシェアリングを実施している国とわが国とでは賃金体系も異なる。もっと失業が増え、社会問題に発展する惧れがあれば考える必要があるが、今はその段階ではない。

以 上

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