景気は最悪期を脱しつつあるが、依然として厳しい状況にある。民間主導の自律的な回復過程に入るまで、財政と金融のバランスの取れた政策を切れ目なく適宜適切に講じていく必要がある。
事業仕分けにおいて、科学技術関連予算が大幅に削減される事例が散見されることは残念である。科学技術は、資源に乏しいわが国にとっての成長の源泉であり、政治主導による復活を期待したい。
租税特別措置については、制度創設の趣旨に沿って機能しているかどうかで見直すのはよい。研究開発税制などは、恒久化すべきである。
現在の日本経済の深刻な状況を如実に表わしている。2000年前後の氷河期では、企業は新卒採用を抑制し、その結果、中堅層の人材の空洞化を生んだ。長期的な企業経営のためには将来を見据え、一定数の新卒採用を行うことが必要である。新卒採用に努力するよう、会員企業に呼び掛けを行うことを検討したい。
FTA・EPAの拡大を通じて、市場の拡大、貿易・投資の活性化などを促していく必要がある。アジアの域内需要の拡大により、内需主導型の経済発展を図っていくことも重要である。
こうしたアジアの成長戦略につき、3ヵ国の政府や経済界の首脳と、共通の認識を確立したい。その成果を来年3月のアジア・ビジネスサミット、11月のAPECにつなげていきたい。