[ 日本経団連 ] [ コメント/スピーチ ]

東海地方経済懇談会後の共同記者会見における
奥田会長発言要旨

2004年2月12日
(社)日本経済団体連合会

【愛知万博・中部国際空港について】

最近は、東京や大阪でも愛知万博に対する関心が高まってきたようだ。ああした催し物は、1年ほど前にならなければ盛り上がってこないものだろう。私は、愛知万博は成功すると楽観的に見ている。中部国際空港については、成田や関空に比べて着陸料が安い点や、ビジネスジェットの利用件数が増えることになった点は、今後の日本の国際化を考えればよいことだと思う。

【東海地方の産業構造のあり方】

東海地方には自動車産業の集積があるが、他の産業、特に知的創造産業についても、IT投資減税や研究開発減税などを活用して、発展させる必要はある。そのための基盤や人材、経営ノウハウの蓄積は、(東海地方には)十分にあると思う。

【ベアについての考え方】

今後の賃金アップは、生産性の向上や物価水準の上昇等が客観的に見られた場合ということになろう。ベアがなくても、(賃金は)定昇分だけは上がっていく。加えて、業績が好調であれば、その分をボーナスや一時金で支払えばよい。ベアが行われないことが、個人消費を冷え込ませるとは思わない。

【社会保障制度改革について】

消費回復のためにも、年金制度や医療、介護などの社会保障制度を一つのパッケージにして、できるだけ早期に改革を進めてほしい。昨年末の与党税制改正大綱で平成19年度までに抜本的な税制改革を行うこととなったので、その中で決着することになるのではないか。その意味で、同大綱は画期的だった。

【今後の金融行政に望むこと、中小企業への融資について】

現在のやり方を続けていけばよいと思う。ただ、金融庁が検査マニュアルを厳格に適用しすぎると、中小企業に資金が貸し出されなくなるおそれがある。銀行にはノウハウがあるので、融資は銀行の判断でさせるべきだ。ただ、中小企業の資金繰りの問題については、すでに一巡したと見ている。

【FTA(自由貿易協定)の推進と農業問題】

東南アジア諸国とのFTA/EPA(経済連携協定)を推進しようとする場合、農業問題が日本のネックになるとよく言われる。しかし、農業側も、農業を一産業として国際競争力の強化を図る必要があるとの認識を持っており、以前のような工業対農業という対立の図式はもはやない。農業がFTA/EPAの足を引っ張っているとは考えていない。

以上

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